④ブルーメンガルデンの乙女は高嶺で嗤う

シモルカー

第1話 プロット

〇参考作品

特になし


〇世界観


「花園、或いは牢獄」と呼ばれる女学院に入学して2か月後に衰弱して帰って来た双子の姉のため、姉に成り代わった中性的な弟が復讐をする。


 完全寮生の女学院「ブルーメルガーデン女学院」は歴史あるお嬢様学校。

 元は華族だけが入れる学院だった。華族の血統には「華力(かりょく)」と呼ばれる異能があり、能力は家系によって異なる。

 「華力」はファンタジーのような攻撃魔法のようなものとは異なり、花の香りによって自分、或いは相手に影響を与えて、体質を変えるもの。

(相手に対しては毒や幻術、自分に対しては肉体強化など)

 能力者は全員が花の模様の痣が身体のどこかにあり、開花具合から力の強さが分かる(蕾は弱く、開花は強い)。


 しかし一度入学したら卒業、あるいは退学するまで出られず、学校内独自の校則「茨の掟」によって縛られているが、その校則は入学する者にしか知らされず、一度入った学生も、なぜか全員がその校則について話そうとしない。

 そのため「乙女の花園」と言われる一方で、「乙女の牢獄」とも噂されている。

 そんな怪しくも厳しい女学院だが、毎年入学希望者が後を絶たず、各地から乙女達が頂点を目指し裏切り蹴落とし、女の戦いを繰り広げていた。


 「茨の掟」では、乙女にあるまじき行動をすると、制服のリボンが1本没収される。この学院の制服はゴムやボタンの部分が全てリボンであり、リボンが解けると胸元やスカートなどが徐々に脱げていく。胸元のリボンをとれば胸元が開き、袖全体を支えるリボンをとれば袖を失い、両端のスカートに編み込まれてるリボンをとればスカートのスリットが深くなる。

 全てのリボンを失うと最後の胴体の布きれのみとなり、半裸姿で校庭のバラ園の茨に磔にされて晒し者にされる。そうなった生徒は自主退学し、社交場に二度と出てくる事がない。

 そのルールを作った選ばれし5人の令嬢集団「五華伝(ごかでん)」は学院において風紀にして規律そのもので、誰も逆らう事が出来ない存在。


 主人公の有栖川 要(ありすがわ・かなめ)は、溺愛していた双子の姉のアヤメが精神を病んで実家に戻ってきたことをきっかけに、「姉を壊した奴を壊す」と心に誓い、夏休みが終わり、新学期が始まると同時に姉に成りすまして学校に潜入する。

 周囲は要をアヤメだと思い込み、要も「療養を終えたので、戻ってまいりましたわ」と説明。


 さらに、同時期に編入してきた少女・城井 姫乃(しろい・ひめの)と出会い、ドジっ子な彼女をフォローするように見せかけ、彼女を隠れ蓑に、「五華伝(ごかでん)」の破滅を企む。

 

 要は持ち前の知略で令嬢達のいじめを解決し、次第に校内の注目を集め、女学院の雰囲気を変えていくが「五華伝(ごかでん)」のに目をつけられてしまう。

 姉がかつて「五華伝(ごかでん)」のに所属して、彼女達が失踪の秘密を握っていると踏んだ要は「五華伝(ごかでん)」のの5人に決闘を挑みながら、姉、そして乙女の秘密に潜んだ学園の闇を解き明かしていく。


〇語句

・茨の掟:

 ブルーメルガーデン女学院独自の校則。

 作ったのは先代の「五華伝」メンバー。内容は「乙女にあるまじき行動をすると、リボンを奪われる」「全てのリボンを失った生徒は、見せしめとして、学院中央にある薔薇園に磔にされて1日放置される」「磔にされた生徒は心を病み、自主退学しているらしい」


・五華伝(ごかでん):

 学院のルールにして象徴。

 選ばれし乙女5人から構成される、生徒会のような組織。

 学院内の実権を握っており、教師すら逆らえない。選抜方法は現メンバーが「蕾草」に継承させる。5人の内1人だけ代表者を務めるが、誰が代表かは公表されていないため、謎多きグループ。

 その反面、設立当時は華力同士での争いが絶えなかった校内を「茨の掟」で能力の対人使用を決闘以外では禁止し、「人としての力を磨きなさい」という教えを作ってもいる。

 白百合、赤(姫百合)、ピンク(ササユリ)、黄色(ヤマユリ)、オレンジ(オニユリ)の花痣を所持しているが、能力は不明。



・蕾草(つぼみぐさ):

 次期「五華伝」候補の生徒。五華伝から指名され、1年の時に選ばれる。五華伝を「お姉様」と呼び、補佐役や世話係を担いつつ、学年の実権も握るため、「蕾草」も他生徒からは警戒されている。


・制服:

 全てがリボンで構成されており、ボタンや留め具がない。要のリボンを抜くと、袖がなくなったり、最後はスカートのスリットが深くなり、ちょっと際どい格好になる。


・華力(かりょく):

 入学する生徒が全員所持している異能力で、元華族の女性にしか発動しない。

 ファンタジーのような魔法ではなく、花の痣から香りが漂う事で、一時的に自分或いは相手に影響を与える。

 自分に対しては肉体強化、相手に対しては幻術や毒、治療など。


〇主要キャラクター


・有栖川 要(ありすがわ・かなめ) 15歳 花痣:なし

 ラムネ色の髪のセミロング。瞳は藍色。

 腹黒く、内心で毒を吐く美少年。

 中性的でよく女と間違えられ、自分自身も「ボクの方が可愛い」と思っている。

 双子の姉のアヤメが唯一の家族であるため溺愛し、依存している面もある。

 姉を精神的に追い詰めた相手に復讐するため、姉に成り代わって学院に潜入する。

 

 異能力はなく、リボンを奪われたら男だとバレてしまうため、知略と隠れ蓑にしている姫乃を使って誤魔化しつつ、姉を壊した犯人の行方を追う。


「ボクらは双子だ。産まれた時から共にある……だから姉さんの痛みはボクの痛み。これは、ボク自身の復讐だ」


・城井 姫乃(しろい・ひめの) 15歳 花痣:薔薇の蕾

 ピンクブロンドのゆるふわウェーブのロングヘアで、童話のお姫様のような女の子。

 ドジっ子で天然な巨乳のクラスメイト。

 何もない所で転ぶレベルの古風なドジを連発し、そのドジがトラブルの原因となるが、時にそれが要の策略の鍵となる事もある。

 要を女と信じて好意を抱き、要の役に立つため奮闘している。

 華力は普段は薔薇の蕾であり、自他とも能力開花前に未熟者だと思っているが、いざピンチになると薔薇が花吹雪の形に変化し、花吹雪が待っている空間は姫乃の想像通りとなり、「想像を創造する力」を宿している。

 気弱なせいで要の指示がないと戦えないどころか、自分の力だという自覚すらない。

 途中で要から正体を明かされるが、変わらず要に信頼を向ける。


「わ、私を、助けてくれたアヤメちゃんの役に立てるなら……私、全部、見せてもいいよ」


・有栖川 アヤメ(ありすがわ・あやめ) 15歳 花痣:不明

 要の双子の姉。

 髪と瞳は要と同じくラムネ色と藍色、髪の長さは要より少しだけ右側の前髪が長い。

 性格は要と同じく腹黒でドエスな面もあるが、普段はおしとやかで清純はお嬢様キャラ。

 要が自分のためなら何でもしてくれる事を知っている。要がアヤメに依存しているように見えるが、アヤメも要に依存しており、「私の世界」と称している。

 入学してから2か月後に要に助けを求めるが、意識を失い、いまだ目覚めていない。


「要ちゃんは、私の世界……私の痛みは要ちゃんの痛みで、要ちゃんの怒りは私の怒り。だから、お願い、要ちゃん……あいつらを、――して」


・白詰 ナヅナ(しろつめ・なづな) 年齢不詳 花痣:シロツメクサ

 学院の保険医のお姉さん。四角形の眼鏡をかけた白銀の髪の儚げ美人。

 普段は温厚でおしとやかな優しそうな先生だが、本性は男勝りでギャンブル好き。

 要の協力者であり、アヤメを外に逃がしたのもナヅナの手引きであり、要をアヤメとして校内に潜入する手助けをしている。

 要とアヤメの亡き両親に恩があるらしく、二人の後見人にして保護者。

 姉のためなら何でもする要を心配している。

 アヤメの謎を追う手助けしつつ、「アヤメの本性」についても言及するなど、アヤメ自身が黒幕では、と疑っている。


「当然だ。私はお前達の後見人……手は貸せないが、何かあったら守ってやる」


・花園 恋(はなぞの こい) 15歳 花痣:ヒマワリ

 大企業の社長令嬢にして、お嬢様としての英才教育を受けてきた生粋のお嬢様。

 フランスとのクォーターであり、見た目は金髪のストレートヘアに青色の瞳を持つ、フランス人形のような見た目を持つ。

 性格はきつめで、1年生唯一の「ヤマユリの蕾草」であるため、実質1年の実権を握っている。ワガママに見えるが、幼少時から「五華伝」になる事を目標に英才教育を受けてきたため、規律には厳しい。

 要と姫乃を学院の空気を乱す者として敵視するが、要に敗北してから要を意識し、ツンデレ化する。

 華力は「鈍感」、対象を鈍らせることができる。動きを鈍らせる他に意識や時差を鈍らせる事で判断を遅らせる事ができる。


「わたくしを認めてくださったお姉様の期待を裏切るわけには……いかなくってよ!」



プロローグ

・逃げるモブの女子生徒を追いかける影がある。女子生徒は追い詰められ、最後は悲鳴が響く。

・その翌日、学院内の中心部にある薔薇の庭園で、茨に巻き付けられた半裸の女子生徒が見つかり、彼女は自主退学する。


1章

・要はアヤメとして学校に潜入。

 要をアヤメと思い込んだ同級生が驚いて話しかけてくるが、「療養を終えたので、秋から復帰させて頂きますわ」と周囲に信じ込ませるが、内心「待ってて、姉さん。あなたを壊した奴らは、全員……ボクが壊してあげるから」と企む。

・挨拶しながら教室へ向かう要を、誰かが見て「あいつ、戻ってきたのか」「早く、お姉さま達に知らせないと」など、焦った様子を見せる。


・要のモノローグ風に入り、双子の姉のアヤメが実家のある田舎で眠っている(アヤメは生きてはいるが、眠り続けている)。

 要は、眠り続けるアヤメが、意識を失う直前にいった「あの、学園の秘密に触れたら……」という言葉を思い出し、「もしあなたを壊した原因が、あの学園にあるのなら……ボクが必ず……」と復讐を目的に学院に潜入した事を明かす(読者側への情報として)


・現在の要がアヤメとして教室へ向かう途中、ドジっ子風の編入生・城井 姫乃が後ろからぶつかってくる。要は内心「(何だこのドジ)」と悪態をつきつつ、アヤメのようなおしとやかなお嬢様キャラを演じ、姫乃を助け起こし、同じクラスだと判明。

・一緒に教室へ向かいつつ、姫乃から学院の情報の探りを入れている所、姫乃がまた転び、前を歩いていた女子生徒にぶつかった上、立ち上がる際に彼女のパンツを掴んでしまう。その時、彼女の太腿に「鈴蘭」の痣があり、要は過去に姉から聞いていた「華力」について思い出し、それは女性しか発動しない能力であり、この中で要は唯一能力を持たない事を思い出す。

・鈴蘭の痣を持つ女子生徒は「五華伝(ごかでん)」のの生徒の補佐役にして後継者候補の「蕾草(つぼみくさ)」にして、1年の実権を握る生徒だった。

 怒った彼女は「反省なさい!」と姫乃の胸のリボンをとり、巨乳の姫乃は胸元が開いてしまう。その時、彼女の胸元にも薔薇の蕾の痣が見えたが、姫乃はすぐにそれを隠してしまう。

・周囲から同情と蔑みの視線が注がれる中、要は「五華伝(ごかでん)」と、粗相をした生徒は「茨の掟」によってリボンを奪われるルールがある事を知る。


2章

・要は姉の復讐のために情報を集めようとするが、リボンを一つでも奪われたら男だとばれる、華力が使えない点から単独では動けない。ドジっ子で悪目立ちする姫乃を隠れ蓑にすればうまく動けると考え、彼女のドジに巻き込まれて自分達まで五華伝に目をつけられると思い距離をとり始めたクラスメイト達とは逆に、孤立しかけていた姫乃に優しく接する。

・要の読み通り、姫乃は要に依存するようになるが、彼女のドジが想像以上であり、要は内心「人選ミスったかも」と思う。

・ちょうど姫乃とランチをしようと中庭へ向かうと、要は薔薇園に磔にされた半裸の生徒を見る。

 その中、五人の生徒が彼女の前に立ち、ボスらしき少女の合図で、ちょうど姫乃のリボンを奪った生徒・花園 恋(はなぞの・こい)が生徒の最後のリボンをとり、身体を隠していた布全てとれてしまう。

・要は見学していた生徒に話を聞き、「茨の掟」では粗相をした生徒からリボンを奪い、全てのリボンを失ったら、薔薇園に半裸以上全裸未満の姿で薔薇園に磔にされて放置される事を教えられる。

・一方姫乃は、奪われたリボンは、授業態度など日頃の行いによって取り戻す事が可能であることを知り、胸のリボンを取り戻すためにお嬢様らしく振舞おうとするが、逆効果となり、また花園恋を巻き込み、さらに彼女に目を付けられてしまう。


3章

・要は保健室にいくと、保険医の白詰 ナヅナ(しろつめ・なづな)に会う。最初は優しそうな態度を取っていたが、要一人になると態度を変え、男勝りな口調へと変わる。

・ナヅナは要の協力者であり、資料などを改ざんして要がアヤメとして潜入する手助けをしている。

・要は中間報告する中、会話から姉を追い込んだのは「茨の掟」であり、「五華伝」の誰かを推測する。

・要は寮の同室の相手が姫乃だと知り、内心「面倒事増やすなよ」と思いつつ、自分に絶対的信頼を寄せる姫乃に心なしか惹かれ始める。


・クラスにも馴染み、校内の力関係も理解し始めた頃。

 要を怪しんだ「五華伝」にそそのかされ、恋が要を探ろうとするが、姫乃のドジに邪魔され、逆に恥をかかされ、より姫乃に対するあたりが強くなる。

・恋は姫乃のようなスクールカースト下の生徒に対する扱いが酷く、要も最初は姉のために我慢していたが、姫乃の尊厳を踏みにじる発言についに我慢の限界がきて、恋を挑発し、公衆の面前で負かしてしまい、恋は胸元のリボンを失い、周囲から「貧乳」と言われ、ひと睨みで黙らせるが、余計に要と姫乃を恨むようになる。

・要は目立つのを阻止するため、姫乃のおかげだと言い、姫乃はより恋にライバル視されるように。


4章

・前回の一件から、恋も立場が危うくなり、「蕾草」としての名誉を守るため、恋は要と姫乃に決闘を申し込む。

・校内決闘を正式な勝負であり、華力の使用が認められ、負けた方は勝った方の要求を、相手に勝つまで飲まなくてはならない。またリボンは失わないが、勝者にリボンをとるよう言われたら失うという勝者絶対なルールがあった。

・要は決闘を受け、不安がる姫乃に「ボクと君がいれば、勝てない相手なんていないよ」と勇気づける。

・要と姫乃は二人で挑むが、恋の華力をくらい、「鈍感」状態になってしまい、動きが鈍った所を攻められる。

 要は初めて受けた華力を見て、「なるほど、これが」と笑みを浮かべる。

・動きが鈍って動けなくなった姫乃を集中的に狙うが、要が恋を挑発して自分に攻撃の矛先を向ける。

・恋は挑発にのって要に向かうが、要は彼女の攻撃をあえて受けることで、恋の腕を掴む。

「鈍っていても、攻撃するなら……触れるよね」と笑い、鈍い動きでも攻撃される場所を予測しているため、要は恋を怯ませる。

・要の策略によって、恋は破れるが、敗北を認めず、要をさらに「鈍感」を加え、要の呼吸を鈍らせる。

・絶対絶命の時、要は姫乃に「去れ」と言うが、姫乃はドジな自分を初めて見捨てなかった要を見捨てたくないと叫び、「薔薇の蕾」が開き、能力が開花。


5章

・姫乃の華力が開花したおかげで恋に圧勝し、負けを認めさせることに成功。

・要は恋に姉の事をさりげなく聞くが、彼女はアヤメについて何も知らず、演技もしていない様子だったが、彼女のお姉様である「ヤマユリ」が何か知っている素振りを見せたまま、恋を回収して帰っていく。


・2巻の引きとして、「五華伝」が揃い、思わせぶりな発言をしつつ、「死んだアヤメがここにいるわけがない。だって、あの子は私達が殺したのだから……この学院を守るために」




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