③マテリアル・サーキット

翅田大介

プロット

◯参考作品(あればで構いません)


 『ザ・サード』 『風の谷のナウシカ』




○作品のテーマ


 親離れ。ロボットの反乱の逆。人間に縋るロボットたちに自立を促す人間(主人公)の物語。



◯世界観


 『大喪失』によって人類が姿を消し、『砂塵領域』と呼ばれる砂漠の大地に生きる知的生命体は『マテリアノイド』と呼ばれる人造種族のみとなった世界。

 コールドスリープから目覚めた少年『トワ』は、美しい少女マテリアノイド『シュナ』と共に旅をしていた。だがある時、トワはマテリアノイドたちを統べる『機都』の軍に追われることになってしまう。



 砂塵領域

:かつての大戦争によって地上の殆どを覆うまでになったナノマテリアルの砂漠。

 大戦争でばらまかれたナノマテリアルは雑多なプログラムが断片化して残留しており、時折暴走した攻撃プログラムが形となって破壊をばらまく。これらの暴走した攻撃プログラムによって生み出された存在は『砂獣』と呼ばれる。


マテリアノイド

:人類に代わって地球を管理する人造生命体。共通の特徴として、頭部にナノマテリアルにアクセスする器官である『結晶角』を生やしている。太陽と水があれば生きるのに困らないが、嗜好品として食事が好まれている。また、人間の遺した文化を発掘するのに意欲的であり、歌や物語を愛する。

 度重なる大戦争によって種としての力の衰えを悟った人類が、人類の後継者として生み出した存在。地上を覆うナノマテリアルを操る『マテリアル・サーキット』を備えている。マテリアノイドたちは、このマテリアル・サーキットでナノマテリアルを武器として砂獣を討伐し、また日常生活の中で利用することで生存圏を広げている(ポストアポカリプス系に多くある砂の大地の、その砂を積極的にアクションに使いたいと思って考えた能力)。

 砂塵領域にオアシス都市のような拠点を整備し、ナノマテリアルを無害化するデフラグメントを使命としながら日々を過ごしているが、彼らを指揮する『機都』の上位マテリアノイドたちは、絶滅したと思われている人間を血眼になって捜索している。

 マテリアノイドたちが持つマテリアル・サーキットは出力値を基準にレベル1から5まで存在しており(レベル1=ナノマテリアルへの干渉と発火や冷却などの基礎的な回路の構築、レベル2=ナノマテリアルによる武器の作成、レベル3=強力な固有回路の構築、レベル4=戦術レベル出力の回路の構築、レベル5=戦略レベル)、レベル5の最上位回路の起動権限は『オリジナル・サーキット』と呼ばれる最初の12体のマテリアノイドだけが有している。





◯主要キャラクター


トワ

:コールドスリープから目覚めた二十一世紀の少年。難病によって、未来での治療を期待してコールドスリープに入っていた。17歳。中肉中背でやや童顔。人間とバレぬよう、額にバンダナを巻いている。

 マテリアノイドのシュナによって、古代の遺跡で生き残っていた冷凍睡眠から覚醒させられる。自分が最後の人間と知らされるが、「なら、せいぜい死ぬまでの暇つぶしに世界を見て回ろう」とシュナとともに旅をする。

 一見して陽気でお調子者だが、強靭かつ柔軟な精神力を持つ。これは長い闘病生活とコールドスリープに際しての心構えから来たもの。

 自分を守り付きそうシュナの『人間を守り続ける』という呪いを解こうと、彼女を積極的に口説く。

 人間であるためマテリアル・サーキットを持たないので、自衛のために非侵食合金製のナイフを携えている。


シュナ

:ガーネット(柘榴石)の結晶角を生やした、銀髪の髪の美しい少女の姿をしたマテリアノイド。

 オリジナル・サーキットと呼ばれる、最古のマテリアノイドの一体。

古参のマテリアノイドからは『殺戮人形(マーダーパペット)』と呼ばれる。かつて人間に対する扱いの違いで、人間を保存すべきとする機都のマテリアノイドたちから、絶滅するまでの穏やかな生を望む人間たちを守って戦い、数多くの同胞を返り討ちにした。

だが人間たちは、未来のない自分たちに彼女を付き合わせるのは申し訳ないと、彼女を自由にすべく自ら命を絶った(マテリアノイドたちは、この人間たちの集団自殺を『大喪失』と呼ぶようになった)。

以来百年、彼女は『人間を守る』という目的の為に人間を探し求めて砂塵領域の奥地を彷徨っていた。

 マテリアル・サーキットは熱力回路系最上位の『紅炎領域』。空間そのものを高速振動させる回路を構築、最大出力では半径一キロを灼熱地獄に変えることが出来る。

 トワに何度も口説かれるが、あくまで主と従者の関係を維持しようとする。だがその実、かつて自分の主が自分を置いて逝ってしまったことから、好意を向けたり向けられたりすることに臆病になっている。

 やがて「私のこの想いは忠誠なのか、妄執なのか、それとも愛なのか?」と悩みはじめる。


アイ

:トワが引き連れるハムスターらしき形状のロボット。過去の世界でトワが育てていたAIペットのデータをナノマテリアルで造られた筐体にダウンロードしている。

 トワの相談役。闘病生活にあったトワにとって、いつも一緒にいる親友である。



フィリアエネア

:機都の巫女。紫水晶の角を生やした、眼帯をした黒髪の美女。

オリジナル・サーキットの一体で、索敵回路系最上位の『天里眼』の起動権限を持つ。純粋な探知可能領域だけでも数百キロに及ぶが、ナノマテリアルの残留データを読み解くことで砂塵領域全体に広がる索敵網を展開している。普段は機都の『最果ての灯台』の最上階に座している。

 シュナの友人であり、機都に協力しつつも憂いを抱いている。


ガリアルド

:機都の将軍。金剛石の角を生やした、金色の髪の隻眼の美丈夫。

オリジナル・サーキットの一体で、増幅回路系最上位の『無限心臓』の起動権限保持者。周囲のナノマテリアルにエネルギー増幅回路を構築することで、無限に等しいエネルギーを得る。

 人間を永遠に保存してマテリアノイドの神として導いてもらおうとする『懐古派』の最先鋒であり、人間の命令とは言え人間の死を容認していたシュナを軽蔑している。

 生き残った最後の人間であるトワを機都に迎える為、シュナを排除すべく戦闘用マテリアノイドを派遣する。

 




◯物語構成


序章

シュナが遺跡を見付け、トワを覚醒させる。


一章

砂塵領域のとある村。酒場で騒いでいると、砂獣の襲来が知らされる。

砂獣の撃退劇で、トワとシュナが知られてしまう。


二章

機都。人間とシュナが現れたことを告げるフィリアネリアに、ガリアルドが人間の確保を命令する。

 砂塵領域を旅するトワとシュナ。オアシスで休息を取っていると、機都の軍が現れる。シュナがサーキットを展開し、『虐殺人形』と不吉な名で呼ばれる。


三章

 態度を硬化させるシュナに言い寄るトワだが、つれなくされてしまう。やれやれと思っていると、ガリアルドが現れる。シュナを「大喪失を引き起こした大罪者」と罵り、彼女を倒してトワを連れ去ってゆく。


四章

 機都につれてこられたトワ。そこで大喪失とシュナの真実、機都の目的を告げられるが、トワはガリアルドの願いを「もうこの世界は君たちのものだ。君たちで決めろ」と拒否する。

 機都に単騎で襲いかかるシュナ。

 シュナとガリアルドの戦い。無限のエネルギーでシュナを圧倒するガリアルド。

 ガリアルドに軟禁されたトワだが、フィリアエネアに解放される。

 シュナとガリアルドの戦いに割り込むトワ。シュナの盾となり、負傷するトワ。混乱するシュナに、なおも「好きだ」と告白するトワに、とうとうシュナも折れる。その時、シュナのサーキットがレベル6へと上昇する。

 トワを攻撃したことで錯乱状態に陥るガリアルド。シュナはレベル6となったサーキットの力でガリアルドを圧倒。彼を戦闘不能にし、トワを連れて機都を去ってゆく。


終章

 再び砂塵領域に舞い戻ったトワとシュナ。二人は手を繋ぎ、旅へと戻る。



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