第38話

「おい、足助は家引っ越したぞ」


「は?なんの話よ」


無理やり駅まで送られた。これから青森の家に帰るところだ。


「だから、新居」


「えー早」


「しかも豪邸だそ」


「うわーやっぱ?」


「学会出た後、呼び出された。まったく、俺のプライベートをなんだと思ってるんだ」


「あっそ」


めちゃくちゃ雑に扱われた。


「それで、お前緒方さんに足助が結婚したこと話したんだろ?」


「もちろん。むかつくよね?って」


「で?相手の話は?」


「あー、大学の時の教師だったことは話したかな?」


「足助のところにやってきて、結婚を迫ったらしい」


「まじ!なにそれ!ありえな」


「だから、言っててくれ。以原先生は金持ちの家だから迫ったとしても無理だとな」


「…そうね。電話で言ってたほうがいい?」


「いや。今度来た時。足助は、思ってた以上に以原先生と仲良いみたいだ。タメ口だったし、名前呼びしてたし、あんなうざい先生の言いなりだ」


「へー?それで、なんで仲良くなったか聞いた?」


「スルー。大学は接点ないだろって言ったけど、スルー。さっさと皿並べろってさ」


「は?あんたなにしに行ったの?」


「キッチンに皿などを並べる仕事を押し付けられた」


「雑用させられてんじゃん」


「あいつ、家で仕事してた。明日退職らしい」


「はぁ!?」


まりこのでかい声で疲れてきた。

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