第143話 フレイア
チュンチュンチュン――
いきなり朝チュン展開で始まる二人の暮らし。ナツキとフレイアは今日もラブラブだ。
ベッドから寝惚けた顔で起き上がったフレイアが、横で寝ているナツキに抱きついた。
「ナツキぃ♡ ちゅーしよ、ちゅー♡」
朝一からフレイアがキスをせがむ。このエロエロお姉さんと結婚したからには、常時密着してキスをしまくるのが
「ふあ~ぁ、朝ですか、フレイアさん。夜にキスいっぱいしましたよね?」
「今日もいっぱいするの。キスは一日100回だぞ♡」
「昨夜は200回くらいした記憶が……」
「じゃあ追加で300回だぁ♡」
ぎゅぅぅぅぅ~っ!
ムッチリとしたフレイアの体がナツキの上に乗る。
「ふあああ、フレイアさんの柔らかな体で抱きしめられると何も考えられなくなる……」
「ほらほらぁ♡ 何も考えずにイチャイチャするわよ、ナツキ♡」
ギュッと強くナツキを抱きしめ色っぽい顔でくちびるを突き出すフレイアだが、途中である事に気づく。
「ちょっと待って。ナツキ、あのアストラル何とかってキスは禁止で」
「えっ、ダメなんですか?」
「ダメなのっ。あれは凄く良いけど……すぐ気を失っちゃうし」
フレイアとしては、じっくりたっぷり時間をかけてキスしまくりたいのだ。一撃で気絶させられては楽しみが減ってしまう。
「はいナツキぃ♡ んっ」
「チュッ……」
「んっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」
「んんんん~」
「ちゅっ♡ チュッ♡ んんぁ♡ ナツキぃ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」
「ふ、フレイアさん、長いです」
息をする暇も与えないようなフレイアの連撃キスに、ナツキが彼女の顔を押さえて動きを止めた。
「ええぇ~、もっとキスするのぉ♡ あと100回♡」
「そ、そうだ、もう朝食の時間ですよ」
「ナツキのケチぃ。いっぱいしたいぃ♡」
「じゃあ、あと一回で」
「えええ~っ! 一回だけぇ……」
少し考えていたフレイアが何か閃いたように口を開く。
「そうだ、あと一回のキスはゲームにしよナツキ」
「ゲーム?」
「そっ、私が紙にキスする場所を書くから、ナツキが一枚引くの」
「それなら……」
ニマァっとエッチな笑顔を浮かべた悪いお姉さんが、何枚かの紙を用意してペンで書き始めた。
「はいっ、ナツキ。一枚引いて」
「フレイアさん」
「なに?」
「ちょっと、その紙を見せてください」
さっ!
フレイアから紙を取り上げたナツキが確認すると、そこにはイケナイ場所の数々が書かれていた。
「やっぱり……こ、こんなエッチな場所へのキスはダメです。
ナツキが数枚の紙を抜き取ってしまう。
「ああああ、失敗したぁ! 上手く行くと思ったのにぃ」
どさくさに紛れてエッチな場所にキスさせようとしたフレイアの魂胆は見破られた。この女、ゲームと称してアンナコトやコンナコトをさせようとするとは。
「ぼ、ボクだってフレイアさんが大好きです。フレイアさんの体中全てにキスしたいです。で、でも、まだダメですよ。徐々にしますから待っていてください」
「ほ、ホントにしてくれるの!? きゃぁ♡ 約束だからねっ♡」
いずれイケナイ場所にキスしてくれると聞いて大喜びのフレイアが両手を上げて喜ぶ。
とりあえずナツキは残った紙の中から一つを選んだ。
「えっと……足……」
こんなところでもナツキは引きの強さを見せる。裏返した紙の中から、わざわざヘンタイっぽいのを引いてしまうのだから。
「あっ、それは抜いてなかったんだ。ナツキ……」
「ううっ、フレイアさんの足に……き、キス……」
お互いに恥ずかしくなってしまったのか黙り込む二人。自分で書いたはずのフレイアも顔が真っ赤だ。
「えっとぉ……ナツキ、他の場所でも良いわよ」
「でも、ルールですから守ります」
「ちょっとぉ、こんな時でも真面目なんだからぁ♡」
ナツキがフレイアの足を持ち上げた。
「で、では、フレイアさんの足に……」
「ちょ、ちょっと待って。あ、汗かいたから」
「大丈夫です。フレイアさんの体に汚い部分なんてありません」
「はぁああぁ~ん! ネルネルの気持ちが分かっちゃったぁ」
自分で書いておきながら恥ずかしさであたふたするフレイア。帝国にその名を轟かせた大将軍だが、まさに『策士策に溺れる』といった感じか。
「フレイアさんの足、綺麗ですね。爪の形が整ってます」
「ダメぇ♡ そんなにジロジロ見ないでぇ♡」
「では行きます。チュッ」
「んくぅ~ん♡」
足の親指にキスされ真っ赤な顔でプルプルするフレイアが変な声を上げる。
イケナイコト大好きなのに、足は慣れないようだ。
「あっ、ついでにもっと念入りにやっておこう。ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ!」
「ひゃぁあああぁん♡ もう許してぇ♡」
やっぱりナツキは何事も徹底的にやりたがるようだ。足の指10本全部にキスしてゆく。
これには恥ずかしさの限界になったフレイアが身悶えでグネグネしまくる。朝っぱらから何をやっているのやら。
◆ ◇ ◆
平和になった帝国は以前のように軍人の活躍は少ない。三か国同盟と経済的な結びつきにより、戦力は大幅に削減されていた。
ただ、通常の安全保障や治安維持や災害救助などの為に兵士の訓練と警備は続いているのだが。
今日は大将軍フレイアが、定期的に兵や施設を視察する日である。整列した女兵士たちは、今か今かと威厳のある凛々しい大将軍を待っているところだ。
「待たせたな。貴様らは楽にするがよい」
フレイアが現れ敬礼する兵士たちに声をかける。相変わらず部下の前では凄い威厳だ。
檀上に上がり挨拶をしようとするフレイアだが、何故か横にナツキも一緒だった。
「平和な世の中になり戦力は削減されたとはいえ、戦いだけではなく災害救助など国民を守るのが貴様たち兵の役目である」
最初こそ威厳たっぷりに挨拶するフレイアだが、横のナツキが腰に抱きついたあたりから声が妖しくなってしまう。
「あっ♡ こ、これからもぉ♡ こ、国民のぉ♡ あんっ♡ 安全にためにぃやぁん♡ んぁっ♡ 規律をぉおっ♡ おほっ♡」
ペチペチペチペチ――
もうオヤクソクなのだが、正面からは見えないようにナツキがフレイアの尻をペンペンしている。何も無くても無意識にお仕置きする。それがナツキだ。
「あっ♡ あぁぁ~ん♡ もう許してナツキぃ♡ ダメぇええええ~っ!」
我慢できなくなったフレイアが、大勢の兵士の前で陥落した。威厳のある女なのに、やっぱり人前で躾けられてしまう恥ずかし攻めだ。
相変わらず少し鬼畜なナツキである。
「あっ、フレイアさん、ごめんなさい。また、やっちゃいました」
「もうっ♡ ナツキのバカぁ♡ 人前ではヤメテってばぁ♡」
「でも、フレイアさんが離れたくないって言うから」
「はぁあぁん♡ もうナツキのイジワルぅ♡ 悪い子にはキスで口を塞いじゃうぞっ♡」
ペンペンするナツキもアレだが、人前でイチャイチャするフレイアも大概だ。もうバカップルのようである。
このとんでもない光景に、他の国ならば大問題必至のはずだが、ここは貞操逆転帝国だ。通常運行である。
「ああぁ、フレイア様、素敵です」
「あの恐怖のフレイア様が完堕ち状態に……」
「いつ如何なる時でもナツキ様と一緒なのね」
「噂ではお風呂もベッドも一緒らしいわね」
「きゃあっ! 羨ましいですフレイア様!」
「さすが貞操逆転帝国乙女の鑑です」
こんな感じに女兵士たちから羨望の眼差しで見られてしまう。
そして相変わらず二人はイチャイチャしまくっていた。もう誰にも止められない。
「あああぁん♡ そんなにギュッてされると幸せ過ぎておかしくなっちゃう~♡」
「ふ、フレイアさん、もう充分おかしいです」
「好きぃ♡ 大好きぃ♡ ナツキのコトだいしゅきぃぃ♡」
「ボクも大好きです。フレイアお姉さん」
こうして大将軍の視察は
◆ ◇ ◆
部屋に戻ったフレイアが拗ねてしまった。大勢の兵の前で堕とされてご立腹なのだ。
「もぉ、ナツキのバカぁ。また人前でぇ」
枕に顔を埋めたフレイアが足をジタバタしている。恥ずかしがっているところも可愛い。
「フレイアさん、も、もう結婚したのだから大丈夫ですよ。伝統文化です」
「もぉおおぉ♡ それわざとでしょ!」
「ええっ、フレイアさんが教えたのに」
「私のせいだったぁああ!」
フレイアの自業自得だった。
「もぉ、ナツキったら、最近どんどんエッチになってるぅ」
「け、結婚したからにはエッチも頑張りますよ。何事も一生懸命です」
「これよ。もうっ、ナツキのエッチぃ♡」
フレイアがナツキを捕まえる。
「エッチなナツキ少年には、お嫁さんへの徹底奉仕を義務付けまぁーす。今日はずっとベッドでキスしてるわよ♡ そう、朝までずっとイケナイコトしながらキスするのっ♡」
「あ、あの……まだ夕方ですよ。御飯も食べてないし」
「だぁぁーめ! 私と結婚したからには帝国伝統文化を尊重して徹底奉仕なの♡ 朝までずっとずぅぅぅぅーっとイチャイチャしてるのぉ♡ 異論は認めませーん」
「ああ、やっぱりこのお嫁さんエッチ過ぎるよ」
こうして二人はイチャイチャしまくるのだ。ベッドでも食事中でも視察中でもお構いなしに。あまりの甘々ぶりに、部下やメイドも恥ずかしくてモジモジするくらいである。
「ナツキ、私、ナツキと結婚できて幸せだよ。ずっと仲良くしようねっ♡」
「はい、ボクもフレイアさんと結婚して幸せです。ずっと大切にしますね」
「ふあぁああああぁん♡ もう離さないぞっ♡ 私のナツキなんだからな♡」
今日も今日とてラブラブだ。
フレイアの溺愛ぶりが凄くて苦労しそうな気もするが、そこは愛が激しい嫁と結婚したのだからしょうがない。
毎回フレイアの積極的な攻めでグイグイこられるが、最後は必ずナツキの
「ナツキぃ♡ 大好きぃ♡ ちゅ~っ♡」
「フレイアさん、は、激しいです」
この後二人は無茶苦茶イケナイコトした――――
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