209日目:今の彼女となら……。

 八十七代魔帝暦まていれき二二年・星蠍ほしさそりの月第二十六日・属性(闇)・天気:晴れ


 今日は学校を休みました。


 登校するふりをして、ひそかに校内を抜け出し、向かった先は街を見下ろす丘の上。

 冷たい風にかれつつ街の風景をながめていると、背後から足音が近づいてきます。振り返ると、そこには例の転校生の姿がありました……。


 実は、昨日受け取った手紙に、この時間ここへ来てほしいって書かれていたんです。

 転校生は私から少し離れた場所に立つと、眼下がんかの街並みへ視線を向け――、


貴女あなたは貴女なりにティコと、炎としっかり向き合っていたんだね……」

 

 まるでひとごとのように、淡々たんたんとした様子で静かに話し始めます。

 うん……今の彼女、アーシェとならお互いの気持ちを素直に伝え合うことができそうですね。

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