廃遊園地の戦い

第81話 いざ、廃遊園地へ

「キミは?」


「あら、ごあいさつね。今日は私を、陽花だとは思ってくれないわけ?」


 陽花の顔をした誰か、鶴山月花つるやまつきかが不敵に微笑んだ。


 陽花を探しているときに陽花の双子の姉に会うとは、ややこしい話だ。


 俺はキミに用はないと言いたかったが、さすがに失礼なので受け答えをする。


「陽花は、ごきげんよう、なんて気取った言い回しをしない」


「あはは、そうね。私の妹は、引っ込み思案だから……よくわかっているじゃない」


 月花は陽花と同じ顔で、同じ服装で、俺を試すみたいに言った。


 見た目が似ていても受ける印象がまるで違うのは、人柄かな。


 月花からは、どこか尊大で他人を見下しているような印象を受ける。


 おそらくだが、その印象は間違っていないのだろう。


 苦手なタイプだ。俺が対応に困っていると、月花が言う。


「陽花なら、ここにはいないわよ」


「? どういうことだ?」


「ちょっとねえ、あの子には、さらわれのお姫さまになってもらったの」


 訳の分からないことを言って、月花がニヤリとした。


「廃遊園地へ来なさい。言っておくけど、断ったら許さないから」

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