002 剣と魔法のファンタジーな世界らしい
「
「おお~!」
「異なる世界による言語の壁は、ギフトという恩恵を授ける事によって解決します。――ですので慶太さんは何も気にする事無く、現地で普通に会話ができちゃいますよっ!」
「おお~!!」
「そして更に! 今回はおまけで現地の一般成人が持つ基礎的な知識と、共通言語の読み書きも付けちゃいましょう!」
「おお~!!!」
「後は……、本来ならば言語とは別にもう1つギフトを授けてあげられるのですが、先ほど
「おお~ん……」
チート無いのかぁ……。
世の中そんなに甘くないのは分かっていても、いい歳してちょっと期待しちゃってた自分がいる。
「――という事で、今回
ううーん……、女神様ニコニコ顔で説明してくれるけど、ちょっと地味すぎなギフトじゃありません?
でもまあ、事前に危機を察知できたりする直感が手に入ると考えれば……まあいっか。魔法もあることだしな。
……いや、ちょっとまって。魔法のある世界なのは分かったが、俺自身は魔法を使う事ができるのだろうか?
「あの~女神様、魔法は自分も使えるようになるんですか?」
「もちろん使えますよ! 慶太さんの元々の体は既に火葬されてありませんので、私がちゃんと魔法の使える体を造って差し上げますのでご安心を。――と言いますか、魔法の源となる
よかった、俺も魔法が使える!
これはちょっと楽しみになってきたな。なんかオラわくわくしてきたゾ!
ただ、非常に危険な世界であることも理解できてしまった。
そりゃそうだよなあ。漫画やゲームじゃないんだから何か特別な力でもないと、魔物どころか虎や熊ですら、どんなに鍛えても勝てやしない。
「ただ、
「おぉ! 異世界お約束の冒険者ギルドがあるんですね!?」
「はい! バッチリありますよ! ですので
あっ、そうか……、そうだよな。
異世界で残りの人生を過ごせると期待を膨らませていたが、生きるためには稼がないといけない。当たり前な事だけど。
冒険者か……。チートも貰えなかった俺が、果たして生活できるだけ稼ぐ事ができるのだろうか。
正直不安だが、行くと決めたんだ。やるしかない。
「なるほどわかりました。――正直どこまでやれるかわかりませんが、この延長していただいた人生、精一杯頑張ってみます!」
「はい! 私も陰ながら応援しておりますね。――それで……
「お願いですか? なんでしょう?」
なんだろう。これから何も知らない世界へ旅立つ俺に、できる事なんてあるのかな?
「実は……次の世界でもとある少女を一人、助けてあげて欲しいのです」
「少女……ですか」
「はい。どの子がそうかは、これから差し上げる 【虫の知らせ】 のギフトで分かるようにしておきますので、お願い……聞いて頂けませんか?」
「もちろん良いですよ。
「さっすが
女神様がそう言うやいなや、手に何かを持っている事に気が付く。
……なんだこれ。どうやらさつまいもの
「それは
「えっ、これ
まさかもう一度
俺、
沢山育てる事ができたら、干し芋でも作っちゃおっかなー。
これから向かう異世界について、女神さまからひとしきり説明を受けたわけだが……、ふと、気が付いてしまった事があった。
「あの女神様……、もしかして女神様の本当の目的ってその少女を助ける事だったりしません?」
女神様はぎくりとした後、ちょっとばつの悪そうな顔をされると、 「実は……」 と白状された。
「……仰る通りです。正直に申し上げますと、その少女を助けてあげる事ができる存在を探しておりました。
「いえいえっ、そんな事ありません大丈夫です。――ただ……、なんとなく不思議に思ったんです。ほんのちょっとの間でも何千何万と命が生き死にしているはずなのに、なぜ女神様は俺を見出し、これだけ時間を割いてくれたのかな……と。むしろ自分を選んで頂きありがとうございます。――
久々にする敬礼をして、俺の決意をはっきりと伝える。
女神様、本当に俺を選んでくれてありがとうございます。
すると、女神様は花が綻ぶように笑顔となり、とても喜んでくれた。
「はい、よろしくお願いしますね! 助けて欲しい少女は、時が来れば
「分かりました」
「それではそろそろ
「はい! 女神さまもお元気で! ――頑張ってきます!」
にこやかに手を振る女神様に見送られ、俺の姿は次第に掻き消えていく。
そして俺は、アーセリウスに旅立った。
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