ええ?! 異世界に転生したら訓練されたりダンジョンで闘わされたり「妖精使いアルヴィン」って二つ名がついたりしたけど、ぼくに何させようとしてるの? ~生まれて7日間で英雄になった、ぼくの受難~

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1章 フェアリーの習性からうまれる、フェアリーの使命

第1話 フェアリーのサンドラの魔力にそっくりとは?


「死ぬかと思った~」

「きみ死んでいるよ」白い全体的にぼんやりとした人型の輪郭のものが、ぼくに言った。

「え?」

「雷に打たれて」

「そう言えば……どしゃぶりと雷が面白くて川に見に行ったら、雷に打たれたんだった」

「まさしく死ぬべくして死んだ自業自得だね、雷に打たれなくても川でおぼれて死んでたんじゃない?」

「そうかも、それでこんな豆電球みたいな身体に……」

「それは雷に打たれた影響ではなくて、魂はみんなそんな感じの見た目だから」

「そうですか。ところであなた様はどなた様でしょうか?」

「僕は神様だよ?」

「はは~~神様~~次は働かないで、面白いライトノベルを読んで暮らしたいです!」

「そう言って怠惰たいだに暮らしたのが今回の生だったんだよ?」

「そうなんですか? そう言えば、全力を出した事ってなかったかも?」

「もとは僕の親友の神様だったからすごい才能を持った人間に生まれたはずだったのに、神に転生しなおす事も出来なくなるぐらい怠惰に暮らして」

「悪い事は何もしてないんですけど」

「それだけが唯一の救いだね、今度は才能を無駄遣いしないで神様になるぐらいすごい人間に転生して!」

「そんなの無理ですよ。……でも全力は出してみたいかも?」

「次は岩とびペンギンみたいに、一生懸命生きるんだぞ~~」



 ドクンドクン、心臓の音が聞こえる。

 意識が目覚めると、何かあたたかい場所でうずくまっているのに気付いた。

(そう言えば転生するって言っていたな)

(すっごい人間かもしくは、岩とびペンギン)

(いやいや、岩とびペンギンのように一生懸命生きろって事だから、人間に転生か)

(……人間に転生、できるんだよな?)

(身体の形は……あれ? これって……下にすわってる? 逆子?)

 どうにか身体を動かす事しばらく……。

(あっ……だめ……眠くなってきた……眠っちゃだめだ、いつ生まれるのかも分からないのに)


 10時間後。

(逆子なおった~~でも……人間じゃないかも? まあいいや、お休みなさい)

〈聞こえる? 赤ちゃん?〉女性売れっ子アニメ声優みたいな謎の声が、頭の中に直接聞こえる。

〈なに? もしかして、お母さん?〉

〈お母さんじゃないけど、あなたと同じフェアリーよ?〉

〈え? ぼく、フェアリーに転生するの?〉

〈ちがうちがう!あなたの両親は人間よ?〉

〈なんだ、ビックリさせないでよ! それならぼくも人間でしょ?〉

〈あなたは人間の体で生まれてくるはずだけど、本当はフェアリーなのよ?〉

〈いや、人間でしょ? 何を根拠にぼくがフェアリーだって言うの?〉

〈魔力が1年前に雷が降り始めた事にテンションが上がって一番高い木の上に飛んで行って雷に打たれて死んだ、あたしと仲良しで幼なじみのフェアリーのサンドラの魔力にそっくりだからよ? フェアリーが人間に転生できるなんて知らなかったけど、あなたはフェアリーの魔力を持ったまま転生した特別なフェアリーなのよ!〉

〈ああ~~~いや。ぼくも雷に打たれて死んだけど、そこまでじゃない! それってたまたま魔力がフェアリーに似てるだけでしょ? ぼく前世の記憶あるけど、魔力を使えない世界の普通の人間だったよ?〉

〈異世界ならこっちの1年間があっちの1000年間でもおかしくないでしょ? 1000年ぐらい転生を繰り返すうちに成長してふんべつがついたんじゃないかな~?〉

〈いや、どうだろう? 違うんじゃないかな?〉

〈とにかくフェアリーは生まれてから1年間はすごく死にやすいから、お姉さまとしてまもってあげる!〉

〈それはどうも?〉

〈その代わりあなたは人間としての外見と身分と信用で、お姉さまとして同族のフェアリーを守るのよ?〉

〈え? ぼく女の子なの?〉

〈さあ? 普通のフェアリーは美少女しかいないけど、あなたは外見上人間のはずだから分からないわ〉

〈そうなんだ? まあぼくがフェアリーか?と言う問題は置いといて、フェアリーを守るよ!〉

〈じゃあ、お腹の中の赤ちゃんは暇でしょ? 魔力の目覚めさせ方と身体強化の基礎だけ教えておくわね! 気配の消し方は赤ちゃんが死んだと思われるし、教えるけど使わないでね! 本格的な身体強化も、お母さんのお腹にいる間は止めときましょ! 身体強化の基礎だけやれば、あとで取り返せるから! まずは体の中に流れる魔力の流れを感じてみて!〉

〈あ! これかな?……は!〉全身から魔力がほとばしる。

〈そうそう!そんな感じ! やっぱり普通のフェアリー見たいに、生まれた時から魔法使えるみたいね。次は無駄に全身から流れ出ている魔力を、体の周囲にとどめるのよ!〉

〈え? それって、ネ●能力のテ●?〉

〈身体強化の基礎よ!〉

〈まあいいや……テ●!〉無駄に全身から流れていた魔力を身体の周囲にまとう。

〈そうそう! その身体強化の基礎を生まれるまでずっと続けてね! すべての魔法の基礎になるから!〉

〈うん!分かった! て言うか、ネ●能力のテ●の修行なら20年か30年隠れてやってるけどね〉

〈身体強化の基礎だって言ってるでしょ! じゃあ一応気配の消し方も教えておくけど、お腹の中にいる間は使わないでね! 死んだと思われるから!〉

〈気配の消し方って、身体から出ている魔力を完全にたつとか?〉

〈それだと強力な身体強化をしながら、気配を消せないでしょ? まとっている魔力の外側から内側に魔力を吸収すれば、気配は消せるから!〉

〈ああ、そこは●ツとは違うんだ?〉

〈気配の消し方の基礎よ! それじゃあまたね!〉


 8か月後。

(いた、いたたたた、死ぬ~~)

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「生まれました! でもまだ泣きません!」

「そんな! 死産ですか?」

「……」

「死ぬかと思った!」おもわずクワッと両眼を開いて、ぼくは叫んだ。

「しゃべった~~~赤ちゃんが、しゃべった~~~」ぼくを抱っこしていた30才ぐらいの女性看護師さん?が、あわてながら言った。

「そう言えば言葉通じるんだった! それでここってどこですか?」ぼくも、とまどって聞く。

「ここはケサランパサラン魔法王国ですよ?」とぼくを抱っこしているのとはちがう、50才ぐらいの女性医師?が答えてくれる。

「魔法王国? 魔法の本場なの?」

「魔法の本場は……どこにでもありますけど?」とぼくを抱っこしている30才ぐらいの女性看護師さん?が言う。

「あ! そうか……みなさんはじめまして! あやしい赤ちゃんだな~と思われるでしょうが、ぼくは転生者です! 魔法のない世界から、転生してきました。雷に打たれて死んだと思ったら神様を名乗る人に、岩とびペンギンのように一生懸命生きなさいと言われて転生してきました!」

「……」一同静まり返る。

「あれ? 転生者……めずらしくないんですよね?」

「めずらしいと思いますよ?」と30才ぐらいの女性看護師さん、抱っこのポジションを変えながら。

「私は聞いた事がない」と20才ぐらいの身なりの整った男性、服装から医者や看護師ではないだろう。

「でも神様が記憶を持ったまま転生したって話はあったわよね?」とベッドに寝ころんだままの、20才ぐらいの女性。

「なんだ~あるんじゃないですか~~まあ、ぼくは人間の男の子ですけどね!」

「……」一同黙り込む。

「あれ? ぼく、人間の女の子の可能性も……」

「あなたは人間の男の子ですよ」と30才ぐらいの女性看護師?さん。

「ですよね! よかった~~。前世男だったんで、今更性転換してたらやっていけるか不安だったんです!」

「これは大変な事になったぞ」と20才ぐらいの身なりの整った男性。

「え? なんですって?」

「ケサランパサラン魔法王国の神の血を引いていない魔力の多い一族の中で1番の魔力をもった両親から生まれた、前世の記憶をもった神に次ぐかもしれない転生者の男の子。首がすわってから鍛えれば、本当に神になれるかもしれない」と20才ぐらいの身なりの整った男性。

「だんなさん! この子、首すわっています」と30才ぐらいの女性看護師?さん。

「ちょっと待って! ぼくはそんなの、望んでない!ライトノベルとアニメを見ながらダラダラ暮らしていければ、それで十分だから!」

「我が息子よ、君の前世の世界は争いの無い世界なのかい?」とだんなさん、ぼくの目を見ながら。

「そうですけど……」

「この世界では、戦闘力の無い人間はいつ殺されても不思議じゃないんだよ?」

「そうなんですか……」

「だから最低限の戦闘力を身につける訓練をしようね?」

「分かりました、よろしくお願いいたしますお父様。お母様も、よろしくお願いいたします」

「ああ、まかせておけ!」とお父様。

「よろしく、わたしの赤ちゃん!」とベッドの上で上半身を起き上がらせたお母様。

「ところで話は変わりますが、小腹がすきました。赤ちゃんの免疫力をあげると言われている、初乳をいただけるとありがたいのですが」

「はい、どうぞ!」とお母様、オッパイを出してぼくを抱っこする。

「それでは失礼いたします。むぐ」しゃべり終わると口に乳首を入れられる。

「ああ~ん……じょうず」

「お母様ノリノリなのは大変ありがたいのですが、飲みにくいのでだまっていてもらえますか」

「おなかいっぱい?」

「もうちょっとお願いします。むぐ」また、しゃべり終わるとすぐに口に乳首を入れられる。

「……」

「ぷは~~」

「ゲップしましょうね~」お母様が背中をトントンたたく。

「いえ、腹八分しか飲んでないので大丈夫ですよ?ゲエェプ」

「……」

「失礼いたしました」

「それではこれより魔法の訓練を始める!」とお父様。

「いきなりですね、それよりぼくの名前は?」

「まだ決まっていない!」

「まあいいです。一応お母様のお腹の中にいる間に魔力を目覚めさせて身体強化の基礎だけ続けてたんですけど、他はまだです……テ●!」と言いながら身体の周囲に魔力を薄くまとう。

「な! もう魔力が目覚めている。初心者なら3カ月から3年はかかるはずなのに! それに身体強化の基礎まで!! 5ヵ月から5年はかかるはずなのに!」

「ゼ●!」身体の周囲を薄くおおっていた魔力の外側から内側に魔力を吸収し、外側からは魔力が感じられなくなる。

「気配の消し方の基礎まで、出来ない人は一生できないと言われているのに」

「レ●!」全身から魔力がほとばしって、身体の周囲を薄くおおう。

「ん? 今度は何をしようとしたのかな?」お父様がぼくの周囲を観察しているのか、顔を寄せてくる。

「通常以上の魔力を出そうとしたんですけど……」

「ああ、なるほど。それならまずは、身体の中の魔力の層を意識して」

「魔力の層?」

「重要な器官ほどたくさんの魔力が重なり合って守るものなんだが、意識して魔力の層を身体の表面に持ってくる事で強力な魔力が使えるようになるんだ」

「ん? うぅん? 魔力の層ってのは分かりましたけど、身体の表面に持ってくるって言うのがまったく分かりません」

「むしろさっきの、テ●とゼ●って言うのはなんだったんだい? 魔法の無い世界から来たんじゃなかったのかい」

「魔法の無い世界から来たのは本当なんですけど、さっきのは漫画の登場人物が使っていた能力なんです。あとお母様のお腹の中にいる時に、自称フェアリーって女の子に身体強化の基礎と気配の消し方を聞いたので、身体強化の基礎の練習だけ続けていたんです」

「自称フェアリーの女の子? お腹の中にいる時に声を聞いたのかい? お腹の中の子供に声を届けるには、母親であるソフィアの体の中の魔力の層の抵抗を受けるから、相当な実力者でないと赤ん坊に声を届けるなんて出来ないはずだが……。いやそれにしても修行時間が短すぎる、その漫画が実際にある能力を書いてたんだろうが……」とお父様が考え込む。

「その可能性はあります。僕は練習しても使えなかったんですけど、かくれて20年か30年修行してました」

「使えるようにならない能力を20年……何のためにそんなに修業したんだい?」

「なんでともうされましても、趣味としか……」

「それだけ基礎が出来ているのなら、魔力の層を身体の表面に持ってくるのも……簡単だな!」

「え?」

 10時間後魔力の層を3層まとえるようになったところで、生まれて1日目の修業は終了した。


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