第140話・マルク君の家族との話
「やはり異邦人でしたか」
「黙ってて、ごめんなさい」
「いいんですよ。中々言えないことは、相応にあるものですから」
そのまま夕食をご馳走になりながら、マルク君の一家とジョニーさんと死神さんを中心に話は続いていた。
ロールプレイの仮面を外した死神さんはマルク君の一家に自分の素性など改めて語っているけど、やはりマルク君の両親からすると驚きはないみたい。
「こういう仕事をしてると、いろいろな人と出会いますしね。私自身は異邦人にも貴女達の他に、二人ほど会ったことがあります」
「やっぱオレ達以外にも居るか」
「その方達は私が子供の頃にお会いしましてね。場所は言えませんが、生きていれば静かなところで、のんびりと暮らしてますよ」
しかしマルク君のお父さんの話に、オレ達は少し驚かされた。
マルク君のお父さんが子供の頃だから、二十年くらいは前になるのかな。
伝説や祖先ではなく今も生きていれば、オレ達の状況を解明する手懸かりになるかもしれない。
少なくともオレ達と同じ、ギャラクシー・オブ・プラネットから来た人なのかは確認する必要があるな。
「そうそう、ジョニーさん。オルボア公国が非公式にですが、貴方に賞金を賭けています。ご存じでしたか?」
「やっぱりオルボアか。二度ほど襲われた。闇ギルドが金貨百枚を、オレの賞金にしてるとは聞いていたがな」
「すでに金貨三百まで上がってます」
「ちょっとジョニー! 何したの!?」
「知らねえよ。こっちが聞きたいくらいだ」
食事も終わり上等なワインと紅茶で歓談タイムとなったが、お互いにある程度慣れてきた頃になると、マルク君のお父さんはジョニーさんの賞金の話を始めた。
ジョニーさんが賞金首になってるのは、うちのアンドロイドが報告を受けて調べていたところだ。
依頼人がオルボアであることは掴んでるけど、賞金が上がったのは新情報だわ。
流石に帝国でも最大規模の商会の主だけのことはあるな。
多分死神さんの様子から、ジョニーさんが知り合いかもしれないと密かに探していたのだろう。
「あの国はキナ臭いんですよ。うちの商会も去年撤退しました。取り引き自体は向こうの商会とあるので、情報は入って来ますがね」
「オルボアが何してるか分かるか?」
「目的は流石に。ただ、オルボアは近年遺跡型のダンジョンから見つかるタイプの、ロストマジックアイテムが多く出回っています。あの国に遺跡型のダンジョンは、無いはずなんですが。商会仲間の噂としてオルボアは、新しい遺跡型ダンジョンを見つけたのではないかと噂はありますね」
「遺跡か」
「隣のワイマール王国では、オルボア公国の謀略で第一王子と第二王子が失脚したとか。嘘か真かワイマール王国の英雄が、英霊となり救ったんだと騒ぎになってます。現状では内乱の一歩手前で踏み留まってますが、どうなることやら」
オルボアに関してもオレ達の掴んでない情報が少しあるな。
現状でうちはオルボアが各地で遺跡を探してるのは掴んでるけど、オルボアが遺跡を近年見つけたかもしれないという情報はまだ無い。
情報収集もワイマール王国とオルボア公国に帝国まで広げて対応してるけど、情報収集は一朝一夕ではいかないし、範囲が広すぎてなかなか精細な情報は集まってないんだよね。
ちなみにワイマール王国の話になると、クリスお嬢様は少し表情をピクリとさせてた。
まあお嬢様はワイマール王国では聖女にされてるからね。
まさか帝国まで来て自分の話を聞かされるとは、思わなかったんだろう。
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