2日目! 舗装道路の作り方
『ファンタジー世界での舗装道路の作り方』
このコーナーは、テンプレートを中心に、よりリアリティを増すためにどうしたらいいか、というより俺氏が納得いかんところに理屈をつけるシリーズで、異論は認めます。
1)前説
さて、カクヨムコンに出しているノーマルエンド、これは本来街を発展させながら魔王を倒すシミュレーション含みゲーとなっております。
そこで技術開発のためには他国の技術流入が必要なのだが、物流に最も重要なのは『道』である。そして貿易で金を集めるにも、人材や人足を集めるにも、そこから税金で上がりをとるにも良き道路は必要である。全ての道はローマに通じるごとく、その道を制すればその地域を文化制覇できるといっても過言ではない。
つまりインフラの整備というものは街の発展に必須なのだ!
まあ国力が伴わなければその道を通じて攻め入られやすくなるという難点もあるわけだけれどもね。
前回で『物理定数』という単語を出して説明が面倒くさいとほっぽっといたが、ちょっとこれを説明する。
この地球には万有引力やプランク定数、簡単に言えば林檎は地面に落下するだとか、そういったこの世界の動かしがたい法則が存在する。そしてそのような基礎的な法則をまとめて『物理定数』と呼ばれている。そして地球の物理定数とナーロッパ的文化が現存する地球人が転移しうる異世界の物理定数は同じまたはほぼ同じはずなのだ。
だって引力や重力がない世界で同じ暮らしができるわけがないじゃん。簡単にファンタジー的に言えば世界を構成する基礎設定が『物理定数』で、そのような動かしがたいものが共通するからこそ、地球と近似する文化文明が発展するはずなのだ。だから地球でも発見される鉄類似物質で相手を殴り倒し、地球でも発見されるジャガイモ類似物質を茹でて食べてもおかしくはない。
という前提で、特殊地形等を除いて考えれば、現状僕が書いている異世界には地球に存在するものは存在する、という前提で話を進めます。
2)コンクリート舗装しよう!
あ)セメント作り
一番原始的な道というのは言わずとしれた獣道。これはたくさんの重量が通過することに酔って土が踏み固められてできるもの。さて、全ての道はローマに通ずの示す通り、古代ローマには道があった。そしてその道はローマン・コンクリートと呼ばれる一種なセメント舗装だ。だからそれより文化程度が高いと目されるナーロッパでは同様の地形であれば道路の舗装はできなくはない、と思う。
ローマン・コンクリートの基礎原料は火山灰、石灰、火山岩、海水だ。
つまり火山地帯であれば造成できる。このコンクリートは現在のアルカリ性ではなく中性でできている、いわゆる現在身の回りにある『コンクリート』とは少し異なるものです。
そして何故ローマン・コンクリートが千年以上経過した現在まで現存しているのかは、海水と火山灰と石灰が混じり合って発熱し、長時間かけてトバモライト結晶を始めとした様々な物質を化学反応によって結成しているからといわれる。
ここで少々問題があってだな、火山灰の組成というのは山によって大分違うのだ。だから同じような強度になるかは異世界にいってからの少々の研究が必要だろう。そしてその結果、強固なコンクリートになるかは千年、とはいわないが時間が経過しないとわかりようがないので、現代のコンクリート製造にうつろう。
現代コンクリートは産業革命以降に興隆したものだが、さほど難しくはない。
最初はコンクリートに必要なセメントからだ。セメントというのは意外とアバウトな概念で、水と混ぜて固まるならばセメントだから膠や樹脂も含む概念なのだが、今回は道路を作ることを前提としたセメントの話をしよう。
セメントは主に水と石灰石を混ぜて作られる。石灰石というのは石灰岩であり、炭酸カルシウムだ。炭酸カルシウムというのは貝殻やサンゴ、鶏卵の殻、大理石、鍾乳石等からできる。一般的な大規模採取としては海中で二酸化炭素と結合した古代生物の遺骸の堆積物が隆起して地層となったものだから、生き物が死ぬような海際にはたくさん存在するはずだ。物理定数が同じであれば、入手はさほど困難ではない。
これに粘土や石英、酸化鉄などを混ぜて作る。石英は二酸化珪素を主成分とした好物だが、これをつきつめたのが水晶で、陶器やガラスの原料となる。だから水晶やガラスがあるなら石英はある。酸化鉄は鉄を雨ざらしにすればできる。
基礎的な割合は石灰石10、粘土2,その他1~2といわれているが、石灰石の成分によるので実地で試す必要はあるよな。なおこれでつくるのはいわゆるポルトランドセメントという種類のもので、種類はたくさんあるが、現代でも主なセメント材料だ。高炉で製鉄ができるようになればそのスラグを混ぜれば、セメント中で化学反応が起こり、長期的に使用できるセメントになる。混合セメントの一種だ。
他にもボーキサイトから作るアルミナセメントとか特殊セメントはあるが、これは長期強度は低いし発熱するからおすすめしない。けれども現地の鉱石を色々混ぜて実験するのも面白いかもしれない。特殊なスライム剤とかを混ぜて地球と違うセメントを作るのも夢が広がる。
なお、アルミニウム錬成するのは大量の電気が必要だから大分先の話。
これらの原料を細かく砕き、焼きあげる。古代人は焼成に土器と使用していたが、おそらく温度は1000度未満である。そのくらいの温度で脱炭酸が進むが、現代は1500度くらいまであげて、より不純物が少ない高品質なセメントを作っている。
炉については別の回にゆずるが、送風の工夫などである程度までは上がる。ベッセマー転炉が使えるような高純度鉄がでればいいんだけどまあそれはそれとして、ここはファンタジー世界なのだ。だから火の精霊というものがいるはずだ。
うちはめんどくさいから高炉法を中心として火の精霊と風の精霊を突っ込んで温度を上げた。それでも高純度鉄がないといい剣は作れないんだけどね。
ともあれ高品質なセメントができたことにする。
い)コンクリート作り
セメントができればコンクリートはさほど難しくはない。セメントに骨材として砂利や砂をいれて作る。
セメント:砂利:砂を6:3:1ほどで水で混ぜればいい。この割合によって強度が変わってくるので、そこは試行錯誤しよう。発明というのはトライ・アンド・エラーの帰結である。
これで強度のある建物が作れるようになった、いや、本論は道なんだけどさ。なおコンクリートは引張強度が弱いので、建物をつくるのであればこれを補完するために鉄骨をいれるのがよいです。いわゆる鉄筋コンクリートだ。でも強い鉄筋を作るのはまた別の話だからなぁ……。但し現在のコンクリートはローマン・コンクリートとくらべて耐用年数が低い。建材として使うなら50年~100年が目処でございます。
これでようやく道路のコンクリート舗装が可能となったわけだ。
3)アスファルト舗装しよう!
さてこれまでつらつらコンクリート舗装について述べてきたが、もうひとつアスファルト舗装というのがある。これが現在日本の主流であると思う。
コンクリート舗装のメリットは強いということだ。但し乾くまでに時間がかかり、作り直しをするのが面倒くさい。叩いて傷がつかなくなるまで1週間、馬で走れるのに2週間、家が建てられるのに4週間を要するらしい。それまで雨を防ぎながら保持するのはけっこう大変である。作り直しも大変。
一方のアスファルトは耐久性としては耐久性が低いものの、すぐに使用できるようになる。また、排水性が高いため、雨が振る土地にはアスファルトが向いている。塗り直しも用意。
そんなわけでうちのノーマルエンドはアスファルト舗装にしました。
現在地球のアスファルトは石油から化学合成しているものが主流ですが、天然アスファルトというものがあります。それは土瀝青と呼ばれるけれど、簡単にいえば石油と同じく長期間に土砂堆積層に埋没した植物や藻等が高温高圧下で変質し、炭化水素となる、まあようするに石油があるような場所、昔の植物が埋まっていた地層が表出することによって採集が可能になります。土瀝青も場所によって性質が結構違うので、やっぱり研究が必要だよな。これに骨材や砂を混ぜて使ったりします。
この天然アスファルトは世界ではトリニダート・トバコのピッチ湖が有名だけど、日本でも豊川油田などから算出され、縄文時代から矢じりの接着剤などとして用いられていました。これが道路舗装に用いられる用意なったのは明治になってからです。注意すべき点は発火しやすいところなんですよね。
うちの世界ではアスファルト敷の下に素材強化等の魔法陣を刻んだりします、そのうち。
そんなわけで、第2回目は舗装道路の作り方について考えてみました。リクエスト歓迎です。
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