第34話 【悩みの解決に向けて・2】
「所でアルフは、勉強は得意なのか?」
「勉強ですか? 学園がどこまで教えているのかにもよりますが、家ではやる事が限られた生活をしていて、勉強の時間がかなりあったので多少は出来ると思いますよ」
そう言うと、エルドさんは後で明日学力テストを行っても良いか尋ねて来た。
「大丈夫ですよ。あっ、それなら勉強道具があると助かります。最後に勉強してから大分経つので」
「うむ、分かった。後でアルフの部屋に届ける様に指示を出しておく」
エルドさんからそう言われた俺は、久しぶりに勉強が出来るなと思い何故か少しだけ楽しみだと感じた。
「アルフ君、テストって聞いて楽しそうにしてない? 私だったら家でもテストとか言われたら、泣きそうになるよ?」
「そこまで勉強が嫌いなの? まあ、俺はそこまで嫌いじゃないからね。新しい知識を覚えるのは楽しいから」
ラルフさん程では無いが、新しい事を覚えるのは昔から好きだった。
それに昔から記憶能力には自信があるから、少し勉強すれば大体の事は思い出せるだろう。
明日のテストで良い点数を取って、エルドさん達を驚かせようと密かにそう考えていた。
「って、そう言えばアルフを学園に通わせるのはいいですけど、どうやって入学させるんですか? もう入学時期から大分経ちますけど、それに学園に通う事が出来たとしても高等部に入学出来るんですか?」
話が終わりかけて、解散となる前に師匠はそこに気付いてエルドさんに質問をした。
「そこは大丈夫だ。学園には遅れて入学できるように、特別入学試験というものがあってな。その試験に合格すれば、学園に入学する事が出来る」
「そんな制度があるんですね」
「偶にではあるが使われてる制度だが、普通の入学試験よりも難しくされておって合格する者は少ない。本当に学園に通いたいのであれば、高等部の入学時期に試験を受けて入学する者が多い」
そうエルドさんから教えて貰った後、明日の試験の為に時間が必要だろうと言われて話し合いは終わった。
「師匠。今日の訓練はどうしますか?」
「そうだな、明日テストが行われるなら勉強に時間を使った方が良いだろうな。今日は、訓練は休みにするか?」
「……あの、少しだけやりませんか? 勉強に時間が必要なのは分かってますけど、そのいつもしてる事を急にやめるってなると違和感を感じてしまうので」
休みにするか? と聞いてくれた師匠に対して俺はそう言うと。
「アルフは本当に努力家だな。分かった。取り合えず、午前はいつもは運動とか【剣術】の訓練時間に使ってるが。そこを魔法の訓練時間にして、午後からは勉強の時間にするか」
「はい!」
俺は師匠の言葉に、そう返事をして訓練を始めた。
それから午前中だけしか訓練が出来ない俺は、いつもより更に集中して訓練を行った。
そして訓練を終えた俺は、食堂で師匠と一緒に昼食を食べた。
「これが勉強道具かな?」
昼食後、師匠とは別れて部屋に戻ってきた俺は部屋の中に木箱が置いてあり、その中にノートとペン、勉強用の本が入っていた。
俺はそれらを箱の中から取り出し、テーブルに並べ勉強を始めた。
「なんだか懐かしいな……」
勉強を始めて直ぐ、久しぶりに勉強したせいで懐かしさを感じ、昔の事を少しだけ思い出した。
「クラリス、元気にしてるかな」
家で勉強をしている時、クラリスとずっと一緒に勉強していた。
だからなのか、俺は小さかったクラリスの幻覚を見て少しだけ涙を流した。
「懐かしんでる場合じゃない! 今は学園に入学する為に頑張らないと」
俺は自分の頬を両手で叩き、そう言って気合を入れ直した。
それから俺は、夕食の時間まで勉強を続け。
風呂と夕食を済ませた後、部屋に戻ってきた俺は再び勉強に集中した。
「アルフ。お前、もしかして寝ないでずっと勉強してたのか?」
「途中から楽しくなって、つい徹夜してしまいました」
「勉強が楽しくって、アルフは本当に変わってるな……」
翌日、朝食を食べていると師匠が来て、俺の顔を見た師匠は直ぐに徹夜したと気付いた。
「体調は大丈夫なのか? 具合が悪いとかなら、テストを明日にずらしてもらってくるぞ」
「いえ、どこも悪くないので大丈夫ですよ。それに目に少し隈が出来てますけど、そこまで眠いって訳でもないので」
心配してくれた師匠にそう言うと、師匠は「アルフがそう言うなら良いけど……」と言ってくれた。
その後、朝食を食べ終えた俺と師匠はテストを受けにエルドさんの部屋に向かった。
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