宇宙人とは恋ができない
愛内那由多
プロローグ
『宇宙人は存在する』
数年前のこと、僕はなぜかそう確信した。
だれ振り構わずに、それを言いふらした。両親、担任の先生、当時の友達etc…。
その確信は―絶対に正しい。
しかし、あるとき
「お前―嘘つくなよ」
「嘘じゃない―本当」
「なら証拠を見せてみろよ!証拠を!」
僕は目を白黒させた。僕の確信を正しいという証拠は何一つなかったからだ。それでも、確信は変らないが、説得力には欠ける。
「…証拠は…ない」
「ほら」
「いや…でも…」
確信だけでは、誰も意見を聞き入れて貰えない。話を聞いてくれない。
結局、誰にも信じて貰えなかった。それが―自分でも信じられないくらいショックだった。例えるなら、自分自身の存在さえ、全否定されるくらいに。
しかし、僕は僕の確信を変えたりしない。僕を認めて欲しい。
宇宙人は必ず存在する。それを証明したい。
―そのための証拠が必要だ。
目撃情報では弱い。少なくとも写真や、映像がいる。そうすれば、みんな信じてくれるはずだ。
僕は証拠を集めるため、自分の通う学校からほど近い、山の上の公園に、カメラを持っていく。
―UFOの写真、映像を撮ろう。
そう考え、実行した。
しかし、1年ほど続けているが、UFOが来た試しはない。それっぽいモノは写真に収めた。が―本物であるという自信はあまりない。いつもただ、空を見上げて、夕日を眺めて、夜が来るのを待っているだけだった。
僕の確信は―間違っていたのだろうか…。しかし、それは僕の存在を全否定するくらいに嫌だった。
何度も何度も、その公園に行った。
―絶対に宇宙人はいる。その証明をする。
僕が躍起になっているとき、自称・宇宙人の彼女―月里うらら《つきさとうらら》が転校してきた。
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