二人の特異性

瑞稀 一

プロット

〇世界観

現代の地方都市

高校のレベルは中の下、別の進学校も同じ市内にある。

梅雨はまだ来ていない、5月の中盤


響と美紀はたまに入れ替わる

小学五年生の頃から始まった。

それまでは、仲が良く双子の二人は男女の違いはあれど似ていた為、たまに互いの体を入れ替え、それに気づかない周囲を笑っていた。

入れ替わりには周期的なものはないが、時間は決まっており、二人が起きてから寝るまでの間となっている。

入れ替わりは季節によって頻度が変わり、順番としては

春→冬→秋→夏

基本的に二人の情緒と関係がある。

両親へにも打ち明けていない。


〇主要キャラクター

主人公:伊佐菜 響(いざな ひびき)

双子の兄

高校一年

感情表現が苦手な為、周りから誤解されがちであるが、基本優しい特に美紀には優しい。

美紀を自分より大切にしているところが多々ある。

少し伸ばした黒髪は野暮ったい印象だが、美紀の隣に並ぶくらいには容姿は整っている。

美紀の隣にいて疑問に思われないぐらいには容姿は整っている。

「美紀はかわいいな」

「僕はいつも美紀に助けられてばっかりだよ」


ヒロイン:伊佐菜 美紀(いざな みき)

双子の姉

高校一年

学校ではとげとげしく、周囲を警戒させるような雰囲気。

家では学校での反動か響に甘える面もあるが器用にそつなくこなす。

自分が可愛いことを自覚しており、それを磨くことに余念がない。

身長が高く、響きと大差ない。

背中まで流れている黒髪を緩くまいている。

「お兄ちゃんには、いつも頼りっぱなしよ」(学校)

「お兄ちゃんが私を甘やかすんだよ」(家)


サブヒロイン:藤巻 美登里(ふじまき みどり)

高校一年

溌溂とした雰囲気と誰とでも打ち解けることができる明るい性格。

身長が小さく、幼い見た目にコンプレックスを抱いており、美紀に憧れている。

美紀の友達、美紀の隣に常にいる響を嫌っているが、ある事件を機に響を好きになる。

「ちょっと、響君は美紀ちゃんと一緒にいすぎだよ」


サブキャラ:嵩嶺 雅(かさみね みやび)

高校一年

優男で憧れている人に近づくため、周囲にやさしく、正義漢

中性的な見た目と人懐っこそうな笑顔で、一見してモテそうな印象

「美紀さんは相変わらず、手厳しいね」


〇物語構成

・プロローグ

美紀が告白されているところからスタート

実は中身は響 

美紀の容姿描写

そして、丁寧に断る美紀(響)

それを遠くから見ている響(美紀)

告白した生徒は美紀の前から逃げるように立ち去る

はやし立てる響(美紀)

帰り道と響の容姿描写

1.5千字


一章

互いに状態を確認しつつ目覚める。

どちらがどっちであるか。

今日は入れ替わっていない。

ここで入れ替わりのシステムの説明

朝の様子を書く。

登校中に二人の関係性と高校、年齢などの細かい設定をあらかた紹介

それが終わるタイミングで美登里が登場

美登里と美紀の会話を聞いている響

美登里が響を嫌っていることを書く。

5千字


下駄箱で今日の4時に呼び出す旨が書かれている紙を見つける。

それを響に見せつける美紀

その後はメッセージのやり取りでいくつか会話

差出人が書いていないこと。

こういうことは何度もあったし、慣れてる。

断るつもり。

一応俺も近くにいるようにする。

その間に美紀がモテることの解説

入れ替わりの説明と美紀がモテる理由

モテ始めたのが入れ替わりが始まったタイミングである。

美紀を好きになっている奴は優しい美紀をイメージしている。 

入れ替わりが頻繁に起こる季節に告白される頻度が多い。

1.5千


放課後になり、こちらに一瞥送った美紀が先に出ていく。

少し教室ですごしたのち追うように響が教室を出ていく。

体育館裏へ着くと相手の男が告白する直前であったようで、すぐに告白は始まった。

近づきすぎてばれてもまずいので、響は遠くから二人の様子を観察している。

相手の男は体育の授業を合同にやった際に見たことのあるやつで、隣のクラスの中心人物である。

そんなことを考えていると告白も佳境に入ったようで、

相手の男は綺麗なお辞儀をしながら美紀の方へ手を伸ばしている。

美紀はその手を取ることなく、言葉で伝えたのか、響の方へ歩いてきた。

相手の男は美紀の後姿を少しだけ見ると、美紀とは別方向から立ち去る。

それを見届けたタイミングで美紀も響と合流。

帰ろ、お兄ちゃん

はいよ

2千字


地元の駅前で響はコーヒー、美紀はコーヒーにドーナッツ

「晩飯食えなくなって、怒られても知らないぞ」

「その時はお兄ちゃんにパスするから」

軽口を言い合う二人

「そう言えば、話してる時間長かったけど何話してたんだ」

「なんか今回の人は私のこと前から知っていたらしいんだよね」

「そんな兄ちゃん、いくら美紀が可愛いからって、有名人は言いすぎ」

「めんどくさいから話進めてくれ」

「それでなんか美紀に昔、助けられたとかなんとか言ってんのよね」

「人助けか……美紀ちゃんはないだろ」

きっと、美紀に入っていた響のタイミングの頃の話しだろうと推測

「それが、違うらしいよ」

小学三年の頃に助けたらしいと伝える

入れ替わりのタイミングの話

小5年から始まった、雅から聞いた昔話を話す美紀。

「それだと純粋にお前にいい奴だった時があるみたいに聞こえるな」

「私基本いい奴じゃん」

昔の美紀の性格の話。

「じゃあ、何で今日振ったんだよ」

「私のこと知らない奴は振ってよし、高校は入ってまだ2カ月も経ってないのに告白する奴は遊び半分なのよ」

「いや、今日の奴は違うだろ、昔を知ってたんだし……」

「昔の一瞬と今をね、そんな私が覚えてもいないようなエピソード出されて、昔から知ってましたなんていわれてもねー」

「どんな男ならいいんだよ……昔から美紀を知ってる子なんていないでしょ」

「それもそうなんだけどねー」

そして、俺の方に目を向ける美紀。

「じゃあ、私があいつと付き合ったりしたらどうするの?」

美紀の様子を書く

何で自分がよく知らない男のことを擁護しているんだと、自己嫌悪に陥り、店を出る。

それに続くように美紀も店をでる。

そこでも、おちょくる美紀、嫌なんでしょー

8千


2章

昨日見た男と美紀が付き合っている夢を見て無性に苛々していた。

夢の話しから、美紀が言っていた奴が気になり、隣のクラスに行く響。

美紀はクラスメイトと話に夢中でいない。

そこで、相手の名前を知らないことに気づくが、うっすらとだがわかるし、

いいかと納得。

その後、相手のクラスを観察してみるが該当の人物がおらず、休み時間が終わる。

次の休み時間になってもいない。

体育で少し仲良くしている隣のクラスの生徒に今日休んでいる奴はいるかと確認。

雅が休んでいると伝えられ、どんな奴か聞くと、響が探している人物と特徴が一致する。

5千字


雅はその後3日経っても学校に来ることはなく、どうしても気になった響は雅の家に行くことにする。

当然のようについてくる美紀。

「どうしてわざわざ振った相手の家に行かなくちゃならないのよ」

「別に頼んでないんだけど……」

「お兄ちゃんが行くなら私も行くでしょ、双子なんだから」

「そうか、双子なら当然か……」

美紀にも事情は話しているため、すんなりとついてきた。

「もしかして、今までも私のいないところでこんなことやってきたの?」

「いや、まあ……次の日様子見るくらいのことは……」

「きっも、きもすぎよ、お兄ちゃん、キモ兄だよ、いやーい、きも兄、きも兄」 

ここは多めの罵倒をいれつつも少し喜んでいる美紀の姿。

「心配だよ、美紀のせいで心を痛めたひとがいたらさ」

「何を心配してるのよ」

「美紀ちゃんのせいで心を痛めたやつが復讐しに来るかもしれないじゃん」

ここで美紀を守る義務がある的なことを書く。

大事にされていることに気づいた美紀が照れる。

そのタイミングで雅の家の付近まで来たため、美紀は近くで待機してもらい、響だけでインターホンを押す。

インターホン越しに男の声が聞こえ、プリントを持ってきたことを告げる響。

本当の目的は別だが、プリントも他クラスの奴から預かっているため、嘘ではない。

出てくる雅。

体育で何度も見ているし、あまり初めての感じがしない。

そして学校には風邪と言っているが、元気そうな姿から美紀にフラれたことが尾を引いていることをおもう。

「ごめん、プリントを届けに来たって言うのは建前で、実はお前を振った女の兄だ」

頭を下げ、心からの謝る響。

「あー、伊佐菜さんって双子の兄がいるらしいし、そっか……」

その言葉とともに、近所の公園に連れて行かれる響。

殴られるのを覚悟する。

その後、雅のひとり語り。

元々ひ弱で、小学校時代はそのせいでからかわれていた。

周りは見て見ぬふりをする中、美紀だけが救ったようだ。

美紀と響とは違う小学校でたまたま通りかかった美紀が止めたらしい。

自分より大きな男子3人と取っ組み合いのけんかになり、擦り傷と破れたスカート、砂埃のかかった顔、そんな中見ていることしかできなかった雅に美紀は笑顔でこいつらもういじめねーぞと言ったらしい。

響は何故かそのシーンをおぼえており、回想と共にそれは美紀ではなく自分であることを悟る。

1万


「という分けで、僕だったようです」

美紀に事情を説明して、締めくくりの言葉と共に昨日とは違う軽食メインの喫茶店で話をする。

「まさか、あいつがお兄ちゃんのこと好きだったとはね……」

「これはなかなか手ごわいライバルの出現じゃない」

何故か、美紀は挑戦的な目をこちらに向けているが、それを向けるべき相手はそんなこと考えていない。

「でも、あいつには助けたのは自分だったって話したんでしょ?」

「一応善意で話しましたよ」

「で、反応は?」

僕の話を聞くと、一旦考えるようにして、その後、すまんをいただきました。

「いや、何でお兄ちゃんフラれてんの?」

触れてはいけないものもこの世にはあるんだよ。

美紀はフラれたことについてちょっと納得していない様子

「これで私に復讐なんてこなそうだし、兄ちゃんはあいつの心配をしなくていいね。」

ちょっと嫉妬心を出す美紀 

そうだな、これで僕も安心して過ごせるよ。

ありがとね、お兄ちゃん 

美紀は大切だからね……

8千字


翌日、美紀にはああいわれたが、どうしても気になってしまったが、動けない響

今日美紀(響)となっているため。

「どうしたのお兄ちゃん?」

「いや、何でもないわ。」

朝、ちょっと遅めの登校をしたタイミングで隣の教室をのぞくが、響(美紀)に遮られる。

「今日は私が美紀だからから、間違えないようにしなさいね。」

「はい、はい、わかった」

「じゃあ、行くわよ」

そのタイミングで美登里が登場。

美登里は隣のクラスの雅が今日も休んでいることを伝える。

「なんか、大変なことになって来たわね」

そして、教室に行くと美紀の席の前には隣のクラスの女子が数人集まっている。

雅が最後に登校してきた日に美紀にフラれたことが知れ渡っている。

雅が自分からクラスメイトにメッセージで話したらしい。

「もう学校行く意味失ったし、やめるわ」

雅は入学1カ月にして、人気があったようで、その雅の事情を聞いてショックを受ける女性陣

そこで美紀(響)は雅がわざわざフラれたことを広めたところで、そんな同情みたいな形では付き合わない

私にも好きな人はいると話す。

美紀(響)が流れで発言してしまう。

それはクラスメイト達も驚く。

そして、再度美紀の容姿を解説する。

そのタイミングで担任が教室に入り、集まりも解散される。

8千字


雅の目的を考える美紀(響)だが、それとは別に普段感じることの無い視線を感じる。

そのタイミングで美紀からメッセージが入る。

『で、美紀ちゃんの好きな子って誰なの?」

いやらしく笑うサルのスタンプと共に送られてきたメッセージを確認。

こんなスタンプ持ってたか?

スマホの扱いは俺より美紀の方がうまいからな。

響は美紀になりきり、

えー、おしえないーと返事。

すぐさま、僕は美紀ちゃんのことが好きだよとメッセが来る。

それには普通にありがと、お兄ちゃん、美紀もだよーと返事をする。

しょうもなくなり、スマホをしまう美紀(響)

そのタイミングで、昼の時間になり、美紀(響)は響(美紀)と合流し、ともに更衣室に向う。

次の時間は体育ということで、ともに男子、女子それぞれの更衣室に向かっている。

そこで、互いに過ごした時間が一番長く、美紀の体では興奮しない的なことを書く。

女子更衣室では美紀は下着姿の女子たちに質問攻めにあう。

顔を赤くする美紀(響)。 

そこでも適当にいなしていく流れで、美紀が今まで何人の男を振ったのかや何人と付き合ったのか聞かれる。

すで答える美紀(響)

その流れで実はお兄ちゃんのことが好きなんじゃないの?

「えーっと、それは……」

先程の美紀とのメッセージを思い返し、

何度となく言われてきたその言葉を繰り替えされてきたことを思い返し

それはないかなーとどうしても苦笑いをしてしまう美紀(響)

1万字


学校帰り、美紀のカフェ巡りに付き合って学校から少し遠いカフェの店内にて

「美紀って僕とのこと人に聞かれたりしたらなんて答えてるんだ?」

「えっ、分身」

学校の帰り道、周りには俺と美紀しかいない為、わざわざ美紀の言葉を使ってしゃべる必要はなくなった。

「そんなに僕たちって似てたんだ」

「私達は遺伝レベルで似てるからね」

「あれだよね、私がもしも男の子に生まれてたら、響みたいになってたし、美紀がもし男の子で生まれてた響みたいにってあれ?」

「なんで、話の途中で自分が今度どっちなのか忘れたんだろ」

自分の発言に戸惑っている。

「言いたいことはわかるね。確かに僕たちの外見って、互いの性別が違った場合はそのまんまお互いになるし。

今は中身入れ替わってるしね」

「そんな経験してるのは僕たちだけだろうしね」

「確かにその考えなら分身という回答も一応納得はできなくもない」

「それでも、僕が女の子になったとしてもこんなにかわいい妹みたいな外見にはなれないだろうな」

「ちょっと、美紀の身体で卑屈にならないでよ。表情で何考えてるかなんて一発でわかるのよ」

うちの妹には隠し事はできないようだ。

「ちょっと、あれって、雅じゃない?」

雅は買物帰りなのか、前に家の方へ、大きな荷物を手に向っていた。

学校や住んでるくせになんて堂々と外出してるのかしら……

雅は一人なのにも関わらず、笑みを浮かべる姿はどうしても、あいつの現状からは想像しずらいものがあった。

8千字


3章

翌日、入れ替わりは起こることなく、通常通り

教室をのぞくと隣のクラスの雅が来ていると聞いて、様子を響のみ様子を確認しに行くが、雅はクラスメイトに囲まれ、話かけられるような様子ではない。

遠目でも元気そうな様子を確認したため、教室に戻ろうとしたタイミングで雅と目が合うが、深く言及せずに戻る響。

雅の様子どうだったのかを1時間目の授業中にメッセージで聞いてくる美紀。

あいつもいいところあるんだなと思い、

元気な様子だったぞ、クラスメイトに囲まれてて、しっかり話はできなかったけどなと返事。

あっ、そと簡易的な返事が返ってくる。

それにスタンプで返事し、授業に集中し直す。

2時間目の授業が体育のため、隣のクラスと合同で行われた。

本日の体育では二人一組で基礎体力の測定が行われる。

組む相手を探していると雅から声が掛けられ、組むことにする。

雅は体育の授業中も授業のこと以外にも雑談を多く行い、響と仲良くなろうという姿勢が見える。

その日の昼飯も雅と食べることを約束し、授業を終える。

8千字


4限目が終わり、響に声をかける美紀だが、響に断られ、そしてこれ見よがしに教室の前には雅がいる。

その流れを見ていた美登里は

「ありゃ、フラれちゃったか」

まあ、でもすぐ戻って来るでしょ。

そして、美紀の一人称視点で少し進める。

「私達も学食にする?」

「あたし、今日あるんだよね、美紀は?」

「私もあるわね。」

「そしたら、教室っしょ」

美登里は私の前の席の響の机を反転させ、私と向き合った形にし、弁当箱を広げる。

ここで美登里と美紀の雑談。

内容は響はいつも美紀の面倒を見ている?

もしかしたら、雅君は外堀を埋めるために、響君から篭絡しようとしてるのかもしれない。

てきとうに相槌を打ちつつも、内心では否定する美紀。

何故、否定したのかわからなかった。

そして、会話をしながらも美紀がどこか元気がないことに気づく。

昼食を食べ終えると、お手洗いに行くという美登里とそれを断る美紀。

一人で座っていると戻ってくる、響。

響と軽く会話をする。

響が美紀を大切にしている感じがわかる会話。

「今日の弁当はどうだった?」

「なんかあったのか?」

「ちょっとね……」

「それなら今日はやっぱり、やめとこうかな」

「何が?」

「雅から一緒に帰ろうと誘われた」

「言って来れば?」

「いや、でも……」

「言ってくれば、いいじゃん……」

「でもお前の体調が……」

「行ってきてよ!!」

キレながら席を立つ美紀とぼうぜんとする響。

そこで、教室から出ていく、美登里とばったり会う美紀はちょっとトイレと言って去ってしまう。

そのまま授業の途中で教室に戻ってきた美紀は少し目をはらしているが、一安心する響。

8千字


4章

響一人称へ戻る

今日の最後の授業終わり、美紀に声をかけようとするが、美紀が先に帰ってしまい、あっけにとられていると、雅が登場。

帰るかと話し、雅と二人で下校。

響は美紀以外の人と一緒に帰る経験が少なく少し緊張してしまう。

そして、美紀の心配をする響。

今までこんなことなかったから美紀のことが心配になる響。

道に迷っていないか。どこかで変な奴に絡まれていないか。誘拐されていないか。

どうしても心配になってしまう響は自然と速足になってしまう。

それでも雅が歩みを合わせて話しかけて来る。

「ごめん、雅君、用事思い出したから先帰るね」

走って駅に向かう響。

そして、ホームに来た電車にタイミングよく乗り、駅に着くと同時に下車すると

走って家に向って走る響。


玄関の前に着くと改めて、美紀と自分が学校を出た時間の差を考え、もしかしたら自分より、

美紀の方が帰ってくるのが遅いかもしれないことに気づく、そして、鍵を開けると玄関には美紀の靴があり安心する。

リビングへ行くと、息を切らした美紀がソファーで横になっており、どうしたんだと心配になって駆け寄る。

「いや、なん、でも、ないわよ……」

響も駅から走って来たため、息切れはしているが、美紀はそれ以上に息切れをしていた。

これですべて察しなさい。

美紀は響にスマホのトークルームの写真をおくってきた。

美紀視点に移動

回想

『今日の放課後、響たちの後つけるの手伝ってくれない?』

そのメッセージにOKと返事が来たことを確認した美紀は連絡相手である美登里の席に最後の授業が終わると急いで向かった。

「行くわよ。」

まだ帰る用意の終わっていない美登里をせかして、何とか、響より先に教室を出た美紀は美登里と共に響きと雅の後をつける。

雅が一方的にしゃべっている感じで、響はそれに合わせている感じ。

それを遠くから見守る美紀と美登里……

「あんた、なんで、そんな邪魔なもん持ってんのよ……」

「いや、あたし自転車通学なもんで、これがなきゃ帰れないからさ……」

「そんなもの学校において来なさいよ」

「取りに帰るの面倒なんでー」

「あっ、そ」

そして、前を改めて向くと響は焦った顔をして、用事があるからと駅の方へ走っていった。

特に今日響に用事があるなんて聞いていなかったけど……

そして、響のあの焦った顔……

あの、バカお兄ちゃんめ。

微笑を浮かべる美紀はあたりを見渡し。

「美登里、明日返すから自転車貸して」

そう言うと、美登里からの返事も受けずに自転車を奪い、自宅へ向けて漕いでいった。

響視点に戻る。

「で、そこからは、お兄ちゃんより、早く家に着くために美登里のチャリで爆走して、今に至るってわけね」

「お前、何でわざわざそんなことを……」

「だってお兄ちゃん、私が家にいなかったら探し回るじゃない」

「いや、そんな……」

「そんなことないなんて、言わせないよ。昔、一晩中探してたんだし」

「あっ……」

そう言えば、昔、家の中でかくれんぼしていた、俺は美紀がどこを探しても見当たらず、間違って外に出てしまったんじゃないか。そして、どこかで迷子になっているんじゃないかと、近所を探し、隣町を探し、一晩中探したんだ。

「あんなこともうこりごりだからさ」

「探しつかれていた俺を朝方に両親が見つけてくれ、家に戻ると静かに泣いている美紀を見つけて、二人で大泣きしたんだった」

「だから、大好きな響に心配かけたくなかったんだよね」

そして、僕たちは息切れも収まらない中、二人して泣いてしまった。


1.5万字


5章

翌朝、美紀の体に入っていた響は昨日の騒動の残骸である美登里の自転車に響(美紀)と二人乗りをし、学校へ行った。

俺のスマホには雅から今日一緒に登校しようと連絡が来ていたが、丁寧に断り、下校時のことも謝っておいた。

そして、下駄箱では俺ではなく響(美紀)の方に手紙が入っていた。

『今日の放課後、体育館裏に来てください』

それを覗き込む美紀(響)

「俺にもついにか……」

それを確認した響(美紀)はポケットへ手紙をぐしゃっと入れると教室へ向けて歩いて行った。

雅が度々、教室に来たが今日は響(美紀)の日のため、僕が二人っきりにさせない為にも積極的に僕たちの輪の中に入れた。

放課後になると、響(美紀)は体育館裏へ行くようで、俺はそれをこっそり観察するために響(美紀)の後をつけた。

そして、今までと同じようにぎりぎり響(美紀)が見える位置まで行くと観察を始める。

「なんたって、はじめての告白だからな。

「響君、昨日の現場見てました。妹さんを大切にする響君すっごくかっこよかったです。

「好きです付き合ってください。

「まさか、昨日の現場を見られて、しかも、こっちの思考までばれているとは恥ずかしい限りだが……」

響(美紀)なら適当に断ってくれるだろ。

んっ? 何でそこまで知られてるんだ?

「あー、いいよ、僕からもお願いします。」

そうして、響は相手からの告白をOKすると、相手を抱き締め、こちらに向かって、腕だけでガッツポーズを

かましてきた。

いや、待ってくれ、さっきまで相手が遠くて見えなかったが、抱き締めるため、近くに寄せたのか、やっとわかった。

なんで、美登里さんなんだよ……


5千字

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