戦国のボンバーマン、異世界転生でヒャッハーする

冬華

序章 稀代の悪人は、異世界転生する

第1話 松永久秀の異世界転生(前編)

死んだ。ド派手に。


天正5年(1577年)10月10日。織田信忠率いる10万の軍勢に居城・信貴山城を包囲されて、愛用の平蜘蛛茶釜に火薬を詰めて火を灯し、天守閣でド派手に爆死したはずだった。


それなのに、これはどういうことなのだろうと、松永久秀は思った。


周囲を見渡せば何もない真っ白な空間が広がり、手には爆破したはずの平蜘蛛茶釜がある。あの世であるのなら、三途の川があるはずなのに、それも見当たらない。


現世に未練はちっともないし、地獄でもどこでも送りやがれと思っているが、さすがに放置プレイは勘弁してもらいたい。


「おい!誰かいないのか!!」


返事を期待したわけじゃなかったが、何か言わないと気が済まず叫んでみた。すると、天女のような白いひらひらした衣をまとった若くて綺麗な女が突然現れた。


「おまたせしました。私があなたの担当官を務めるルキナと申します。転生までの短い間ですが、よろしくお願いします」


「ほう……」


久秀の目が彼女の体を凝視する。胸は大きく、胴回りは細く、腰回りは大きい。


「……な、なんですか?そんなにジロジロ見て……」


久秀の視線に不快感を感じたルキナは、両手で胸を隠しながら怪訝そうにした。


「いや、いくさで禁欲中だったものでな。少しムラムラしてきたから抱きたいなと思っただけだ。気にするな」


「はああっ!?」


ルキナは驚き、顔を真っ赤にして声を上げた。そして、直感的にこのままここにいたらまずいことになると思って、神殿への転移を試みるが……


「逃がさねえよ」


強引に右手を掴まれて、力づくでそのまま引きずり倒された。


「ち……近寄らないで……」


ルキナは右手を払いのけ、逃れようと後ずさりするが、久秀に追い詰められて唇を塞がれる。


「いやっ!!離して!!」


ルキナは久秀の頬を叩き、逃れようと暴れて必死に抵抗する。しかし、力ではかなわず、今度は身にまとっていた衣を久秀の手によって一気に脱がされた。


「いいじゃないか。ここにはワシとおまえの二人しかいないし。南蛮人どもが言ってた『アダムとイブ』ってやつになろうぜ」


白い乳房が露わになり、久秀に揉まれ吸い付かれる。


「あ……」


ルキナの口から声が漏れる。抵抗しようと思うが、気持ちがよすぎて力が入らない。


(どうしよう……このままだと……)


女神は処女でなければならない。もし、そうでなくなれば、神格を剥奪されて下界へ追放されるのだ。


このまま久秀に犯されれば、そうなる未来が待っている。ゆえに、この場は何としても逃れなければならない。……逃れなければならないのだが、久秀の手管は絶妙だった。


(だめ……もうこれ以上は……あ……)


男を知らないルキナにとって、それは刺激的で初めて味わう快楽。思考は鈍化していく。


(もういいわ……。明日考えましょ)


明日考えるのでは手遅れなのだが、こうしてルキナの心はあっさり陥落した。


「どうする?ワシは嫌がる女は抱かない主義だが?」


「ここまでしておいて、何を言ってるんですか。あと……初めてなの。やさしく……してください」


頬を染めて小さな声でルキナは言った。もう迷わなかった。例えこの先、下界に追われようとも、悔いはなかった。


「ああ、わかった」


久秀はただそれだけ答え、体を重ねた。誰も見ていないこの白い空間の中で、何度も、何度も。





「そういえば、おまえワシに何か用があったんじゃないのか?」


「あっ!」


事が終わった後、久秀に言われて自分の使命をルキナは思い出した。

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