第19話

「ま、いいや。部屋入ってみよ」


「え、足助先生のお宅…ここに引っ越されるんですか!?」


「まぁね」


「これが別荘ねぇ、部屋の中はどうなってるんやら」


俺も知らない。外に柵(ドッグランにするため)をつけるのは業者に既にやってもらったけども。


扉の鍵を開けると、埃っぽい匂い。だけど、そんなに息苦しいほどではないし、使ってはいたみたい。


「うーわ、汚な。家具とかもけっこうあるなぁ。入れすぎ」


ほんとだ…なんでもありそうだけどありすぎかな。あちこち探検する。


「おい足助。これ掃除するのも一苦労だ。要らないものは処分するぞ」


「え、うん。見極めます」


「粗大ゴミは、業者呼べや」


すると、零くんはすっと手を上げる。


「細川先生、知り合いならいます。なので、すぐ呼べますよ」


「零くん、助かるよ。で、早速だけど、このテーブルとイスいらない。こんな来客とか呼ばないし」


「はい。わかりました。外に出します」


着物なのだが、零くんは謎の力持ちである。なにあれ、1人でできるもんなん?


「…俺は掃除するから」


細川くんはお洒落な格好なのに、それにエプロンしたりマスクしたり…ださくなってる。

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