春雷

傷だけを残してゆく人だった

いつだって私以外を選ぶひと

いつだって私を置いていくひと


いつかは殺さなければと思っていた

だから会いたくはなかった

のに


貴方はいつだって 突然やってくる

まるで夜を偲ぶ春の嵐

柔らかい暴風を 私の胸で響かせて

桜の花びらだけ そっと散らしていった


それをすくって

食む私は報われない

貴方を許してしまう

引き留めてはおけないままに


一晩で過ゆく風だった

けれど今も

永遠に私の心を渡っている


また会いたい、私のファフロツキーズ


そうしてまた、傷だけを残していった

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