魔法学園の無能力者、刀で最強を斬り捨てる

@futami-i

入学式

第1話 この世に誰かがいてくれたなら

 俺はゴミだった。


 すべての人間が魔法に目覚めた時代に生まれて、誰と競い合うこともなく、無気力に生きて、中学校までの人生を無意味に終わらせた。


 力はなく、学問には通じず、才能があったとしても無価値に浪費する。


 世界中の学園が、最強の魔法能力者を決めようとやっきになっている時に、半端者を取り合ってくれる学友や教師がいるはずもなく、俺はずっと、ひとりきりだった。


 俺に天から与えられた魔法は弱く、刀を呼び出すだけの役に立たない代物だった。


 魔法剣ではなく、妖刀ではなく、無理な力を加えれば折れてしまう弱い刀だ。


 その俺が、学園最強を決める大会に出場したのは、なんの縁があってのことか。


「おい無能力者レベルゼロ、おまえ、今、上級生俺たちを倒すと言ったのか?」


 俺は衆人環視しゅうじんかんしの場で、答えなければならなかった。


「答えてみろよ! カッコつけ野郎!」


「そう言ったんだ」


 俺は刀を手にした。“最強”という名の、もろい刀だ。

 称賛さえ求めず、無意味に、無価値に、無気力に、俺は自分を浪費する。


 あるいはこの世に――


 俺の命を捧げられる、誰がが、いてくれたなら。

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