第94話 【勉強合宿・2】


 皆が集まった後、早速それぞれ宿題を出して勉強を始めた。

 この中だとクラリスだけ学園に通ってなくて宿題が無いが、受付に関しての勉強があるのでそれの勉強を一緒にする事にした。


「昔からアルフは勉強が出来てたイメージだったけど、学園の出す問題に苦労しないって相当頭いいんだね……」


「まあ、勉強は昔からさせられていたからね。でも、それでいうとレオルドは昔に比べて勉強が出来るようになったよね。昔は勉強が嫌いで、よく逃げてたって聞いたけど」


「僕も成長したんだよ」


 俺の言葉に自慢気にそういうレオルドだが、その隣に座ってるデイルはジト目でレオルドの事を見ていた。


「王子の勉強嫌いは、最近までずっと続いてたの僕は隠しませんよ? アルフ。王子は一度、留年しそうになったんだよ。それも初等部の一年生の頃にね」


「……えっ、それって本当なの?」


「む、昔の事だよ。あの頃は遊びたい時期だったからね……」


「遊びたいっていうより、陛下達のいう事に反抗したい気持ちでしてただけの様に見えましたけどね。従者だから僕も親に怒られて、本当にあの頃は何としてでも王子を留年させないようにって頑張った記憶しかないです」


 デイルの言葉を聞いた俺は、そこまで酷いとは知らずレオルドを見て「マジ?」と聞いた。


「……まあ、嘘ではないよ。あの頃は反抗期で、勉強面に強く出てしまってね。今でもあの当時の事を思うと、何であんな態度を取っていたのか不思議だよ。あの頃、勉強してないせいでその後にかなり苦労してね。ちゃんと勉強しておけば良かったって、後悔したよ」


「王子様でも勉強が嫌いな時期とかあったんですね……」


「そりゃ、僕も完璧な人間じゃないからね。立場が違うだけで王族は凄く見られてるけど、同じ人間ではあるからね」


 レオルドはそう普通の様に言うが、王族は特別な存在だと認識してるリサ達はその言葉にどう返せばいいのか困っていた。


「レオルド。一応言っておくけど、皆は普通に王族が凄い人達だっていう認識で今まで生活してきてるから、俺に話す時みたいな感じで話しても認識のズレが生じるから程々にね」


「そうですよ。王子は平気かも知れませんが、相手が困ってるの気付きましょうね」


「……ねえ、デイル。今日はやけに僕に冷たくない?」


「いつも王子の行動に悩まされてますから、言える時に言おうと思いましてね。後、昔の事を思い出してちょっと嫌がらせも込めてます」


 デイルは平然とレオルドにそう言い、レオルドは「従者なのに守らないのはおかしいと思う」と文句を言っていた。

 その後、雑談は止めて勉強を始めた。

 分からない所は俺が教えたり、俺が他の人に教えていたら互いに教え合ったりをして勉強時間を過ごした。


「ん~、やっと勉強時間終わった~。午後からは、訓練なんだよね?」


「その予定だよ。でも、その前に飯を食べようか。皆もお腹空いてるでしょ?」


 早く訓練がしたいレオルドの言葉に俺はそう返すと、皆は「お腹減ってる」と言ったので食堂に行き、昼食を食べる事にした。

 ルクリア商会の食事がはじめてのデイルは、その美味しさに「うまっ!?」と驚き、おかわりもしていた。

 そして昼食を食べ終えた俺達は、午後は訓練の時間としているので訓練場にへと移動した。


「えっと、一応確認だけど。剣はレインとデイルの二人だけだよね? レオルドは魔法?」


「いや、ちょっと最近は魔法の訓練を続けてて【剣術】が訓練出来てなかったから、久しぶりに【剣術】の訓練をしようかな。それに男女で別れられそうだし、僕が剣の方が人数も丁度良さそうだからね。よろしく、レイン君」


「よ、よろしくお願いします。レオルド王子様、デイルさん!」


 一人だけ貴族と一緒になったレインは、ようやく緊張が解け始めていたが流石に二人と一緒となるとガチガチに緊張していた。

 俺はそんなレインを見て、アリス達には最初は剣術組の方に付くねと言って訓練を始めた。


「正直、剣に関して三人の方が色々と知ってると思うけど、どうする?」


「僕はアルフ君の剣術を教えて欲しいかも」


 最初に訓練内容をどうするか聞くと、最初にレインがそう言ってきた。


「俺の使ってる剣術はエリスさんから教わった剣術だけど、レインは今習ってる剣術とかは無いのか?」


「父さんは我流の剣術だし、学園で教わってるのはなんだか合わない気がするんだよね。それで、アルフ君の剣術ってどんなのか教えて欲しいって思ったの」


「成程ね。じゃあ、レインは俺が教わった剣術を教えるのは決まりだね。レオルドとデイルはどうする?」


 レインの訓練内容が決まり、残ったレオルド達がどうするか聞いた。


「折角だし、僕もアルフの剣術が習いたいかな? 一応、城で剣術は習ってるけど、それとの違いも知りたいからね」


「流れ的に僕もアルフの剣術を習うよ。今の自分の成長に繋がるかも知れないからね」


「了解。それじゃ、皆一緒に教えるって事で決まりだね」


 そうして訓練内容が決まった俺は、事前にエリスさんに教えても良いか許可を取っていて良かったなと昨日の事を振り返った。

 レインが来るって事は、つまり剣術を教える流れになるだろうと思っていた俺は、事前にエリスさんに剣術を教えても良いか聞いていた。

 秘伝の剣術とかではないらしく、教えても構わないと許可を貰っている俺はレオルド達に訓練内容を説明して、早速訓練を始めた。

 

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