第12話 魔法実験と、感情まで伝わる意思疎通魔法


「じゃあ世界樹の下へ行こうか! フィリオーネ!」

「はいはい、じゃあ、よつんばいになって!」

 素直によつんばいになると、フィリオーネがぼくを釣り上げて世界樹の方に飛んでいく。

「世界樹が見えるもっと上の方飛んだ方がよくない?」

「世界樹の周りのダンジョンは普通のダンジョンみたいに入り組んではいないけど、高さ制限があって周りにえてる木よりも高くは飛べないの」

「ふ~~~ん? 世界樹の周りは迷路にはなってないんだ?」

「迷路にはなってないけど、森は天然の迷路よ! 木の上まで飛んで、世界樹の方向を確かめられないしね!」

「そうかじゃあ、世界樹の方向が分かる魔法も習得しようかな?」

「それならあたしが使えるから大丈夫よ!」

「そっか! フェアリーは世界樹の専門家だね!」

「あたし、使えないんだけど……世界樹の方向が分かる魔法」とリリオーネがくやしそうに言う。

「リリオーネ、30年も世界樹の下でドングリ探してたんだよね? 世界樹の方向が分かる魔法覚えなくて、大丈夫だったの?」

「世界樹の下までいったら、出来るだけ世界樹から離れないようにしてたから……。そうか世界樹の方向が分かるようになる魔法おぼえておけば、あんなに迷子になる事なかったんだ……」とリリオーネが暗い笑みを浮かべる。

「やっぱりぼくも世界樹の方向が分かるようになる魔法、おぼえようかな?」

「おぼえるのはいいけど世界樹まで1回いかなきゃ、おぼえられないよ?」

「そうなの? じゃあ、フィリオーネのいる場所が分かるようになる魔法おぼえようかな?」

「あたしの方が普段まとっている魔力の層が多いから、一方的にあたしの場所が分かるようには出来ないわよ」

「え? じゃあどうやって世界樹の方向を感知してるの? フィリオーネって、世界樹より格上なの?」

「世界樹は、根と幹と枝にしか魔力の層をまとってないからね。あたしの使える魔力の層より多い魔力の層の部分は感知できないけど、それ以外の部分を感知しているの」

「それじゃあフィリオーネのいる場所が分かるようになる魔法、おぼえられないね」

「そんな事ないよ魔法を作るときにおたがいに相手を感知する事を許可して、魔法作ればいいだけじゃない」

「じゃあ魔法作ってみようか? 方向と距離が分かればいいかな?」

「あとおおざっぱに、どんな感情を感じているかもね!」

「そこまでは! 何も隠しておけなくなるじゃん!」

「でもどんな危険な事になっているか分からないと、あたしがたすけに行く事も出来ないよ?」

「なるほど!じゃあ、離れていてもしゃべれるようにもした方がいいかな?」

「声に出さずに、しゃべれるようにね!」

了解りょうかい! 魔法の習得ぼくのマナから2人分出して、両方とも習得する事って出来るかな?」

「多分出来ると思うけど……」

「マナ出してくれるんなら、あたしも!」とリリオーネが話に入ってくる。

「ええ? まあいいか……フィリオーネも、リリオーネに感知されてもいい?」

「いいわよ」

「じゃあ具体的に、どうやって習得しよう?」

「アルヴィンがあたしとリリオーネの身体全体に魔力を流してその上で、3人共にマナを行き渡らせるといいんじゃない?」

「なるほど! じゃあぼくを下におろしてまとっている魔力の層といて!」

「はーい」とリリオーネ。

「まずはあたしたちが、魔力の層をまとった状態で魔力が流せないか実験して!」とぼくを下におろしながらフィリオーネ。

「なるほど! じゃあフィリオーネ!」フィリオーネの手を取って魔力を流してみる。

「ダメみたいだね」

「じゃあ次はあたしが魔力の層を5層まとってみるから、もう一回試して」もう一回フィリオーネの手を取って魔力を流してみる。

「出来た! 魔力流せるよ!」

「じゃあ次は魔力の層を5層のまま、きょぜつのいしを持ってはじいてみるから魔力を流せるか試して!」フィリオーネの手を取って魔力を流す。

「だめだ!はじかれる!」

「受け入れるいしを持って、まとっている魔力の層をといてためすのが良さそうね」

「なるほど、受け入れるいしってぼくもかな?」

「たぶんね」

「まとっている魔力の層をといて試す方法と全員魔力の層を5層まとって試す方法があるかもしれないけど、どうする?」

「なるほど、全員魔力の層を5層まとって試す方法の方が強い魔法になりそうね」

「じゃあまずは全員魔力の層を5層まとって試します! 手をつないで受け入れるいしを持ってください!」

「「は~い」」フィリオーネとリリオーネの声がそろう。

「方向と距離とおおざっぱにどんな感情を感じているかあと声に出さずに遠くでもしゃべれる能力をぼくのマナから、アルヴィンとフィリオーネとリリオーネの3人それぞれに魔法として習得させます! みなさん!受け入れるいしを持ってイメージしてください!」フィリオーネとリリオーネの全身に魔力を満たす。

「準備出来たわよ!」とフィリオーネ。

「こっちも!」とリリオーネ。

「ではいきます!」3人共にマナを行き渡らせる。

「習得成功! フィリオーネとリリオーネは?」

「こっちも、習得できてる!」とフィリオーネ。

「あたしも、習得できてるよ! マナもあたしは使ってない!」とリリオーネ。

「じゃあ早速、魔法使ってみようか!」

「「さんせ~い!」」フィリオーネとリリオーネの声がそろう。

 魔法を発動する「距離も方向も分かるしフィリオーネとリリオーネの区別もつく! フィリオーネとリリオーネのテンションが上がってるのも分かるよ! あとは」声に出さずにフィリオーネとリリオーネにしゃべりかける〈もしもし? フィリオーネさんとリリオーネさん?聞こえますか?〉

〈〈もしもしってなに? それに何で敬語?〉〉フィリオーネとリリオーネの言葉が重なる。

〈ぼくの前世の世界の風習で……あとフィリオーネとリリオーネに感情がつつぬけだと思うと緊張して〉

〈普通にして!〉とフィリオーネ。

〈善処します……でもこの魔法、全員身体がぼんやり光るようになっちゃたね〉

〈〈それぐらい、いいんじゃない?〉〉とフィリオーネとリリオーネ。

〈それにこの魔法、発動し続けないといけないよね?〉

〈〈魔力なら、あまってるから!〉〉とフィリオーネとリリオーネの言葉がまた重なる。

「それはそうと魔力精密感知とマナ精密感知と幸運さ精密感知の魔法で、フィリオーネの大きいドングリ見ておきたいんだけど忘れてた」

「はいどうぞ!」とフィリオーネ、ピカッと身体を光らせて30センチの大きさのドングリを出す。

「何も分からない! ただの種なのに、ぼくより魔力の層たくさんまとっていて気配まで消してるの? これは探すの大変だ! こんなのを王様は、魔力量とマナの量から世界樹の種に間違いないって言ってたの?」

「一応神様だからね」とフィリオーネ。

「アルヴィンと一緒で分からなかったから、これはすごい魔力量とマナ量だ!って事になったんじゃない?」とリリオーネ、ニッコリ。

「そんなんだったら、今度どんな顔して王様の顔見たらいいんだよ! 笑っちゃうかもしれないじゃん!」

「王様を笑い物にしたら打ち首ね」とフィリオーネ真剣な顔でつぶやく。

「この世界って、そんなに簡単に打ち首になるの?」

「そうよ!フェアリーがたくさん打ち首にされたわ!」とフィリオーネ、ぼくの目を見てうったえかける。

「それって、フェアリーだから簡単に打ち首にされるんじゃ?」

「そうね、フェアリーの習性ね!」とフィリオーネ悲しそうに。

「ぼくも気をつけよ、フェアリー使いだと思われてるし。フィリオーネもリリオーネも気をつけてね!」

「「は~い」」

「あとマナ量の事も言ってたから、王様には見えてたんだと思うよ」

「そう言う事にして、王様の事笑わないようにするね!」とリリオーネ、元気に言う。

「いやそうじゃなくて!」

「わかってるわかってる! アルヴィンの感情伝わってるから!」とリリオーネ、ニッコリ。

「そう? まあいいか。それより世界樹の種がドングリだったりフェアリーにドングリを集める習性があったり、この世界の創造神はフェアリーを特別な種族として創造したのかもしれないね。まあ世界樹がどれだけ重要なものかにもよるけど」

「モンスターを含めたすべての生き物の中にある魔力に、マナを降らせているのが世界樹なんだよ。だから世界樹の周りでは、マナが増えやすいの」とフィリオーネ。

「最高の治療薬エリクサーの材料が、世界樹から取れるんだって!」とリリオーネ。

「世界樹って根と幹と枝に魔力の層まとってるんだから、葉っぱかドングリか樹液が材料になるのかな?って言うか世界樹ってエリクサーの材料取らせるために、根と幹と枝にしか魔力の層まとわないの?」

「あと、1年中ドングリのとれるパラダイスを作るためにね!」とフィリオーネ。

 フィリオーネの感情が魔法の影響でダイレクトに伝わってきている影響が出ているぼくは「それは重要だね!」と心の底からの言葉で言った。

「……まあいいか。じゃあ世界樹の種を探しに行こうか!」

「「さんせ~い」」

「アルヴィン!よつんばいになって!」とフィリオーネの指示で、よつんばいになるぼく。


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