シェアリング事件について
高島威美(たかしまたけみ)
1
シェアリング事件。通称
海外での名声も高い著名人による大量殺人という話題性や内容の異常性、猟奇性、そしてその結末は世界中に衝撃を与え、その
私は今回、事件の被害者のうち唯一生存した女性とコンタクトを取り、取材の承諾を得ることができた。
彼女については事件の詳細が明るみになるにつれて報道機関が自主規制を
とはいえ社会復帰は果たせず、現在もある施設に入所したまま、という
約束の日取り、私は施設を訪れた(所在や詳細は伏せることが承諾の条件なので明記しない)。
午前十一時すぎ、彼女は職員に連れられて歩いてきた。
唯一の生存者こと
やがて
里香さんは証人として
現在でも
にもかかわらず私にだけ心を開いてくれたのは、おそらくあのことを話したからだろう。
「今回取材を受けてくれた理由は、私があの映像を見たと知ったからですか?」
「はい。――そういう方なら今までの報道や記事とは違って恐れずに真実を発表してくれると思ったので、今回この話を受けさせていただきました」
「失礼ですが事件の報道は一切ご覧になっていないとお聞きしました。それなのにどうして不備があるとお感じになったんでしょうか?」
里香さんは小さく
「そもそも捕まった人たちは関係ありません。事件については本来裁かれるべき人たちがいるからです」
私はここである人物の名前を思い浮かべたが、そのまま口にするのは避けられて質問を変えた。
「つまり『彼』ではない真犯人がまだいるということですか?」
「はい」
彼女ははっきりと答えた。
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