4-14 報告

「ジェリー石……え、これを地下五階で?」

「ああ、周りにはジャムの気配があった。でも、このジェリー石はそんなに大きくないし、発生して間がないと思うけど」

「……わかりました。いつもの鉱山ですね、すぐに所有者に連絡して調査を促しておきます」

「そうだ、ついでに応急処置で穢れを祓って、縛り札を貼ってしばらく動けないようにしたので」

「縛り、札? えと、鈍化の魔法でしょうか?」


 正確には違うが、セインはとりあえず頷いた。


「お気遣いありがとうございます、そのように伝えておきます。では、少々お待ちください。こちらのジェリー石を査定しますね」


 今日のところは、依頼書を消化できなかったので、ジェリー石はギルドで買い取ってもらうことにした。


「こちらジェリー石の買取で、銅板三枚と銅貨五枚です」


 カウンターにお金を置いて、マリーは少し残念そうに付け加える。


「おそらく、数日はビギナーランクは入場禁止になります」

「……やっぱり」


 予想はしていたが、これは結構なロスになる。他の鉱山に行く手もあるが、慣れているところの方が採集の効率もいい。


「あれ? ビギナーは、ってことは上のランクなら入場できるってこと?」

「そうですね、ジャムの出現のみの報告ですし、調査に入るのも銅ランク以上のクエストになると思います」


 今日の収穫である銅板と銅貨を受け取って、セインはため息をついた。

 ケチの付き始めは、間違いなくあの双子である。時間が押して採集がままならず、はては魔物の痕跡を見つけてしまい、しばらく立ち入り禁止。

 どっちが邪魔をしているんだか、とセインは愚痴をこぼしながらギルドを後にした。


「……昼間のアレ、乗り気じゃなかったけどちょっと考えてみるか」

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