第3話 暗闇に湧く種族

自分よりも背が高い植物が茂る獣道。どこに繋がるかも分からない道をただひたすらに歩く、ユニークスキル「風霊簑」の風を使ってなぎはらってもいいがMPが一回3消費されるから万が一のために残しておきたい。現在はレベルも上がりMPは42になっていた。『風霊簑』を発動するだけならMPは下がらない。ステルス状態になるから魔物には襲われる心配はないし、使っても良いけど…解除してから30分のクールタイムがあるからな…それに使用してから20分で強制解除…本当に必要なときに残しておこっと。


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獣道を抜けると少し草原が広がり下が見えない崖に行き着いた。元々は橋がかかっていたみたいだが地震の影響か老朽化が原因かできえていた。

ここで引き返してもいいが看板があり不自然に地震が起き道が現れたのなら…何かしらのイベントが起こりうる可能性があるってことだよな…行かねば。


さて、整理しようか。向かい側の崖までの距離はざっと20Mさっきの実験でわかったことを応用して足裏から風を放てば空を飛ぶ…というよりは浮くことはできるはずだ。現在MPは全回復しているから14回も使える。問題は届くがどうかだが、届かせないと前には進めない。当たり前だけどそれを忘れては行けないよな…できる、できないよりやってみたい…


「っし、行くか!  『風霊簑』!!」


崖を蹴って足裏に意識をする。右の足裏から風が巻き起こる。感覚的には飛ぶというより空中ジャンプをしている感覚だな、一回で約2Mこれなら10回で向こう岸までいけるはずだ…それでもぎりぎりか…空を飛んでる魔物はいるけどステルス能力のおかげか見えてない。足裏に風を起こしているからか風の残りによりゆっくりと落ちている。


「あと、半分っ…」


MPは残り27。

日常生活で崖を飛んで向こう側にわたるなんて普通やらないし下を見てしまうと恐怖心が勝ってしまう。しかし突如として崖に挟まれた暗闇の中から


〖GUGYAAGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!〗


自分の5倍以上あるドラゴンが突っ込んできた。


「はぁ!?ドラゴンだ!かっけぇ!じゃない…すぐここから離れないとっ!え、いやでもどうすれば、…!」


パニックになり、足に意識ができなくなってしまった。下に風が起こっているから急速落下はしないけど…下から来るドラゴンに喰われないように立て直せるか……?


〖GYAOOOOOOOO!!!〗


ドラゴンは口を大きく開け俺の足よりも下の空間を喰い散らかした。そのせいで命綱とかしていた風が消え急速落下してしまう。


「あっ…死――――――」




するとドラゴンから高く通る声が聞こえる




「何をやってるんじゃお主はぁ?!空中で飛ぶのをやめるなんて自殺か?自殺したいのか?ちょいとまっとれ!!」



落ちる俺をドラゴンが食…わずドラゴンに騎乗している黒くちっちゃい羽が生えた少女が俺を抱き締めた。


「大丈夫か?お主、こんなとこでなにをしてる?」


「向こう側の崖まで飛んでたんだけど君のドラゴンにビックリして落ちちゃって…」


「ぬ…それは面目ない…この子は魔力溜まりが大好きでな…魔力溜まりをみつけるとワシの言うことを聞かずに飛んでいってしまうのじゃ…そこの崖じゃな?危ない思いさせた詫びじゃ連れてったる」







「えっと、ここでいな?それでは私は村に戻るでな、あ…紹介がまだじゃったの、ワシの名はマオ、魔族の村の長である。」


「俺はレイスト。人間族のレイストだ。よろしくな」


[人間族…?滅びたはずじゃが…生き残りがいたのか?それにこんなところに崖なんぞあったか?いや、ぬ~ん……]


しかし魔族か…初めて出会った種族が魔族とは…まぁかわいいからいっか!マオさん独り言を言っててちょいと怖いけど…


「ま、まぁまたどこかであったらよろしく頼むな!レイストよ!名前は覚えたぞ!さらばじゃ!」








管理棟AI



アイ「テイル~地形変え終わった~?」



テイル「まだですわぁ~全領土をバックアップするにも広大すぎるのですわぁ。終わらないのですわぁ…」


アイ「だから地形担当AIちゃんたちに任せれば…」


テイル「もうお願いしにいきましたわよ。『んぅ…あと5分』ですってふざけんじゃないですわよ…私はこんなに頑張ってるのにぃ!」


アイ「あんたが誰にも連絡せずにバックアップなんかしたからでしょ…自業自得よ」


テイル「うぅ…頑張りますわぁ…」

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