第54話 【アリスと魔法訓練・2】


 訓練の許可が下りた後、俺とアリスは訓練場へと移動し、早速訓練を始める事にした。


「……アリス。別にこれは強制じゃないんだけど、アリスのステータスを見せてくれないか? 今がどういう状態なのか確認しておきたいんだ。無理なら、口頭でも良いからスキルについて教えて欲しい」


「アルフ君なら、別に見せても良いよ」


 アリスは平然とそう言うと、サッと自分のステータスを俺に見せてくれた。


名 前:アリス・ルクリア

年 齢:16

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:女


レベル:4

筋 力:29

魔 力:21

敏 捷:14

 運 :74


スキル:【交渉術:1】【水属性魔法:2】【気配遮断:3】

    【気配察知:2】

加 護:商神の加護


「……アリスって加護持ちだったんだ」


「うん。これ知ってるの家族とアルフ君だけだよ」


「だったら、もう少し警戒して欲しかった気も……それより、アリスのスキルだけどこれって最初からこの数授かったの?」


「違うよ。【気配察知】は私が人見知りで、人の気配をずっと感じ取ってたらいつの間にかスキルとして現れてたの」


 成程、人見知りなアリスは周りの人間の気配を察知する事を常に行っていて、それでスキルとして【気配察知】を獲得したのか。


「というと、上三つが授かったスキルって事だね。中々、バランスが取れたスキルだね。商人にとって助かる【交渉術】のスキルに属性魔法が一つ、それに人見知りのアリスにとって一番使えるし、戦いにおいて持っていて損が無い【気配遮断】って本当に良い組み合わせだと思うよ」


 俺はそうアリスのステータスを見てそう感想を言うと、アリスは嬉しそうな顔をしていた。


「さてと、それじゃあ早速訓練に移ろうと思うんだけど。アリスはどこまで魔法が使えるのか、見せてくれる?」


「はい。アルフ先生!」


 アリスは俺の事を先生と呼ぶと、早速魔法を使い始めた。

 言っていた通り、魔法の構築自体は遅いが魔法自体はそこまで悪くない。

 というより、アリスの出した魔法はスキルレベルからしたら、かなり綺麗な魔法だった。


「うん。アリスは綺麗な魔法を使うね。だけど、やっぱり構築までの時間がかなり掛っちゃうね」


「そこが問題……今までの試験とかでも、時間がかかり過ぎて点数が下がってた……」


「となると、やっぱりスキルレベルを上げつつ、魔法を感じる時間を増やすのが良いね」


 そう俺はアリスに言って、桶を用意してその中に水を入れた。


「これは師匠から教えて貰った訓練方法なんだけど、桶の水を魔力で動かす訓練だよ。これをすれば、今よりも魔力を感じる事が出来るようになると思う」


「桶に手を入れるの? 分かった。やってみるね」


 俺の指示を聞いたアリスはそう返事をすると、水の中に手を入れて魔力で水を動かし始めた。

 アリスは基礎自体はちゃんと出来ている為、直ぐに桶の水を動かし始めた。


「良い感じだよ。訓練自体楽しくないと思うけど、これを続けて行け魔法の構築も早くとなると思うから、頑張ってね」


 そう俺はアリスに言って、俺も同じように桶を用意して一緒の訓練を行った。

 それから訓練を陽が沈むまで続けた俺達は、訓練を終えて一緒に食堂に行き夕食を食べる事にした。


「訓練初日はどうだった?」


「楽しかったよ。学園だと、いつも一人で訓練してたから魔法の楽しさとか感じた事無かったけど、今日はアルフ君が隣に居て友達と訓練する楽しさを感じたよ」


「それは良かった。地味な訓練だから、途中で飽きてないか心配だったんだよね」


「全然、飽きなかったよ? 普段から、あんな風にジッとしてる時あるからそこまで苦でもなかったし」


 アリスは平気だったと言い、それから少ししてエリックさんがアリスを迎えに来たので、また明日学園で会おうと言って別れた。

 その後、俺は風呂で一日の疲れと汚れを落とし、部屋のベッドに横になった。


「そう言えば、加護がある人は加護を付けた神の名前が出るんだな……」


 ベッドに横になった俺は、ふとアリスのステータスを見た際に加護の所にあった神様の名前を思い出しながらそう口にした。

 そして俺は、改めて自分のステータスを確認した。


名 前:アルフレッド

年 齢:16

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男


レベル:15

筋 力:197

魔 力:384

敏 捷:94

 運 :91


スキル:【経験値固定:—】【剣術:4】 【属性魔法(4):—】

    【魔力制御:8】 【従魔:10】【調理:4】

加 護:Error


「変わりなしか……」


 ステータスに変化があるかもと思い、見てみたが特に俺の加護の所は変化はなかった。

 師匠達が言うには、俺は加護を持ってるみたいだけど、加護を付けてくれてる神様が誰なのか未だに知らない。


「もしかしたら、神様にお祈りとかした方が良いのかな?」


 聖職者の人達は神に祈りを捧げると聞いた事がある。

 俺も同じように、神様に祈れば名前が出たりするのかな?


「う~ん、でも神様に祈るってどんな風にすればいいのか分からないな……明日、少し調べてみようかな」


 そう思った俺は段々と眠くなって来て、そのまま眠りについた。

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