第27話 塾で相談

「じゃあ、玲くんは指定校も考えるって事で良いかな?」


そう大塚君に言われて僕は頷いた。あれから僕は塾で、大学生アドバイザーの大塚君にちょっと進路相談に乗ってもらっていた。評定も伝えたので、僕の評定の高さに大塚君も目を見開いていた。


「それにしても、玲くんてコツコツ努力型だよね。普通この評定はなかなか取れないでしょう?」


僕は首を振って言った。



「松陰高校はレベルが高いですから、僕より評定高い人はそこそこいます。でも、上位の生徒は国立を狙う人も多くなるので、案外指定校は取れやすいって話も聞きました。でも実際申告して蓋を開けてみないと分かりませんよね。」


大塚君はニヤリと笑うと、内緒話の様に僕に顔を近づけて言った。


「実は俺も指定校推薦ダメだったんだ。私大希望の奴は、案外ダメ元で皆出すからね。自分より0.1ポイントでも高い生徒が居たら指定校枠とられちゃうだろう?まぁ、自分の行きたい大学があって、枠が取れたらラッキーだと思って申し込めば良いんじゃないかな?玲くんは行きたい大学とかあるの?」



僕はそう聞かれて、はっきりとは答えられなかった。一覧に載っている有名大学の学部を眺めて、この学部はどうかなと考えると言った具合だからだ。夏休みに大学見学に行くべきだったのかな。


「従兄弟が開明大学に通っているので、そこの話は時々聞きますけど。大塚君は和智大ですよね。学部は何処ですか?」


大塚君は経済学部の授業内容を教えてくれた。僕は自分が何に関心が有るのかも、あまり考えて来なかったことに気がついた。僕がそう言ってため息をつくと、大塚君はクスッと笑って言った。



「みんな同じだよ。いや、むしろ文系ではっきり学部まで進路決めてる方が珍しいんじゃ無いかな?ちょっと時間はないけど、俺に出来ることは手伝うから、学部の研究、急いで一緒にしようか?本当はここまでやらないんだけど、玲くんは特別だよ?」


僕はすっかり感謝して、にっこり笑って言った。


「すみません!ありがとうございます。僕一人じゃどうして良いか分からなかったから、大塚君に相談して良かったです。」



それから僕と大塚君は一時間かけて、資料や、ネット、大塚君の友人のツテまで使って学部研究をしたんだ。すっかり熱中してやっていたので、大体終わった時には頭から煙が出そうだった。そんな僕に、大塚君はウインクして言った。


「お礼はそうだな、指定校推薦終わってからカフェでご馳走してくれれば良いよ?」



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