第40話・魔物の解体と二匹の名前
二匹の名前が中々決まらないがそんな最中も森の中では敵性生命体が襲い掛かってくる。
まあ倒すのはジュリア一人だし問題ないが、やはり大変なのが後始末になる。
魔石の他に肉や皮に一部の臓器がケティの薬に使えるものの解体に時間がかかり、解体してる最中に襲われるという問題も発生した。
それと馬車は居住性を確保する為にあまり荷物を積めないので何でもかんでも持っていく訳にもいかない。
「これ解体が手間だな。よくある何でも入る道具袋とかないもんかね」
「何でもとはいかないようですが類似するマジックアイテムもあるにはあるようですが遺跡やダンジョンの発掘品で非常に高価なようです。製造方法は失われたのか元々ないのか不明ですが。調査研究部が欲しがってます。ただそれだけならばドア程度のサイズの短距離ゲートを設置して倉庫と馬車を繋げた方が早いかと」
ファンタジー物でお馴染みの何でも入る道具袋とかアイテムボックスとかはギャラクシー・オブ・プラネットにはない。
空間拡張なんて出来るなら巨大な戦艦や要塞なんて不要になるし当然なんだけど。
まさかと思ったがこの惑星には本当にそんな物があるのか。
一部の技術はやはり高いのが明らかになったが、ギャラクシー・オブ・プラネットにも俗にいうワープ航法や空間と空間を繋ぐゲートを設置する技術がある。
銀河と銀河を繋ぐようなゲートは大型で宇宙空間に設置するしかないが星系内程度の短距離ゲートならば最小でドアのサイズもある。
流石に某アニメの猫型ロボットのように何処でも行くのは無理だが。
「とりあえずそれはあとで考えるか」
ただまあ現状は敵性生命体を狩ってそれを資金にするほどお金に困ってないし、解体する時間を考えると本当必要な魔石なんかを取って放置するのがまあ無難かね。
倉庫と繋げてロボット兵に解体させるくらいならその時間でロボット兵に他の金策をさせる方が早いし。
今回オレ達が解体したのも実は猪らしき魔物が居たからでケティの分析では美味しい成分だというから解体しただけだしね。
「ケティ。どうだ?」
「健康そのもの」
猪モドキの解体が終わり肉を馬車に積むと出発するが子狼達が起き出してまたお腹を空かせた様子で切なそうな鳴き声上げていたので、今度はジュリアとケティでミルクをあげるがケティはついでにと診察していた。
幸いなことに健康体らしく一安心だけどこの子達もしかして犬と同じ感じなら一日に何回もミルクをあげなきゃだめかも。
母親は灰色の狼だったせいかこの子達も灰色の毛並みで綺麗に拭いてやると本当に可愛い。
二匹を入れてる籠のそこには吸水性のあるシートを敷いていたので排泄の状態を確認しつつそれを取り替えてやる。
「名前どうしようか? ポチとかシロじゃ犬だし」
「司令ネーミングセンスないわね。ここはファンタジーらしくフェンリルからフェンとリルでどう?」
「私はサクラとモモがいいかと」
「ロボとブランカ」
二匹が落ち着くと中断していた名前について話し合うがオレの意見はジュリアに一蹴されちゃって、ファンタジーらしい名前を付けたいジュリアと日本っぽい名前を付けたいエルと某動物記から名前を付けたいケティの三つ巴の争いとなる。
「えーと、ならじゃんけんで」
珍しく三人とも引かぬ状況にここでオレに決めてと話が流れそうだが、それはそれで誰の案を選んでも角が立つと困るので運を天に任せてじゃんけんで決めてもらうことにする。
SFだろうがファンタジーだろうか結局じゃんけんが尤もこの場の解決には最適だろう。
「私の勝ち。貴方はロボ。貴女はブランカ」
三人のアンドロイドによるローテクなじゃんけん勝負は数回のあいこの末にケティが勝った。
ケティはまだ目も開かぬ二匹を優しく撫でて命名すると微かな笑みを浮かべ新しい仲間の誕生を喜んでいた。
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