第96話 【勉強合宿・4】
そうして特に何も問題なく数日間過ごし、合宿最終日を迎えた。
「皆、最後に確認だけど宿題は全部終わった?」
そう聞くと、この合宿機関で皆は出された宿題を全て終わらせたと、返事をした。
正直、この五日間で終わらせるかどうしようか迷ったが、皆的に一人では絶対に終わるのが遅れるからと結局最後までやる事にした。
「じゃあ、勉強は今日は早めに終わらせて訓練場に行こうか」
宿題が終わってるのを確認した俺は、皆にそう言って一緒に訓練場へと移動して来た。
最終日だからみんなで何かしようかなとも一瞬思ったが、アリスの事もある為、いつも通りに剣と魔法で別れて訓練をする事にした。
「ねえ、アルフ。合宿の最後だしさ、ちょっと模擬試合やってみない?」
「模擬試合……デイルの剣に耐えられるか分からないけど、俺もやってみたさはあったから良いよ」
デイルから模擬試合を申し込まれた俺は少し考え、そうデイルに言葉を返した。
そんな俺達のやり取りを聞いていたレイン達は、デイルとの勝負が終わったら自分達も俺と戦いたいと言った。
「じゃあ、順番にね。アリス達はどうする? 模擬試合しようっていう流れになったんだけど、アリス達も俺と戦いたい?」
「私は見てるだけで良いかも……」
「私も見学だけでいいかな~」
「う~ん……魔法でアルフ君に勝てる気しないから、勉強の為に見学しておこうかな」
アリス達にも一応聞いてみると、アリス達は全員見学と言った。
正直、魔法に関して手加減しても危険だから見学と言ってくれて安心した。
「それじゃ、模擬試合するのはレオルド達だけだね。それじゃ、順番だけど申し出た順番って事でデイル、レイン、レオルドの順番で良い?」
そう聞くと、デイル達は文句はないみたいでその順番で良いと頷きながら言った。
それからデイルと俺は互いに木剣だけを持ち、準備運動を少しして試合を始めた。
試合は制限時間30分、降参か気絶をしたら終わりのルールで行う事にした。
「ハァッ!」
最初に動いたのはデイル。
体格に恵まれたデイルは力任せに剣を振るのではなく、王国兵士が習う剣術で攻めて来た。
対する俺は、エリスさん直伝のエルフ族の剣術を使って、攻撃の軸をズラして全ての攻撃を回避した。
「アルフ。流石だな」
「ふふっ、ありがとう」
攻撃の最中の為、互いに多くは語らず互いに笑みを浮かべて試合を続けた。
互いに別々の流派の剣術を使っていて、一歩も引かない攻防となった。
しかし、俺がデイルに負けてる部分は経験と訓練期間で、【剣術】のスキルレベルも能力値も高い俺にデイルは次第と押され始めた。
「うぐっ!」
試合が長引き、デイルは一瞬の判断を誤り俺の攻撃を腹部に食らってしまった。
その一撃はかなり効き、そのままデイルは数秒間意識を失い、判定的に負けとなった。
「最後のあの攻撃、一瞬何処から来たか全くわからなかったよ。良い経験になったよアルフ。本当にありがとう」
「こっちこそ、剣術に慣れた人との戦いはあまりしないから新鮮で良かったよ」
そう俺はデイルと試合後の握手を交わし、少しだけ休憩をしてからレインとの勝負を始めた。
「結局、全員にアルフは勝っちゃったね。まあ、分かってたけど実際に三連勝した姿見ると改めて差を感じちゃったな~」
あの後、レインとレオルドとも戦いをした俺は三人に勝利をして模擬試合は終わった。
レインは俺との差を改めて実感すると、やる気に満ちた目をして「もっと頑張らなきゃ」と意気込んでいた。
「そう言えば忘れてたんだけど、もう少ししたら毎年行ってる王城でのパーティーがあるんだけど、アルフ達も来る?」
「今の時期のパーティーって確か、一年を乗り越えた祝賀会だったっけ? それって、周辺国からも貴族がやってくる重大なパーティーでしょ? そんなパーティーに俺達が行ったら、完全に浮いた存在になるよ」
「う~ん、別にパーティー用の服を着てれば大丈夫と思うけど……」
「と言ってるけど、レインとリサは行きたいか?」
そうリサ達に聞くと、ブンブンと首を横に振り「無理!」と叫んだ。
「まあ、あれが普通の反応だよ」
「そっか、って事はまた面白くもないパーティーに一人で出席か……」
レオルドは拗ねた様子でそう言ったが、こればっかりは行きたくないが勝つのでそれ以上この話は広げなかった。
その後、訓練を再開して最終日を終えた俺達は風呂に入り、夕食を食べて後は寝るだけなので部屋に帰ろうとした。
「アルフ。ちょっと待った」
「んっ? どうしたのレオルド」
「今日は合宿最終日だろ? 折角なら、最後位は男子だけでも一緒に集まって寝ないか?」
「一緒に集まって? まあ、俺は別に良いけどレインは?」
そう聞くと、レインは「僕も大丈夫だよ」と言ったので急遽男子だけでお泊り会を行う流れとなった。
その話を聞いていたクラリス達は、俺達を真似て女子だけで集まってお泊り会をすると言ってクラリスの部屋に集まっていた。
「お泊り会をまさかレオルドが提案するとはな、もしかして皆と離れるのが寂しかったりするのか?」
「まあ、無い訳では無いよ? ここまで自由に過ごせたのは、本当に初めてだからね。王城でも自由に生活してるように見えて、色んな所に監視が居たりして居心地が悪いんだよね」
「まあ、レオルドは王子様だからね。それは仕方ない事だよ」
レオルドの愚痴に対して俺はそう言い、それから布団を敷いて並んで横になった。
それから寝るまでの間、ちょっとした面白い話をしたりして最終日の夜中まで楽しんだ俺達だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます