受験生
第24話 節度あるって何?
キヨくんに見送られて玄関の鍵をカチャリと開けるのは、何だかとっても悪い事をしている気がした。でも一方で、ドキドキワクワクするのは、背徳感というやつなんだろうか。
『じゃあね。』
家の前の道路にポケットに手を突っ込んで立っている、カッコいいキヨくんにそう囁くと、キヨくんも頷いて家の方へ踵を返して行った。僕は玄関から顔を覗かせながら、キヨくんが家の門邸を閉める軋む音を聞いた。
家の中は静まり返っていて、これだったらもっとキヨくんちに居たって良かったじゃんと思ったけれど、明日も学校があるのを思い出して、僕は洗面所で歯磨きをすると、そっと足音を忍ばせながら部屋に入った。
ベッドにまだ火照った身体を転がして、僕はさっきの強烈な体験を思い起こしていた。僕のあそこがキヨくんの熱い口に入って、僕はあっという間に高められてしまった。
思い出すだけで、自分のあそこが兆すのが分かったけれど、僕はもうすっかり眠くなってしまって、抱き枕に寄り掛かって目を閉じた。こんなドキドキする幸せな気持ちは、何度経験してもおかわりしたいと思いながら。
翌朝、案の定寝坊した僕は、母さんの小言を聞きながら、ハッとさせられた。
「玲、キヨくんの受験の邪魔しちゃだめよ?キヨくんは理系なんでしょ?文系の玲よりずっと大変なんじゃないの?」
僕は文系も理系も関係なく大変なんじゃないのかなと思いつつも、僕たちが付き合う事で、明らかに勉強に身が入らなくなっているのは感じていた。
昨日キヨくんが言ってた、シェアハウスして住めるように大学を選ぼうと言われた事も、妙に現実味を帯びてきた。結局親が納得出来るだけの結果が出せなくちゃ、シェアハウスも夢で終わってしまう。
特に僕はひとりっ子で、通える範囲の大学だったら、いくらキヨくんと一緒に住むと言っても、家を出しては貰えなさそうだ。結局親の支援なしでは達成できないんだから。
今日学校へ行ったら、その話もしようと僕は玄関を出た。目の前のキヨくんがチャイムを押そうとしていて、僕は思わず嬉しさに口元を緩めた。
「おはよう、キヨくん。タイミングバッチリ?」
するとキヨくんは門から出てきた僕の頭を撫でて言った。
「ま、ちょっと寝坊かな?」
僕は通学電車で、キヨくんとくっつき過ぎてドキドキしてしまう羽目になった事とかすっかり忘れて、ご機嫌で駅へと向かった。ああ、これから受験生として、恋も勉強も絶対両立させるんだから!単純な僕はメラメラ燃えていたんだ。マジで。
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