白樺山いわく

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白樺山いわく

白い骨はとっても美味しいのです。

われはずっと昔からそう知っているのです。


吾がまだぼんやりとしていた時のこと。ちっちゃい子らが吾のところにやって来て、もっとちっちゃい子を置いていったです。

その時は分からなかったですが、今なら分かるです。生贄いうんです。

生贄された子、わんわん泣いてました。

吾、うるさいの嫌いなのでコラーってしました。

花とかバッサバッサ咲かせました。蝶とかパタパタ飛ばしました。鳥たち高らか鳴きました。

そしたら生贄された子、笑いました。楽しそうでした。吾、怒ったのに笑われてびっくりしました。そのびっくりの時、吾ぼんやり止めたです。


ぼんやり止めた吾に生贄された子、名前聞きました。吾の名前ずっと昔からあります。白樺山しらかばやまです。ちっちゃい子らは吾をそう呼びますですから。

白樺様って呼ばれて、毎日生贄された子と楽しく仲良く暮らしました。

生贄された子、名前ないでしたから吾が名付けました。花鶏あとりいいます。初めての時、花とか鳥を喜んだから花鶏です。

花鶏可愛い。とても可愛い。吾幸せでした。花鶏もきっと幸せだった思います。

だけど、花鶏生贄された子でした。生贄された子、生贄にならないとちっちゃい子ら困ります。

ちっちゃい子ら花鶏を怒りに来ました。吾は花鶏のために怒りました。

そしたらもっと花鶏は怒られて、酷いことされました。吾ももっともっと怒って酷いことしました。

そしたら花鶏、死んじゃいました。あんなに可愛い花鶏は死んじゃいました。死んでも可愛い花鶏でした。


ちっちゃい子ら、それで満足して、吾の口の中に花鶏の体入れました。吾は山ですので食べなきゃでした。吾は花鶏を食べました。

食べたら、花鶏白い骨になりました。花鶏の好きな花に似てる綺麗な白色の骨。

吾は長い時間をかけて花鶏の骨も食べなきゃでした。

でも食べてびっくり。花鶏の骨、とても美味しいのです。ひとくち、ふたくち、みくち、たくさん。止まらないのでした。

そしたら花鶏なくなってしまいました。でも吾、分かったのです。白い骨ってすっごく美味しいのだって。


それから吾はたくさんたくさんお願いしました。白い骨ください。美味しい骨ください。そしたら少しずつ、吾の口に花鶏と同じく動かない子を入れてくれる子がいたです。

吾はとっても嬉しいでした。

だけど、嬉しいなのに不思議なのでした。

白い骨は白い骨なのに、花鶏のと違って全く美味しくないのです。

花鶏はあんなにあんなに美味しかったのに。でもきっと、山の果物と同じなのです。美味しいのの中にも特に美味しいのもあれば、微妙なのもある。花鶏、特別立派で美味しかったですよね。きっと。

なら、まだまだ集めればきっとまた花鶏と同じ味の骨、見つかるですよね。

だから、吾は待ってるです。

シカバネくれるの待ってるです。

あなた、シカバネ持ってきてくれた人ですか?

そこにはひとつ埋まってるのです。

もひとつ近くに埋めるですか。

それもきっといいのです。

ひとつはあんまり美味しくなかったから最後までは食べないです。もひとつもそんなに美味しくなさそうですが、ふたつ揃うと何だか素敵です。

まるで、昔の吾と花鶏みたいです。ふたつは素敵です。幸せです。

素敵だから、もひとつ少し食べてみて美味しくなかったらずーっと残しておくのです。

大事に大事に閉まっておくのです。

吾は違う美味しい骨を求めるですので。


早く食べたいです。美味しい美味しい白い骨。花鶏を食べた時と同じくらい。

それ食べたら、吾も幸せになれると思うから。

吾はずっと待っているのです。

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