「疲れたので、不労所得でちょっとFIREしてくる」って言いたい人の開拓日誌

第30話 何もしないをしてるんだよ

　以前にもお伝えしたが、2020年春にすがすがしい程に盛大にメンタルを崩壊させてしまった余波のせいで、2021年にも新しい会社でいきなりつまづいた私。

　この三年間はほぼ記憶が無い。

　配属先も忙しいところで、仕事に追われる毎日。

　執筆も方向性に悩み、敢えて作風を変えてみたりカクヨムさんで投稿をしてみたりしたものの、結果はいまいち。

　なので数少ない既知に送る年賀状も「トピックは無い」と毎年綴るだけであった。

（もちろん今も繋がる親友とは普通にLINEで、あけおめとかできるからね）

　そういう意味での転機は、やっぱ2023年夏～2024年かな。

　仕事、執筆、投資すべての舞台が次のステージへと動き出したのがここらへん。

　ようやく私は四十なかばにして、やっと『不惑』の境地の先っぽに至り始めた。

　もちろん今でも心療内科の主治医のお世話になってるし、御守り代わりとして念のため、おクスリは欠かさない。

　以前、良くなったと思い自己判断で勝手に内服をやめて、苦しんだ経験がある。

「知らないうちに飲まなくなったくらいがちょうどいいんですよ」

　先生はそう言うが、酒もタバコも（私は飲まないが）コーヒーも、自分の意思でいつかやめようとしないと、ずっと続くのよね。生活のルーティーンだし。

　村づくりは本村とサテライト村ふたつ。

　前年のコロナ騒動にも徐々に慣れてきた日常。

　もちろん世間ではまだ、緊急事態宣言とその狭間の往復運動でもある。

　日経平均株価もそれに倣って時折３万円台を行ったり来たりだ。

　さて、今回は2021年夏以降の取引をお届けしたい。

　まず村にやってきたのは地方の原野を切り拓く地面師だ。

　東急不動産ホールディングス＜3289＞。

　関東ではお馴染み鉄道の東急さん。

　渋谷、目黒、町田、横浜、蒲田など東京周辺のあらゆるオフィス街からベッドタウンまでを網羅しており、輸送人員は民鉄最大とのこと。

　しかし肝心の鉄道輸送や不動産、建設、ホテル、食品スーパー、何をとっても業界で首位になれる分野がないので『お公家集団』と揶揄されることもしばしば。

　そんないまいちな東急だが、グループの東急不動産さんを購入したのは面白い優待があるからだ。

　優待は半年に一度、保有株数に応じて会員制ホテル、リゾートホテルにシティホテル、加えてゴルフ場、スキー場等が会員価格で利用できる優待券を貰える。

　いつも長編の下読みをしてくれたり、たまに応援イラストをくれる投資家仲間の父がこちらの会員制ホテルの会員権を保有しており、それをわけて頂いた折には、企画会議と称して東急不動産さんの会員制ホテル『ハーヴェスト』にお邪魔していた。

　そのご相伴に預かれるのもありがたい話だが、たまにはトッモのパッパの力ではなく、自分で泊まってみようと思ったのが購入のキッカケである。

　しかし、実際に自分で泊まったのは今のところ１回だけ。

　ほぼ配当銘柄になっている。

　当然と言えば当然だが、全国各地にあるハーヴェストさんに希望する日時で部屋が取りにくい、というのが理由だ。

　正会員様や企業会員様から順に予約が埋まり（おおむね８週間前）、かつ当該施設と会員契約したホーム券と、全国にあるハーヴェストさんを利用できるビジター券でも予約の優先度や部屋数が異なる。

　そこからさらに時を経た６週間前になってようやく、株主優待での宿泊予約が可能になる。

　んでその頃には正会員様や企業会員様、ビジター様によって大半の部屋が埋まり、株主会員には平日の真ん中あたりで、かつ余り物の哀しくイモいハーヴェストさんしか残ってない。

　そのくせ『じゃらん』枠みたいな外販のお部屋が予約残だったりするから、哀しいイモ株主としては益々腹立たしかったりする。

　まぁそれでも百株で年に２回、優待券が貰えるからね。

　正会員様になるには僻地のイモいホテルでも数百万円、超絶人気の熱海や京都だと一千万円近くするが、株主優待なら2024年12月現在価格の16万円で貰える。

　もちろん株主会員は正会員様やビジター様とは異なり、先述の熱海といった一部の神施設にはお邪魔できない仕様なので、注意されたし。

　加えて宿泊単価も正会員様とは若干異なり、少し高い。

　会員制ホテルだからって正会員様でも株主でも、さすがに無料で宿泊できる訳ではないから、そこの勘違いもされないように。

　リゾートマンションのような区分所有だと相続時の重荷になったりするが、会員制ホテルのメリットは会員権を売却するだけで、身体ひとつで簡単に終活できることでもある。

　さらに８月末、決算前の権利取り日直前に購入したのが、こちら。

　コジマ＜7513＞。

　既に株主であるビックカメラ＜3048＞さんの傘下になったのは2012年。

　なぜコジマさんも買ったかと言うと、単に我が家からはビックさんより店舗が近かっただけ。

　しかしコジマさんはビックポイントの付与率が基本は１％と渋い。

　もちろん商品によってはビックさんと同じ10％水準の物もある。

　私が驚いたのは、父とおだいどこのエアコンを買い替えに行った時にポイントがつかなかったことだ。理由は「パナソニックだから」とのこと。それはパナソニックさんに失礼ではないか？

　それともそういうこじつけをパナソニックさんは小売に押し付けてるのだろうか？

　その辺の話をパナソニックさんにも聞きたいところ。

　けっきょく交渉の末に込み込み１万ポイントで妥結した。

　だから本当はビックさん本体に行って買い物がしたいのよ。

　コジマさんの株主優待はビック、コジマ、ソフマップなどの系列で使える優待買い物券。なのでこの額面分はポイントが付かない。前回を参照のこと。

　これまでコジマさんは、年一回の８月決算で百株から千円の買い物券を貰えていたが、2023年８月期より優待の拡充で２月末にも千円分の、８月決算には保有期間に応じて最大２千円の買い物券がもらえることになった。

　これにビックさんの優待券も加えれば、百株でもだいたい半期で３千円の割引になる。

　これだから親子上場はありがたい。

　親子とも保有すれば売上のシャワー効果で相応のメリットがある。

　もちろん資本から仕入れまで共依存の関係なので、親子とも共倒れというデメリットもある。

　例えばやまやさんの傘下になったチムニーさんは、コロナ禍で宴会需要が無くなり株価もずいぶん下落して無配が続いた。株主優待お食事券の枚数も減った。

　当然ながらチムニーさんに卸もしている、やまやさんへの影響も大きい。

　宅飲みなどの巣ごもり需要が一定量あったとしても、個人客への小売で凌げるものではなく、やまやさんの業績も2021年度は赤字に転落している。

　そんな取引をしていた2021年８月某日。

　私は投資家仲間と一緒に群馬県を旅していた。

　拙作『あの娘に「すき」と言えないワケで』。

　第28回電撃大賞さんで三次選考を通過した報を受けてのお祝い会であった。

　詳細は第27話で書いたとおり。

　しかし群馬県みどり市東町をモチーフにした作品なのに、群馬県東部にはほとんど温泉宿が無い。

　作中に登場した『みどりさわダム』のモデル、草木ダムを皆で眺めながらそのまま我々は栃木県の宿へと向かうこととなったのは、ご愛嬌。

　この時の旅で着想を得た私は、一本の小説を書いている。

　いつも下読みや意見をしてくれる投資家仲間達にだけ向けて書いた、読者が世界で二人だけの10万文字の長編作品だ。

　公募にも出していないしカクヨムさんや他投稿サイトでも完全未発表の作品だが、悔しいことにこれが今までの作品で彼らに一番評判が良かったりする。

　どーいうことだっつーの。

　また、群馬県みどり市や、福島県南会津町、新潟県糸魚川市もそう。

　私の作品を下読みしていなければ「個人的には一生来なかったかもしれない地方の町に聖地巡礼として行ける」のも、旅に変化があって評判ではあった。

　ただしあまりにも何もない所ばかり聖地に選ぶので、二度以上は厳しいとも言われてしまった。

　そういう意味で京都府京都市左京区の貴船だけは、さすがの特別扱いである。

　彼らとは二か月後にまた箱根に行くんだけどね。

　本当に彼らと旅ばかりしている。

　でも村の開拓への入金力が落ちた訳じゃないのよ。

　さらに秋～暮れのパン祭りにかけて、６銘柄を購入したんだから。

　この年の私の執念は相当なものだったに違いない。

　日常のトピックも無いので、次回はどんどん新たな仲間をご紹介したい。