第17話・冒険への旅立ち?

 翌日オレはエルとジュリアとケティと共に、いよいよ出発することにした。


 拠点の島は未完成であるがこの惑星の文明レベルに合わせた見た目の船は完成していて、それで文明のある大陸の港町までいくことになるようだ。


 見た目はいわゆる帆船で小型のガレオン船に近く、乗組員は戦闘タイプのアンドロイドを船長にして、他は人工皮膚で人に見えるようにしたロボット兵になる。


 ただ中身はやはり普通の船ではなく、反重力エンジンに核融合炉とバリアという基本性能に加えて、海中の敵性生命体との戦闘を主とした兵器を搭載しているらしい。


「ジュリアはやっぱりそれか。二人はそれでいいのか?」


「変でしょうか?」


「問題ない」


 なおジュリアがビキニアーマーにバスタードソードの姿なのは今更ながら、エルは旅の服装のメイドさんみたいな服だし、ケティは魔法使いのような頭から全身をすっぽりと着込むローブを着ていた。


 ああオレは一応行商人っぽい地味な服装にしたので、問題はエルなんだけど本人は気に入ってるっぽいし、ビキニアーマーに比べたらマシか。


 エルの性格と爆乳なスタイルにビキニアーマーを着られたらどうしようかと、少し期待したのでホッとしたような残念なような。


「いいんじゃないかな」


「さあ、司令出発するよ!」


 さすがにSFの服装じゃないなら、みんな好きな服装でいいか。


 ちなみにジュリアのビキニアーマーは現地産の物で、オレとエルとケティは見た目がファンタジー仕様にしたけど一応防護服の一種になってる。


 オレは生体強化してるし、エル達はアンドロイドなんで防護服も本当は要らないくらいなんだけどね。


 念のためにと開発製造部が製作したので着ていくことにした。


 見た目は本当普通の服にしか見えないけど、毒や有害な物質に対人レーザーすらも弾く優れものだ。


 他には任意で発生させる個人用バリアに携帯用レーザーガンを全員が持っていて、エルはジュリアのバスタードソードと同じイベントで手に入れたレーザー仕様のナイフを二本と、ケティは弓矢型レーザーライフルを持っていくみたい。


 オレ? オレの戦闘力は万能型のエルや医療型のケティより低いし、射撃以外はダメだから戦うなと言われてる。


 船に馬車と馬型アンドロイドを積んだオレ達は、拠点の島をアンドロイド達に任せて冒険の旅に出発だ!




「ウフフ。何が釣れるかしら」


「楽しそうだな。ジュリア」


「もちろんよ! どんな魔物が釣れるかしら?」


 島を出発した船だが、しばらくは人目もないことから海面ギリギリを飛んで進む。


 ジュリアはわくわくを抑えきれない様子で、さっそく船から海に敵性生命体の干し肉を餌にした釣糸を垂らし始めた。


 オレはてっきり魚釣りするのかと思ったが、狙いは海中の敵性生命体らしい。


「そのうち海賊王にでもなるとか、言い出すんじゃないだろうな」


「ジュリア、意外に昔のアニメ好き」


 いや、本当誰よりも楽しそうなビキニアーマーのお姉さんなんだけど、冒険冒険って騒いでたのはケティいわく昔のアニメが原因だとか。


「来たーーー!」


「司令。敵です」


「あー、船体にバリアを張って待機。ジュリアの楽しみの邪魔しないように」


 本当に敵性生命体が掛かるのかと半信半疑なオレとケティだが。


 すぐに竿が大きくしなると嬉々とした表情のジュリアは、リールを自動で巻かせながらバスタードソードを抜いて敵を今か今かと待ち受ける。


 若干呆れた表情の船長を任せたアンドロイドは、どうするのと視線を向けながら敵襲を知らせてきた。


 でも、ジュリアの楽しみを奪うのは良くない。


 獲物を前にしたジュリアは少し危険なんだ。



「かかってきな!」


 実はジュリアが使ってる竿もギャラクシー・オブ・プラネットのアイテムなので敵性生命体に効くかは分からないが、宇宙の未開惑星に居る凶暴な魚類を相手にしてもいいようにとかなり強い電気ショックを与えれるんだけど使う気はないらしい。


「あ~、あれマグロの一種かな? かなり強い水鉄砲みたいなの口から吐いたけど」


「恐らくあれが魔法ではないでしょうか? 水の質量的にあの魚類が吐いたにしては量が合いません」


 オレは生まれて初めてリアルな戦闘を目の前で見ることになるがあまり緊張感もなく、異世界の漁師は命懸けなんだなと昔に見たマグロを釣る漁師のドキュメンタリーを思い出す余裕があった。


 釣られたのはマグロを大きくして凶暴化させたような魚類で、迫力はあるし口からかなり強力な水圧の水を吐いて来たものの、オレ達は船のバリアに守られて無傷なのが余裕の理由だろう。


「いっちょあがり!」


 決着はあっさりと決まったというか、ジュリアは釣り上げたマグロモドキをバスタードソードで頭から縦に真っ二つに見事に切り裂いてしまった。


「ジュリア。船を汚さないでよ」


「悪い悪い。つい興奮しちゃってね」


 マグロモドキはそのまま船上にドスンと音を立てて落ちてきてしまい、ついでに血や臓物をぶちまけてちゃったよ。


 ジュリアは船長のアンドロイドに嫌な顔をされていたが。



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