第18話 ドリフの大爆笑
ヒナタマの方は挑発的な視線で
ヒナタマは、更に自分をアピールするように、指をクネクネと動かしながら、妖艶な仕草でヴァルアの前をキャット・ウォークしていくヒナタマ=シェオンル。
そんな様子をぶすっと見ていたリル・シルは、ピッカリンコと閃いて、互いに見つめ合う。そして、二人の片足がスイーッと伸び、ヒナタマのドレスの裾を踏ん付ける。
「アッ! ヒナタマ様!」
プチ・シャオンラー達の呼び止めに応じずそのまま歩き続けると、観衆の大歓声!
(ウフフフッ。そうよ! 皆さん驚きなさい! このあたくしの美貌に! 将来全世界のファッション界に大旋風を巻き起こすスーパーモデルのあたくしの美貌にぃぃぃぃぃ!)
と、思わず手を首筋に当ててポーズをつけ、人に見られる快感に恍惚としている。そのところに、ドワッハッハッハッハッ! 大爆笑の嵐が大講堂中に巻き起こった。
(ん? 何よ、この笑いは!)と訝しがるヒナタマの目に、プチ・シャオンラー達が一所懸命、下を指さしているじゃないか!
(どうしたっていうの……よ オ オ オ オ オ ッ ? !)
自分の下半身を見たヒナタマは髪の毛逆立ち状態! 何と彼女の下半身はパンティー一枚だけだったのである。それもあの灑音流・レッドの真っ赤なパンティーであった!
校庭を揺るがすような悲鳴を上げるヒナタマ。大爆笑の中を、慌てて付き人の少女が飛び出して来て、スカートを持ち上げた。
そんな様子を黙って見ていたヴァルアが、手を差し伸べる。
「ああ、ヴァルア様……。なんとお優しい」と、伸ばすヒナタマの手を擦り抜けて、ヴァルアの左手が、少女の前に差し出された。そう付き人の方に! その付き人の少女も手を伸ばす。ヴァルアは跪いて、その手を取り、恭しく手の甲に接吻した。
すると次の瞬間驚くべき事が群衆の目の前で起きた。ヴァルアに恭しく接吻された乙女の顔にパーッと薔薇色の微笑みが咲いたのである。譬えるなら乙女が一番好きな男に操を捧げた直後の、あの意味深な微笑みである。
勿論ヴァルアはこの少女と何らそういう関係を持った訳でもない。だが一流のデザイナーとは、己の言葉、視線、そう己の存在だけで、精神的に、モデルに処女性を喪失させたり逆に再生させたり出来るのだ。ヴァルアはその乙女の全身を見て、側にいるスーパーエルフにそのサイズを告げた。
ヴァルアは次にまるで彼女の体を触るように宙で指を触手の如く動かす。すると、次第にその乙女の瞳がトローンとしてきて、全身を小刻みに震わせ始めた。そう! これぞ秘技中の秘技であり、ヴァルアはこうする事だけで女性の体の隅々の凹凸を把握するのだ。
そして、その間、女性は正に、達するような感覚に襲われるという。
そんな様子を、ギリギリと歯を鳴らして見ていたヒナタマが、金切り声で、
「何してるの、ノンノ! 下女のお前が主人であるあたくしを差し置いてモデルになるなんて許さなくてよ!」と叫び、ノンノと呼ばれた少女の頬を一発叩いた。飛ぶ眼鏡。そして、もう一発叩こうとしたまさにその時!
「やめないか!」と言い、ベベルゥはヒナタマが振り上げた手を掴んでいる。
そして、冷たい視線がヒナタマに向けられる。皆、実のところ、マヨーク=シャオンルの娘である事を鼻にかけ、高慢ちきな態度の彼女を快く思っていなかったのだ。
その中には、マッスル美女軍団も腕組みしてヒナタマを見下ろしている。
「何ですの皆さん! そ、その目は!」と尊大に言ったところで、それは余計に彼女達の気持ちを逆なでするだけであった。そして、
「お、覚えてらっしゃいッ!!! ノンノ! お前はクビよ!」
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