第54話 2人のドラゴンと7人のおじいさんたちの決闘!


 メイド服の下に顔出しタイツふう竜鱗りゅうりんをまとったレッドドラゴンのエマさんとグリーンドラゴンのルイーズさんに、おじいさんたちが突撃し右手の人差し指を突き刺す。

 どうやらドラゴンの2人は、まとっている魔力の層が多いおじいさんの攻撃を優先的に腕で受け止めているようだ。

 その間にもスペースの問題で攻撃できなかったおじいさんたち3人が、ドラゴンの2人の後ろに回り込み注目されていないのをいい事にドラゴンの2人のふともも裏に右手の人差し指を何度も突き刺す。

 ドラゴンの2人はまとっている魔力の層が多いおじいさんたちを捕まえようとがんばっていたが、さすがに何度もふともも裏を刺され続けられれば無視も出来ず、レッドドラゴンのエマさんがふとももぐらいの太さのしっぽを出してエマさんとルイーズさんの後ろを身体ごと横回転しながらなぎ払い。

「ルイーズ!背中合わせだ!」と指示を出す。

 それを聞いたルイーズさんの前にいた2人のおじいさんたちは、右手の人差し指を突き刺しながら左手でルイーズさんの腕を捕まえる。

 だがエマさんの前にいたおじいさんたちはエマさんに逃げられ、エマさんはしっぽをしまいながらルイーズさんと背中合わせになる。

 背中の安全は確保できたがすぐに7人のおじいさんたちにかこまれ右手の人差し指を刺されたり左手で腕をつかまれたりで、そのつど力業で振り払っているが手わざでは圧倒的に負けている。

「ルイーズ!奴らは捕まえられない! 爪に切り替えよう」と言ってエマさんが人間の手にしては大きい5本指の赤い竜鱗りゅうりんにおおわれた竜爪りゅうそうを出して、エマさんの腕をつかもうとしてくるおじいさんたちの左腕をひっかく。

 ひっかくと言ってもおじいさんたちの太い左腕にザックリとした太い傷をつけ、幾筋いくすじもの血が滴ってしたたっている。

 そこでルイーズさんが遅れて5本指のみどりの竜鱗りゅうりんにおおわれた竜爪りゅうそうを出して、ルイーズさんの腕をつかもうとしていたおじいさんたちの左腕をひっかこうとするが、その時にはおじいさんたちは左腕をフェイントに使うだけで右手の人差し指を刺してさしてくるだけになっている。

「エマ!ダメだ!背中合わせを維持いじした状態では、あたらない!」と言いながら、ルイーズさんは背中合わせを維持して竜爪りゅうそうを振り続ける。

「ルイーズ! 人間の姿に変身する魔法の範囲内で、大型化だ!」と言いながらエマさんが周囲しゅうい竜爪りゅうそうを振り回しながら身長3メートル20センチまで大型化して、顔出し赤色竜鱗りゅうりん全身タイツ風しっぽ付きになりそれとともにメイド服はボロボロの布切れになって落ちる。

 ルイーズさんもそれに遅れる事なく周囲しゅうい竜爪りゅうそうを振り回しながら身長3メートル20センチまで大型化して、顔出しみどり色竜鱗りゅうりん全身タイツ風しっぽ付きになりメイド服はボロボロの布切れになって落ちる。

 それを見ながら7人のおじいさんたちは、新しい間合いを図りながら少しずつ包囲網を広げていく。

 それに合わせてエマさんとルイーズさんはおじいさんたちを追いかける様に、エマさんはおじいさんたちの前に飛び込むようにして横回転のしっぽでのなぎ払い、ルイーズさんは一番たくさんの魔力の層をまとったおじいさんへの突撃。

 エマさんの攻撃は2人のおじいさんたちを吹き飛ばしたが、3人目のおじいさんにしっぽをつかまれエマさんのなぎ払いの勢いをそのまま使ってエマさんを空中に持ち上げ2回転した後地面にたたきつけられた。

 ルイーズさんの突撃はルイーズさんが両手の爪を前に出していたのがわざわいし片手をつかまれたと思ったらあっと言う間にその腕をおじいさんは引っ張りながらルイーズさんのふところに入りルイーズさんの両足を跳ね飛ばしてルイーズさんをでんぐり返しさせて仰向けあおむけの大の字に倒し、そこに残りのおじいさんたちも加わりくわわり両腕両足にそれぞれのおじいさんが関節を決めるかんせつをきめる

「エマさん! ルイーズさんが拘束こうそくされましたけど、勝負ありでいいですか?!」とぼくが叫ぶさけぶと。

「それは困るこまる!」とルイーズさんが叫ぶさけぶとともに関節を決めているおじいさんたちごと横にごろごろ転がり始めるが、おじいさんたちは離れない。

 エマさんはそのルイーズさんに起き上がって駆け寄ろうかけよろうとするが、しっぽを捕まれてつかまれている上に吹き飛ばされていた残りのおじいさん2人に組み付かれて倒される。

 倒されたエマさんを拘束こうそくしようとおじいさんたち3人は素早く動いたのだが、足も竜爪りゅうそうにしたエマさんの両手足の竜爪りゅうそうによる高速のひっかきにより間合いを取らざる負えなくなりエマさんは立ち上がりルイーズさんとの間に3人密集しているおじいさんたちと対峙たいじする。

 そうしている間にルイーズさんはゴロゴロ転がりながら一時的に身長1メートルに縮み左腕と右足に関節を決めてかんせつをきめているおじいさんたちが外れたのを逃さず身長3メートル20センチまでまた大型化しながら、竜爪りゅうそうで残りのおじいさんたちをはがし起き上がる。

「しっぽのなぎ払いは、3人掛かりがかりなら止められますぞ!」と、さっきエマさんのしっぽを受け止めたおじいさんが叫ぶと。

「「「「了解りょうかい!」」」」とルイーズさんの回りに散らばっていたおじいさんたちが返事をするとともに、エマさんとの間に密集していた3人のおじいさんたちと背中合わせになりながら4人のおじいさんたちも密集してルイーズさんと対峙たいじする。

「「「「「「「「「…………………………………………」」」」」」」」」エマさんとルイーズさんと7人のおじいさんたちが、相手の出方をうかがう。

「エマさん!ルイーズさん!何してるの! 見つめあってても終わらないよ!」と、ぼくが声を掛けると。

「いや、しっぽのなぎ払いで2人しか弾き飛ばせないのでは、どうしたものかと考えているところだ」とエマさん。

「ドラゴン化すれば、すぐ終わるでしょ?」とリリオーネ。

「いや、それでは私たちが英雄化できない」とルイーズさん。

「見てたけどおじいさんたちの右手の人差し指の攻撃、エマさんとルイーズさんのドラゴンの骨にまでダメージ与えるほどではないんでしょ?」と、ぼく。

「「ああ、そうだな」」と、エマさんとルイーズさん。

「それにエマさんとルイーズさんはドラゴン化を残して戦っているんだから、この模擬戦もぎせんで英雄化は無理じゃない?」とエマさんとルイーズさんを説得する、ぼく。

「「そうかもしれないな」」と、エマさんとルイーズさん。

「明日からの4連休の間、契約の神の契約で働くと神罰で強制バカンスに放り込まれて英雄価格の料金請求されるんで休まないといけないんです! 今から妖精たちの後始末を急いでやりたいんで、今日の模擬戦もぎせんはここまでにしてください!」と、必至ひっしに説得するぼく。


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