第52話 アルヴィンのオッパイ卒業問題と幸せなドラゴン


「じゃあ帰るよ~~!」〈キルヒアイスお願い!〉周りに集まった仲間に声をかけてから世界樹キルヒアイスに意思疎通の魔法で声をかけると、地上10センチの位置に直径2メートルの転移魔法の光の球が浮かんだ。


 世界樹キルヒアイスの転移魔法の光の球からでると、メイドさんたち15人とお母様が訓練をしている所だった。

「みなさん!ぼくの事分からないかもしれませんが、英雄の魔力で少し身体が大きくなったアルヴィンです!皆さん心配はいりません! アルヴィンです!」身長は85.4センチ2歳児ぐらいの大きさになっている身体で、必死にみんなに分かってもらおうとしていると。

「アルヴィン!お帰りなさい! さあ!オッパイの時間よ!」と言って嬉しそうなソフィアお母様がぼくを、ヒョイと持ち上げてきた。

「あの~お母様?じつはぼく、乳離れしようと思っていまして? お母様?」ニコニコしているソフィアお母様の様子を見ながら、話しかけるぼく。

「そんなのダメよ!初めてできた赤ちゃんが1か月もしないうちに『乳離れします』って言いだした、母親の気持ちを考えなさい!」そう言いながらプンプン怒ったふりをする、ソフィアお母様。

「いえ、でも、歯も生えてきてますし……」

「そんなの関係ないわよ! アルヴィンが出かけている間は母乳の量が減らないように、父親のルークががんばってたんだから! ルークには歯があるけど問題なくすえてたわよ!」

「あの、ぼく友達になったドラゴンから精霊体にチャンネルを合わせやすくするために、ドラゴンのしっぽの肉の塊を食べるように渡されてるんです!ですから、ここら辺が乳離れびよりかと……」

「アルヴィン?もしかして、身体さえ成長すればオッパイ飲まなくていいと思ってない?」ソフィアお母様が真剣な顔で言う。

「まさしくその通りかと……」ぼくも真剣な眼差しでかえす。

「それならアルヴィンの前世の世界の常識ってこの世界、連結した世界樹の根の世界の常識とそんなに変わらないようだから聞くけど。どうして赤ちゃんはハチミツを食べると死ぬと言われてるか! 理由を言ってみて!」

「ぼくも子供がいたわけではないのであんまり詳しくないんですが、ハチミツを食べると特定の腸内細菌ばかり増えて中毒になって死んだりする事があるから、生まれてから1年間は食べさせるなと言う事になってるんじゃないですか?」

「ほら!知ってるんじゃない! ここで注目する場所は腸内細菌のバランスを正常に成長させるには、普通の赤ちゃんと同じような食べ物を食べて腸内細菌を育てなくてはいけないって事よ! つまり6か月間はオッパイだけ! それにハチミツも1年間は食べちゃダメ! オッパイの卒業時期は1年半後よ!」

「なんだってー!って言うか、少なくとも理論はあってるように聞こえる……。どうしよう、1年半以内にひげづらの成人男性みたいになったら……。あ!そうか!オッパイをさきにしぼっておいてもらって、コップに入れて飲めばいいんだ!」

「ダメよ!オッパイの中に含まれる残留魔力の鮮度の関係で、じかのみしか認めません!」

「……」反論が無くなって黙り込むぼく、そのぼくにソフィアお母様がそっと乳首をくわえさせる。


「エマさん!ルイーズさん!さっきの話、聞いてました?」オッパイを飲み終わりソフィアお母様から解放されたところで、近くにいたドラゴンの2人に話しかける。

「「聞いていたぞ?」」とドラゴンの2人。

「私の肉を食べるのは6か月後になったらしいな?」とレッドドラゴンのエマさん。

「その間他の迷宮攻略メンバーだけに、お肉食べてもらっていいですか?」

「ああ、いいぞ?肉を食べつくしたら、あらためて6か月後に肉を渡そう」とグリーンドラゴンのルイーズさん。

「いや、フェアリーたちは甘いものは底なしなんですけど、肉はあんなに食べれないんじゃないかな~?」


「アルヴィン!王宮の出頭命令が来てるわよ?今回は、妖精の代表10匹と人間に変身したドラゴン2頭を連れて来いって!」とソフィアお母様。


 お母様に抱っこされて15分、王宮に着いて軽い身体検査の後、今日も王様と王妃様とリリアン姫が待っていた。

「アルヴィンさん?心配していたんですよ!」とリリアン姫、今のぼくの身長85.4センチ2歳児ぐらいの大きさのぼくの全身を見て言う。

「世界樹のねもとで世界樹の樹液集めをしていると私の知り合いのドラゴンを探している別のドラゴンに会いまして、世界樹の中の迷宮へ道案内していたところ本格的に迷宮の攻略をする事になりまして時間がかかってしまいました」

「ほう?迷宮の攻略だけの時間と見てもドラゴンがうようよいる魔の森の中の世界樹から大ビン1000個と小ビン5000個の世界樹の樹液を集めてきただけの時間と見ても、破格に速い。どのような迷宮だったか言ってみよ!」とまだ神としての役職がない下級神の、イーサン・ケサランパサラン王。

「世界樹のねもとまでは世界樹キルヒアイスの好意で転移魔法を使い運んでもらったので、迷宮の攻略は世界樹の中に入った所からの攻略になるのですが、ゾンビとキマイラとストーンゴーレムが魔力の層12層から20層まとって現れ、ボスモンスターとして新鮮な死体のドラゴンゾンビが魔力の層22層をまとって現れました。ボスモンスターの攻略が認められた後は、オートマッピング魔法と限定的な鑑定魔法と攻略メンバーにさらに1つずつ魔法がもらえる事になったので、仲間の一人がダンジョンの戦闘の中からでも脱出出来る魔法を習得したので世界樹のねもとまで脱出し残りの世界樹の樹液のビンのラベル書きをして戻ってきました」

「ふむ?まるでお前たちに攻略させるためにあつらえたような迷宮だな?」と不思議そうな顔をした王様。

「「「秘密なんてないよ!」」」と代表としてついてきたフェアリーの内の3匹、ちなみに毎回違う妖精が付いて来ている。

 王様はその今発言したフェアリーたちとしばし見つめあってから、見つめあったまま真剣な顔でうなずきフェアリー3匹も真剣な顔でうなずいた。

「それはそうとその過程かていで、人間に変身出来るドラゴンを2人仲間にしてきたようだな。ではドラゴンの2人にはそれぞれ、近衛騎士団で採用されているメイド服を10着と下着を10セット支給してやろう!」と真面目な顔をした王様。

「王様?服は買いに行こうと思っていたところなのでありがたいのですが、なぜ目立つメイド服を支給してくださるのですか?」

「ドラゴンの心臓を食べると通常ドラゴンに進化しない種族でもドラゴンに進化できるようになると言う事やドラゴンの全身が金になる素材だらけで、ドラゴンの命を狙うものだらけだと言う事は知っているか?」と王様、ぼくと顔出し全身竜鱗りゅうりんタイツ風のドラゴンの2人を見ながら言う。

「はい、分かりますが?」

「今ドラゴンの2人が着ているような服では、私はドラゴンですと宣伝しているようなものだろう? できれば目立たない服の方がよい。だがお前の住んでいる家は近衛騎士団の訓練で使っている家だ! よって目立たない服は近衛騎士団員が普段着ている服、メイド服と言う事だ! それに近衛騎士団員だと勘違いされれば、命をねらわれる可能性も減るだろう?」と王様、おだやかに微笑みかけながら教えてくれる。

「なるほどそのような深い考えがあったのですね、ドラゴンの2人もしあわせ者です」


「ついこの間花畑を荒らしていたフェアリーが、花畑を元通り咲かせる魔法を! アルヴィンさんはちゃんと、フェアリーのしつけをしてくれてたんですね!」とリリアン姫10才、よろこびすぎじゃないか?と言うぐらいおおげさによろこんでくれる。

 王様に世界樹の樹液大ビン1000個と小ビン5000個を渡した後ソフィアお母様がドラゴンの2人を近衛騎士団の女風呂とひかえしつに連れて行ったので、ぼくと妖精たちは姫様に王宮の花畑めぐりに連れ出されていた。

 そしてリリオーネがむしられた花畑を元通りに咲かせる魔法を使ったのを見て言った、リリアン姫の言葉だった。

「まあこの魔法はリリオーネが自主的に覚えてくれたんですけど、いつフェアリーたちって花畑をむしってるんですかね?」

「アルヴィンさんが出かけている間にも、たくさんのフェアリーが花畑を荒らしていましたよ? フェアリーたちと少し話したんですけど、アルヴィンさんの事を知らない生まれたばかりのフェアリーみたいです」とリリアン姫様、深刻そうに言う。

「ええ? もうフェアリー生まれてるんですか? それにフェアリーの木の中にも花畑あるのに、なんで外の花畑荒らすの?フェアリーって!」

「フェアリーの習性だから、仕方がないのよ?」とフロレーテ。

「フェアリーの木の中の花畑、全滅してたからそのせいじゃないかな?」とリリオーネ。

「ええ? 花畑なおしておいてくれた?」

「ええ、花畑を咲かせる魔法を使えるフェアリーたちで手分けしてなおしたわよ?」とフィリオーネ。

「これは4連休もらったけど、休みなしでフェアリーたちの後始末をしないと……」

「ダメですよ? 契約の神の契約で休みが決まっているんですから! 休まないと、神罰しんばつで隔離されて強制バカンスが始まってぼったくり価格の請求金額を要求されますよ?」とリリアン姫様。

「ええ? 神の契約では詐欺さぎは働けないはずでは?」

「ほら! アルヴィンさん、今英雄でしょ?」とリリアン姫様。

「はいそうですけど? 関係あるんですか?」

「もちろん関係あります。アルヴィンさんの強制バカンスでは、従業員が全員英雄なんです!」とリリアン姫様。

「ええ? そんなのいくらかかるんですか!」

「おそらく、今までの収入の合計よりは多いと思いますよ?」とリリアン姫様。

「そんな! なら休みは取るとして、今から妖精たち集まるかな? じゃあ、リリアン姫様! 今日はこの辺で!」と言って、近衛騎士団ひかえしつに直行する。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る