ノックの音(達)がした。

小石原淳

第1話 ノックの音がした>五月蠅い

 ノックの音がした。

 始まったな。いつもの奴らが来たに違いない。無視をする。

 しばらくして、またノックの音がした。

 ああ、うるさい。無視する。

 またしばらくすると、ノックの音。先ほどと比べて、間隔が短くなっている。

 それでも、無視。

 ノック。

 無視。

 ノック。

 無視。

 何度繰り返した頃だろう。

 耳を塞ぎたいところだが、今、ワープロを使っていて、それはできない。かと言って、耳栓もない。

 根負けしたのは、私の方だった。窓を開けて、叫ぶ。

「野球の練習なら、学校のグラウンドでしろ!」


――御粗末さま


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