清楚系美少女のセーラー服と一晩中。

「何でも言うことを聞く券、二枚目をここで使用します。このあと、私と一緒に過ごしてもらえませんか……」


 上目使いに俺を見つめる制服の美少女、香坂乙歌ちゃん。

 きゅっ、と結んだ唇が彼女の決意を表していた。


 俺と彼女が一緒に過ごすって!? 一体どこまでの意味を含んでいるんだ。

 一緒にベッドで寝ても大丈夫という意味なんだろうか?

 いやいや!! いつも俺はラブコメ脳で考えてしまうから駄目なんだ。

 勝手に拡大解釈をしてはいけない……。


「あ、ええっと、乙歌ちゃん、一緒に過ごすって何をするの? ゲームかな、それとも映画鑑賞とかしちゃったりして……」


 わざとおどけた口調ではぐらかしてみた……。


「今回の零お兄ちゃんには拒否権はありませんので私に全部まかせてください!!」


 俺の左手をつかむやいなや彼女は、悪戯いたずらっぽい笑顔をみせながら店先から駆け出した。


「ちょっ、ちょっと待ってよ、乙歌ちゃん!!」


 こんなに積極的な女の子だったっけ!? 今日の彼女は雰囲気がまるで違って見える。

 俺たちは百円ショップを出て駅前に向かった。きらびやかな繁華街の喧噪けんそうをしばらく歩くと携帯ショップや大衆酒場が立ち並ぶ一角に到着した。その中でもひときわ大きな赤レンガの建物が見えてくる。乙歌ちゃんはその建物の前で急に立ち止まった。


「零お兄ちゃん、今日の目的地はこちらです!!」


 俺はその建物を見上げて思わず驚いてしまった……。

 再開発が進み高層住宅が立ち並ぶ駅前でもひときわ目立つ豪華なマンション。清潔感のある外観が最近建てられた物だと分かる。


 乙歌ちゃんが制服のポケットから鍵を取り出した。手慣れた仕草でオートロックを解除してそのままエントランスに足を踏み入れる。明るく広い空間の先にはエレベーターホールが見えた。


「お、乙歌ちゃん、ここはいったい!?」


 普段、通学で見慣れた駅前にこんな高級なマンションが存在することにも驚いたが、女子高生である乙歌ちゃんが何で普通に出入り出来るのだろうか。彼女の家は普通の住宅街にあったはずだ……。


 その先のエレベーターに乗り込むのもロック解除が必要みたいだ。

 高級マンションってセキュリティが凄いんだな。エントランスは無人だったが、

 きっと監視カメラで厳重にモニタリングしているんだろう。

 上を見上げると案の定、天井にドーム型の監視カメラが設置されているのが確認出来た。


 エレベーターに乗り込んですぐに彼女が俺の腕に手を伸ばしてきた。

 まずいな、すっかり乙歌ちゃんのペースに飲まれている。よく考える間もなく

 ここまで一緒について来てしまったことに後悔と期待が俺の中で激しく交錯こうさくした。


「なっ……!?」


 むにゅり♡


 俺の腕に触れているのは彼女の手じゃない!? 二の腕に当たるこの柔らかな感触、こ、これは……。


 乙歌ちゃんのおっぱいが俺の腕に押し当てられているだと!?

 小ぶりだが形の良い清楚系美少女のおっぱい……。それだけでも自分の腕に全神経が集中してしまう。さらにもふもふな感触まで加わっているっ!!

 これは一体なんなんだ!? 俺は腕だけでも思わず絶頂に達してしまいそうな、

 えも言われぬ快感に背筋がゾクゾクしてしまった。


 このたまらない天使エンジェルタイムは何なんだ!? わ、分かったぞ、彼女が俺の腕に押し当てたおっぱいの脇に、あの熊ちゃんのぬいぐるみを抱えているんだ。むにゅむにゅなおっぱいともふもふな熊のぬいぐるみ。そのダブルタイフーンに俺は包まれているっ!! ○イソンのサイクロンクリーナーも顔負けのすごい吸引力なんだ……。


 おふうううっ!! まさに童貞を駄目にする清楚系美少女のおっぱいとぬいぐるみ攻撃。なんてエロ可愛いい複合技なんだろうか。お、恐るべし乙歌ちゅわん……。


 俺がおっぱい評論家ソムリエだったら絶対に三ツ星評価を付けてしまうだろう。


 この状況なら良い子のみんなもそう思うよね!!


「零お兄ちゃんの腕、とてもあったかいですね……」


 彼女の声でやっと俺は正気に戻ることが出来た。もしこのままお互いに無言だったら、確実に毎度お騒がせな効果音がエレベーター内に鳴り響いたに違いない。


『……う、ううっ!?』


 ティンテロリン♪、って。


「いまの時期は日が落ちるとかなり肌寒いから零お兄ちゃんのぬくもりが嬉しいな……」


 その言葉とは反対に彼女から俺はぬくもりだけでなく、ほのかに甘い香りまで与えて貰っていた。石鹸ベースのコロンだろうか? 心地よい香りが鼻腔いっぱいに広がる。


「お、乙歌ちゃん、一体どこに向かっているんだ!? もしかして俺と一緒に過ごす場所なのか……」


 あまりの興奮と動揺でおかしくなりそうな俺は、やっとのことで疑問を口にすることが出来た。


「驚かしてごめんなさい、さっきのお礼がしたかったんです……」


 さっきのお礼? 俺は彼女にここまでお礼をいわれることを何かしたのだろうか?


「……テディベアのジョン君を私にお迎えさせてくれたお礼です♡」


 乙歌ちゃんの甘えた口調に俺は押し当てられた腕だけではなく、全身がとろけそうになってしまった……。


 容赦なく彼女の攻撃ターンは続いた。



「僕、ジョン君、かっこいい男の子が大好きなんだ!! ねえ君と一緒のベッドで寝させてよ!!」


 乙歌ちゃんが声色を変えてテディベアのジョン君の声真似をする。

 おどけながら俺を見上げる大きな瞳におもわず吸い込まれそうになる。

 これが無自覚なら恐ろしい女の子だ……。 俺を萌え死にさせる気なのか!!


 チーン!!


 エレベーターのチャイムが目的の階を知らせる。


「……乙歌ちゃん、これは!?」


 最上階に降り立った俺が見た物は更に驚くべき光景だった……。



「零お兄ちゃん、乙歌のお部屋にようこそ!!」



 さらに容赦ない乙歌ちゃんの攻撃ターンは次回に続く。



 ☆☆☆お礼とお願い☆☆☆


 ここまで読んでくださって誠にありがとうございます。


 今回のは気に入って頂けましたか。


 零ちんのようにおっぱい評論家ソムリエとして★評価してみませんか?

作者のモチベーションとなりまので、何卒よろしくお願いしますm(__)m


 ★★★★★

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