第58話 姫さまの恋愛テクニック


 4連休3日目早朝ぼくが朝食(母乳)を飲んでいると、ご機嫌ごきげんなリリアン姫が「おはようございます!アルヴィンさん! 2人の将来しょうらい祝福しゅくふくするような爽やかさわやか素晴らしいすばらしい朝ですね!」と言って、ぼくをソフィアお母様から受け取り下におろしぼくに視線をあわせてぼくの両手をそれぞれの手でつなぎ、ぼくの周りまわりをクルクルとまわる。

「どうしたんですか?! 早朝からテンション高いですけど! ぼく、今起きたばかりなんですよ?」

「アルヴィンさん! 感じませんか? 昨日苦労して飲んだほれ薬が効いて、私とアルヴィンさんのえんが強化されているのを!」

「まあぼくも急激にえんが強化されて、えんの事が少し解るようになりましたけど……」

「それなら解りますよね! 私たち1番の仲良しになれます!」

「「「「「そうなの?アルヴィン!」」」」」とフィリオーネとリリオーネとフロレーテとロロとルル。

〈いや、フィリオーネが1番えんが強いよ? それに妖精たちも、リリアン姫よりえんが強い〉とフィリオーネとリリオーネとフロレーテに、意思疎通魔法で答えるぼく。

「え? 黙ってだまって答えないと言う事は……違うんですか?」と両手をつないだままのリリアン姫の元気が、しぼむようになくなっていく。

「フィリオーネのえんが1番強いらしいよ? それに妖精たちも、リリアン姫よりえんが強いって!」とリリオーネが何も考えずにニコニコと、リリアン姫に答える。

「そんな!! …………でも、大丈夫です! 髪の毛かみのけがのびるたびに特注特製ほれ薬を飲めば、その内1番になりますから!」

「ええ~!また飲むんですか? お母様に聞いたんですけど特注特製でなければそんなに味悪くないらしいですよ? 普通のほれ薬にしときませんか?」

「いいえ!いつ人間の泥棒猫どろぼうねこがあらわれるかわかったもんじゃないんですから! 次回も特注特製ほれ薬です! 国家プロジェクトですから!」


「やりました!アルヴィンさん! やっと材木ざいもく積んだつんだ荷馬車にばしゃに勝てました!」と言ってリリアン姫が抱き着いてくる、身長差なのか故意こいにやっているのかぼくの顔はリリアン姫の胸に埋もれている。

「ちょっと! アルヴィンから離れて! アルヴィンがいきできないでしょ!」とフィリオーネがリリアン姫の耳もとで怒鳴るどなると、ぼくはリリアン姫の拘束こうそくから抜け出せる。

「死ぬかと思った……」

「なんかさっきから、リリアン姫がアルヴィンの肩何回もさわったり抱きついたりしてない? なんか不自然じゃない?」とリリオーネ。

「ふ、不自然じゃないですよ? いつもどおりです!」とリリアン姫が、どもりながらごまかす。

「あ~。ぼくの前世の世界の恋愛テクニックに『仲良くなかよくなりたかったら、さり気なくさわれ!』って言うのがあったけど、こっちの世界にもあるみたいですね」

「ばれちゃいましたか……」と言って、ニッコリ笑顔を向けてくるリリアン姫。

「ぼくこの理論ラブラブカップル限定の理論だと思ってるんですけど、あんまりさわるのやめてもらえますか?」

「なんでですか! 仲良しなかよしになりたくないんですか!」

単純たんじゅん大してたいして仲良くないなかよくない他人から、ベタベタさわられるのが不快ふかいだからですよ? 姫さまにこの理論を教えた人は自分の知っている理論を万能だと言いたいようですが、仲良くなければ不快なだけです」

「なら大丈夫です! 私たちは特注特製ほれ薬を飲んだ強力なえんにささえられた、運命の2人です! さわればさわるほど仲良くなれます!」


「ねえアルヴィンさん懐かしいなつかしいですね私たちが出会った日、あなたったら私の胸に抱かれてはしゃいじゃって」ぼくとリリアン姫とフィリオーネとリリオーネとフロレーテとロロとルルとエマさんとルイーズさんと一緒に平和な花農家に現れたフェアリーたちが花を全滅ぜんめつさせ花農家が保険会社に保険金を催促さいそくするアニメが途中で以下次回になった所で、ぼくと腕を組んでくっついているリリアン姫が楽しそうに言い出した。

「「「「「そうなの?アルヴィン!」」」」」とフィリオーネとリリオーネとフロレーテとロロとルル。

「いや、違うよ? フィリオーネとリリオーネはその場にいたから、知ってるはずでしょ? ぼくの身体が赤ちゃんだった時に、姫さまが抱っこしたいって言ってたから抱っこしてもらっただけでしょ? はしゃいでないよ!」

「そう言えばさっきリリアン姫が抱き着いて胸にうずまってた時、あたしが離れるように言うまで離れなかった……」と、深刻しんこくそうな表情のフィリオーネ。

「それ!体格差! 10才児の体格の姫さまに、2才児ぐらいの体格のぼくが抵抗できるはずないでしょ!」

「そういえば、ソフィアちゃんと仲良いよね? ルークくんとはそんなでもないのに」とリリオーネ、素朴なそぼくな疑問ぎもんを言っただけみたいな表情をしている。

「そりゃ母乳飲ませてくれてお風呂にも入れてくれるし、仲良くなるでしょ? それにルークお父様近衛騎士団じゃないから仕事中はこの家にいないし、人間の子供は育ててくれる生みうみの母親になつくもんだから!」

「つまり姫さまが言うように強力なえんをもったあたしたちが仲良くなるためには、さり気なくさわりまくるのが正解ってことね!」とフィリオーネが、全ての疑問は解けた!みたいな笑顔でしめくくった。

 この会話を他の妖精たちも聞いていたのか、フィリオーネを中心としてだが他の妖精たちも何かにつけてぼくにさわってくるようになった。


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