話しかけられない

神さまが 最後のチャンスを私に与えて

あの人に 最後に一度だけ会わせてくれました


それでもきっと、声はかけられないままでしょう

もう二度と会えなかったとしても

忘れられていたら

そう 貴方に忘れられている自信しか

私にはないから


声がつまるでしょうね

まるで使い方を忘れたように

そして見送る貴方の背中を見て

耳元で心臓の音だけが響く


初めて声を出すように

それなのに 脳裏は酷く騒がしい

傷ついてもいいから

もう一度話しかけてしまえと



けれどその時間は一瞬だった


貴方は立ち去る

私がどんなに会いたかったかも知らず

すれ違ったことも知らず


だからきっと私、

さよならも言えずに

ずっと

去りゆく貴方の背中を見てる

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