第103話・閑話・ジョニー。ダンジョンに挑戦する
「オルボアねぇ。懲りねえ奴等だ」
「当面このダンジョンのことは、他では話さぬようにお願いします」
「おう。分かったぜ」
あの得体の知れねえ盗賊モドキは、やっぱ盗賊じゃなかったか。
何処の世界にも悪いやつは居るな。
ああ、オレは今遺跡の中にいる。
この世界だとダンジョンって呼ばれてる場所らしい。
アレックスのとこのアンドロイドと一緒にな。
流石に怪しげな遺跡に一人で突入するほど馬鹿じゃねえよ。
「しかし、こりゃどう考えてもエレベーターだよな」
「文字は古代ムートリア文字ですね。それにしても素晴らしいです。推定二千年は前の物が、これほど確かな物として残ってるとは」
「直せるかい?」
「技術レベルが既存のマジックアイテムと桁が違います。解析に時間がかかりますね。それにメイン動力は、他にあるようです。どのみちエレベーターだけを直しても動きませんよ」
地上では見ないような魔物なんかが居て一苦労だが、問題は魔物よりも遺跡のトラップだ。
「トラップは動いてるだろ?」
「あれは自立型のトラップです。恐らく非常用の物と思われます。それとダンジョンという場所自体が、一つの特異点と言いますか生体兵器と言いますか。魔物の領域として地上とは別の空間になってます。ファンタジー的に言うならばダンジョンは生きていると言うべきかもしれませんが」
悪いがオレはトレジャーハンターじゃないんでな。
トラップって奴が苦手だ。
中はあちこち劣化していたかと思えば、妙に新しいというか今でも使えそうな場所がある。
地下五階に居たキマイラのような合成獣らしき魔物が守っていた先に、まだ使えそうなエレベーターがあったんだ。
流石にすぐに使えるとは思ってないが、直すのも楽じゃないか。
ダンジョンって奴は、どうやら魔物が自然に生まれてくるらしい。
アンドロイドはそれも理屈を知りたいらしいが、オレにとっちゃあ厄介なだけだ。
下には何があるか興味があるだけで、別に魔物と戦いたい訳じゃないからな。
本当は床に穴開けてさっさと降りたいが、アンドロイドいわく特殊な空間なんで、それやるとどうなるか分からないと言われると諦めるしかねえ。
「まあいい。飯にすっか」
「そうですね。ここには魔物が発生した形跡はないですから、ここで休憩しましょう」
「それにしてもかなり文明が進んだ遺跡だな」
「そうですね。高度な魔法文明とでも言いましょうか。外の世界ではこの手の遺跡から出た、ガラクタが大金に変わるらしいですよ」
「確かにオルボアの連中が欲しがりそうだな」
「ほとんどは解析すら出来ぬまま、壊して終わるようですけどね。この遺跡を見る限り、地上にあるマジックアイテムの大半は遺跡の出土品の劣化コピーかもしれません」
「連中は遺跡でも堀り当てたか?」
「分かりません」
古代の超文明なんて面白そうなんだけどな。
ただ一から積み重ねたモノじゃねえ技術なんてのは、下手な人間が手に入れるとろくなことに使わんだろう。
オルボアが何を考えてるか知らねえが、信義に欠けるならオレが叩き潰してやる。
アレックスは困った顔をするだろうが、支援はしてくれるだろう。
命を賭けるのはオレがやればいい。
あいつにはあいつのやり方があるはずだからな。
「まあいいさ。何事も無駄になることはねえしな」
「はい。正直これ程の文明の遺跡を発見出来たのは幸いです」
「さて、いくか?」
「はい。私達は大丈夫です」
対艦用のレーザーライフルに、どっかの映画にあったみたいなレーザーサーベルの切れ味はまだまだ通用する。
今はこのダンジョンの底とやらを、拝ませてもらうまで頑張るとするかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます