第3話 彼女の野生に、分からせられてしまった私
結果として私は、その獣を食べる事ができなかった。
足を折ったエゾシカ。茶色と黒の毛皮に包まれた生物が、雪に
いつの
「……に、なって……」
彼女に話しかけようとしたが、
「……お願い! 私の
私なら彼女を精霊にする事ができる。そして不死と言って良い程の長き時を、彼女と共に過ごす事ができる。ただ、それは私のエゴかも知れない。私は将来も続きそうな、
私の
許可が出てからは簡単で、私は光の球体を作って、その中に彼女を入れる。エネルギーを送り込んでいって、人間や動物が持つ肉体より、もっと
見た目は
まだ彼女は精霊としては赤ん坊だった。私と暮らしていって、冬に神様から与えられる私の仕事──人間の子供達に食べ物を運び与える──を手伝う事で、私と彼女の関係も神様から祝福してもらえるはずだ。私は彼女の背中に乗って、エゾシカの彼女は私を
目が覚める。いつものように、脱ぎ散らかした私達の服がコタツの外にあって、コタツの中には私達が居た。普通の人間なら風邪をひく格好だが、冬でも冷水シャワーを浴びている私達には関係ない。隣で寝ている、彼女のお尻を手で
「……ねぇ。もう、撫でられてるから、率直に聞くけどさ。そんなに、私のお尻が好き?」
「好き。だって昔、初めて会って、貴女の背中に乗ったでしょう? もう伝わってくるのよ。私に、貴女の腰の動きが」
エゾシカの背中に乗った事のある人って、どれくらい居るのか分からないけど。野生動物の腰の動きは、人間と比べ物にならないくらい凄い。あの
「あー、初めて会った時ねぇ。私も覚えてるよ。貴女、赤い着物で
私は、自分の着物の色は覚えてなかった。白や黒で無かった事は確かだ。
「……逆に聞くけどさ。最初の私の印象って、どうだった? その、
「魅力って言ったら、それこそ全部。だって貴女、自分の事を分かってる? 究極の
女神様って。私は神様の使いに過ぎないのだけど、彼女は神様なんか関係ないようで、今も私の事だけ考えている。と言うか、あの時の私は
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