第41話 【学園へ・1】
王都に戻ってきた翌日、俺は外行き用の服に着替え集合場所に向かった。
既にそこには馬車が停まっていて、エルドさんと師匠が待っていた。
「すみません。遅れましたか!?」
「いや、大丈夫だぞ。俺とエルドさんもさっき来た所だからな」
「そうだ。だから、焦らなくても良いぞ」
そう師匠達から言われた後、馬車に乗り込み学園に向かった。
学園はこの王都の中でも、一番敷地が広く。
学園に通う者が十分な学びを得る為の施設が沢山作られている。
と、ここまでが俺が知ってる学園の知識だ。
「アルフって知ってる知識に偏りがあるよな」
「まあ、教育がそんな感じでしたからね……学園は必要ないって言ってるような親でしたから」
「ふむ。王族も通うような場所なのに、アルフの両親は変な考えの持ち主だったみたいだな」
エルドさんの言葉に対し、俺は「多分、操りやすくする為ですよ」と言った。
「薄々、そんな雰囲気を感じ取っていたので子供ながらあの人達はおかしな人達だって、妹と二人で絶対に操られないようにしようって心に決めてました」
「アルフとアルフの妹は、子供のながら聡明だったみたいだな」
「そのアルフの妹はまだ家に居るのか?」
「はい。最後にちゃんと会ったのは一年前ですね」
師匠の言葉にそう返すと、師匠は「また会えるといいな」と言い、いつか再会できるように協力すると言ってくれた。
その後、学園に到着した俺は師匠達と一緒に学園の敷地内に入っていった。
敷地内に入る際、門の所で学園の関係者の方と合流して、待合室へと通された。
そしてそこで少し待っていると、部屋の扉が開いて外から人が入って来た。
その方は女性で、耳が尖っている事からエルフの方だと直ぐに分かった。
髪は長く金色の髪で目は緑色と、エリスさんとどことなく雰囲気が似ているような気がした。
「エルド様、貴方様が直々に来ると騒ぎになるからお止め下さいと言いましたよね……」
女性の方は部屋に入ってくるなり、エルドさんの顔を見てそんな事を言った。
「良いだろう? ちゃんとこうして、誰か分からないように変装しているんだから」
「隣にアレン様を付けて、ルクリア商会の馬車で来たら意味ないじゃないですか……」
「……確かに、言われてみればそうだな。エリナ、すまんな」
エルドさんは女性の名を言いながら、軽い感じで謝罪した。
女性はエルドさんの謝罪を聞くと、肩を落とし溜息を吐き、俺の方へと視線を移した。
「貴方がアルフレッド君ですね。私はこの学園の学園長を務めております。エリナ・ローンベルと申します。ルクリア商会で副会長を務めているエリスの姉でもあります」
「あっ、はじめましてアルフレッドです。エリスさんと雰囲気が似てるな~と、入って来た時から思ってました」
「エリスから偶に貴方の事は聞いています。あの子があそこまで気に入る方は、そうは居ないので会うのが楽しみでしたよ」
エリナさんはそう言うと、今回の試験について説明をしてくれた。
学園の試験は事前にエルドさん達から聞いていた通り、筆記試験と実技試験の二つ、そして面接もあるとエリスさんから説明された。
「め、面接ですか?」
「はい。特別入学試験に来る方は、色んな方が居ますので面接を設けているんです。しかし、アルフレッド君の場合ですと既にエルド様達から資料を頂いているので面接は不要です」
エリナさんからそう言われた俺は、内心ホッとした。
「それで試験の説明はこれが終わりです。では、アルフレッド君には試験会場に移動してもらいますが、エルド様達はどうしますか?」
「そうだな、筆記試験は見学は出来ないが実技試験は見学でるんだったな? なら、それまで待っておくか」
「そうですね。どうせ、アルフの事ですから直ぐに筆記試験は終わると思いますし」
エリナさんからの質問に師匠達はそう言って、俺はエリナさんと共に部屋を移動する事にした。
「さっき、エルド様達が筆記試験は直ぐに終わると言ってたけど、アルフレッド君は勉強が出来るのかしら?」
「苦手、ではありませんね」
「そうなのね。エルド様があそこまで信頼を置いてるアルフレッド君の実力がどこまでなのか、私も確認するのが楽しみだわ」
エリナさんは微笑みながらそう言うと、試験部屋に到着して中に入った俺は席に座った。
そしてエリナさんから解答用紙と問題用紙を貰い、試験時間等の説明をされて筆記試験を始めた。
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