第110話・島での生活・その三

「あとは時々様子を見るくらいだな」


「クーン……?」


「フンフン!」


 今回のサツマイモとジャガイモの植え付けは終わった。


 北部にある小高い山の火山灰地質のところにサツマイモを植えて、南部にある森を切り開いた場所にジャガイモを植えた。


 後は野菜なんかも植えたし、田んぼ兼麦畑はまだ時期じゃないからゆっくり重機で作ってる。


 ロボとブランカが畑を走り回り泥んこになりながら、植えたサツマイモのツルをクンクンと匂いを嗅いでるよ。


 何にでも興味を持つ年頃なんだろうか?


「司令。ジョニーさんの発見した遺跡なんですが……」


「また何かあったの?」


「はい。また財宝を発見したようです。あとかなり科学的な文明の機械類も。千五百年は過ぎてるようですが、形をほぼ保っています」


「それでまた財宝をうちにくれた訳ね」


「対価は米にしてくれと」


「江戸時代の武士みたいだな」


 あの人もまあ、よく次から次へと。


 驚かなくなったけど、ちょっと身構えちゃうオレはやっぱり小市民なんだろうね。


「ジョニーさんが嫌な予感がするので、油断しないようにと」


「オレこのまま島の村長さんでいいんだけど。ジョニーさんが言うと本当に何かありそうで怖いな」


 千五百年前の遺跡で、原形留めてる機械類ってどうなのよ。


 劣化しない魔法とかあるんだろうか?


 ジョニーさんの支援はするけどさ。


 予感と言うならば、アンドロイド達との楽々無人島開拓生活のはずが、王道ファンタジーの冒険に巻き込まれそうな予感がする。


「ワン!」


「うん。お腹すいたか? よし家まで戻るぞ」


 ちょっとエルと話し込んでたらロボに吠えられた。


 子供だから構って欲しいんだろうね。


 実はロボとブランカは元の世界の犬や狼より、知能が高いみたいだとはケティが言ってた。


 どうもこの惑星では野性動物も魔法を使えるし、生存競争が厳しい分だけ強くて賢いみたいなんだよね。


 だから繋がなくても遠くにいかないし、呼べばちゃんと帰ってくる。


 昔のアニメみたいにしゃべったりはしないみたいだけど。


「司令。楽しそうですね」


「ジョニーさんとは生き方が違うからね」


「そういえば教会が完成したら、結婚式を挙げたい人が居るそうですよ」


「へ~。それはめでたいな。人の結婚式って行ったことないや。人付き合い悪かったから」


 ただロボとブランカはちゃんと平等に扱わないと、片方が拗ねるんだよね。


 吠えたロボの頭と顔を撫でてると、ブランカは自分もして欲しそうに大人しく待ってる。


 ここで撫でてやらないと結構本気で拗ねるからさ。


 ちゃんと二匹が満足するまでスキンシップして、町までゆっくり散歩しながら帰る。


「そういや神父さんとか居ないけど、どうしようっか」


「伯爵様が代わりにするそうですよ」


「そっか。移住してまだ間もないのに結婚するなんて凄いな」


「男性は伯爵様と一緒に旅をしていた兵士の一人ですよ。いろいろ大変だったので後悔したくないからと」


 伯爵様と一緒に移住して来た村人が早くも結婚か。


 教会とか予定してる建物終わったら、家を建ててやらないとな。


 新婚さんが家族と同居は何かと大変だろうし。


 そうだ。完成するまでは、宿屋にする予定の大きな屋敷に住んでもらおうか。


「エル。この世界の花嫁衣装は?」


「平民は特にないそうです。貴族ならば女性は特注のドレスを着るようですが」


「じゃあメアリーさんと相談して、ドレスを用意してやろうか」


「そうですね!」


「新婚旅行とかもプレゼントしよう。王国は何か巻き込まれそうだから帝国辺りで」


「楽しみですね。結婚式といえば昔一度ウェディングドレスを頼まれた時に参加して以来です」


「ああ。あの人か」


 結婚式か。


 リアルだと全く縁がなかったから楽しみだな。


 エルも久々の結婚式に本当に楽しそうにしてる。


 結婚式と言えばギャラクシー・オブ・プラネットで、アンドロイドと結婚式を上げるのが流行ったことを思い出した。


 実は最初の結婚式を上げたプレイヤーに、ウェディングドレスを提供したのウチのアンドロイドなんだよね。


 ギャラクシー・オブ・プラネットが終わって、あの人どうしてるかな。


 確か最後までゲームをしていたはずだし、特に攻略とかしないで結婚したアンドロイドと普通に生活していたはず。


 案外この世界に来てたりして。


 まさかね。


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