1.5
どれほどの時間が経過しているのだろうか。
転移中の世界で、時間の経過など無意味であった。
現実という、肉体と精神が繋がれた世界でなければ、生きようが死のうが関係ないのだ。全ては、自我が、あるか、ないか。コジト・エルゴ・スムだ。
――いや生きてさえいなければ、それさえどうでもいいのかもしれない。
ときどき、このまま目が覚めなければいいとおもう。
現実は辛苦の連続で、肉体的にも精神的にも苦痛を伴う。生きるためには、何かの生命を奪う必要もある。
宇宙という過酷な世界で、生命を育てるのも無謀だ。太陽の光が降り注ぐ惑星でも、限られた資源ゆえに諍いは生まれ、天候の変化で命も奪われる。
幸福を求めて夜が続く世界へ向かっても、あるのは虚無ばかり。
人が生きる理由を知りたかった。
なぜ、時間を有する四次元で命を紡いでいかなければならないのか。
かつての偉人たちは、その解をもっていたのだろうか。
とりとめない疑念を抱いた矢先、意識がまた途絶えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます