第128話・これからどうしよう?
「でも動物と話が出来るスキルにしては、騒ぎすぎじゃないかい?」
「わらわのレベルでは、これが精一杯なのじゃ」
「レベルですか?」
「うむ。わらわのレベルは5で、覇王スキルのレベルは1じゃからの」
「伝承では初代様は、万を超す軍団を召喚したとか言われてます。流石に帝国でも疑問視されてますが。残りの覇王スキルを継承した皇帝陛下は、数十人単位で一騎当千の兵を召喚したと言われてますので、それは確実らしいのですが」
なんか皇女様の容姿からも覇王スキルは、ほのぼのスキルにしか思えないんだけど、それをジュリアが指摘するとファンタジーらしいというかゲームみたいな答えが帰って来た。
覇王スキルと初代皇帝って、やはり異世界から来たのか?
まあSFのゲームから来るよりは、ファンタジーのゲームから来た方が違和感はないわな。
「アナタ。下の人達が止まったわ」
「諦めたか? まさか飯じゃねえだろうな」
「分からないけど、どうする?」
「このまま進んでいいよ。しばらくは見られてるだろうし」
逃走喜劇を初めて三時間が過ぎると、ようやく追っ手の動きが止まった。
流石に疑いを持ったんだろう。
ただ問題はこれからだ。
まさか子供の皇女様を放り出す訳にはいかないしさ。
「エル。どう思う?」
「覇王スキルの効果は分かりませんが、殿下に帝位を継がせるのは無理かと。国家とは一人では動かせません。殿下がこうなるのを止められる勢力がない時点で、殿下が帝位に就けば魔王の前に国が傾きます」
しかも子供の皇女様にあまり聞けない、人の裏側を考えなきゃいけないなんて。
皇女様達はロボとブランカにジュリア達とクリスティーナ様に任せて、オレはエルとジョニーさんと三人で少し今後の方針を考えることにした。
「同感だな。親父の皇帝をぶん殴ってやるぜ」
「ジョニーさん、それは流石に」
「どう交渉するかはともかく、会って話を聞き皇帝陛下に動いてもらうべきです。もし皇帝陛下が話の通じる相手でないならば、こちらも考えなくてはなりませんが」
ただ皇女様が次の皇帝になるのは無理だとエルは語る。
確かにスキルの一つや二つで国を支配できるならば、王様が次々に変わるわな。
ジョニーさんはジョニーさんで子守りが苦手とか言ってた割に、皇帝に怒り心頭な様子だし。
「どうする? お姫ちゃん達を連れて拠点に行ってるか? ならあとはオレが、お母っさん助けて皇帝をぶん殴ってくるぜ」
「いえ、このまま帝都に向かいましょう。万が一を考えると、島はまだ殿下達にも知られたくありません。殿下達にはクリスティーナ様と同じ、人工皮膚の変装して頂けばしばらくは大丈夫でしょうから」
「そうだな。このまま帝都に行こう」
結局オレ達はこのまま帝都に行くことにする。
悪いけど現状だと皇女様とメイドさんすら、百パーセント信じてる訳じゃない。
もちろんあの二人に悪意がある可能性はまずないとは思う。
ただオレはこの事件自体が誰かの何らかの目的の元に、仕組まれたかもしれないと考えていて、エルにその可能性を調べてもらってる。
お人好しなジョニーさんにはまだ話してないけどね。
疑り深いんだよね。オレって。
親族に裏切られ騙されたオレからすると、母親や皇帝も今のところあっさりと信じる気はない。
欲は人を変えるんだ。
時には理性や情すら超越するほどに。
皇女様には悪いが母親に会うのはもう少し調べた後だ。
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