人から猫になった女の子に恋しちゃった!?

みるもるの家

第一百合「金欠と出会いそして始まり」

「う、うぅ」……と言いながら起床する。

 気持ち良く起きれる人はとても凄いといつも思う。

 憂鬱ゆううつだが、学校に行かないといけない。

「ふっっ!」

 私は力を振り絞って体を起こした。

「……行きたくないなぁ。」

 床に足を置いたら何かを踏んだ。

「ああ、部屋の片付けをしなきゃ」

「でも今は学校に行く準備をしないと……」

 そして、床に置いていた制服を拾い、バッバッとゴミやホコリを落した。

 服を脱ごうとしたが着てなかった。

 一瞬、着替える手が止まったが、何事も無かったかのように再開する。

「面倒臭いから今日はブラは着けなくていいや。」

「どうせ着けなくても、何も変わらない……」

「ふふ、世界中探しても私だけチャームポイントなのだから!!」

 誰もいない部屋で1人で意味の分からないガッツポーズをした。

 スっと我に帰り、ほぼ全裸で止まっていた着替えを再開する。

 今思い出したら、パンツしか履いていなかった。

「アハ!謎の光が私の胸にあったに違いないな。」

 と、私はふとあることに気付く。

「あれ?あれって大きいから謎の光がある・・・なら。」

「私みたいな、超絶ぺったんなら、ないのでは?」

 と言うバカげた発見をした。だがそれを聞いてくれる人はいない。

 やっと着替えも終わり、朝ご飯を食べようとリビングに行こうとした時、ある事を思い出した。

「あ、そう言えば朝ご飯無かったんだ!」

 私は、咄嗟とっさにベットの隣に置いてある机から、自分の財布を手に取った。

「あ、やっぱり……私、お金無いんだった。」

 財布の中には、ピカピカの百円玉がちょこんとあった。

「はぁ。仕方ない、最後の百円を使う時が来たのか……」

 ため息を吐きながら、小さい声で言った。

 財布をスカートのポケットに入れた。

「よし!まだ時間はある。」

 近くの置時計で時間を確認した。

 寝室を出て、散らかったリビングを通り、玄関に向かう。

 そして、ピカピカに輝いた百円玉を握りしめ、外に出た。


  ♥


 今日は10月3日月曜日―

 夏も終わり、外は少し肌寒く、段々と冬に近づいていると感じる季節になった。

 私はゆっくりと歩を進めながら考え事をしていた。

「さて、どこで買おう?」

 しばし悩んで私はある結論に至った。

「最後の百円なんだから、盛大に使わないと!」

 だが、ただの百円で何が買えるのだろう。

「んにぁ~、何に使えば分からないから、自販機にしよう!」

 変な声を出したが、何も気にしなく、自販機で飲み物を買う事にした。

 とても勿体無いかも知れない。

 本当はスーパに行けばもっといいものが買えたかも知れない。

 だけど、この時の私にはそんなことは思いついてなかった。

 一番近い自販機は公園の中にある。

 私はゆっくりと歩を進める。

「ああ、友達がいたらなぁ……どうしてあんなこんな事に……」

「……悔やんでいても仕方ないよね。」

 そして気持を切り替える。

「うぅ、それにしても肌寒。やっぱり制服は寒い。」

「でも、何だかんだ好きなんだよね。制服。」

「私服としても使えるし、ダサいとも言われない。一石二鳥だね。」

 何故か元気になった私は、鼻歌交じりで公園に向けて歩くのだった。


  ♥


 公園に到着し、自販機でジュースを買った。

「あれ?私は何を買っているのだろう?」

 と、思ってしまった。買ってしまった物は仕方ない。

「ま、丁度喉が湧いていたからいっか。」

 私は体を曲げ、取り出し口からジュースを取った。

 後ろから見たらパンツが思いっきり見えているに違いない。

「あ、この取り方ははしたなかったわね。」

「うーん、やっぱり難しいわね。もっと羞恥心を持った方がいいのかしら?」

 そんな事を考えながら近くのベンチに座り、キャップを回した。

「ふぅ……あれ?そう言えば、何かを忘れているような……」

「まぁ、忘れているならどうでもいい事かな。うんうん!」

 考えるのを一瞬でやめた、その時だった。後ろから物音が聞こえた。

 咄嗟(とっさ)に後ろを振り向いたが・・・誰もいなかった。

 後ろは木が生えていて、誰も入ろうとはしない場所。

 だが、何かの気配を感じた私は、ペットボトルのキャップをしめながら、

 ゆっくりと立ち上がった。

「これは……何かがある!」と、小声で興奮した。

 一応、防衛するための武器もある。

 そして、足音がした方へと気配を消してゆっくりと近づく。

「さぁ、何があるのかな!」

 昂る感情を抑えながら先へ進む。

 パッと草から顔出し、周りを見渡す。すると尻尾が見えた。

「あっ!猫の尻尾だ~」

 私は猫に近づく。だが、どこかおかしい……

 よく見るとそこには……猫耳と尻尾しっぽが生えた銀髪の女の子がいたのだった。

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