ジェイドの企み 〜奇跡を起こす教え子達を正しく導く為に〜

藤本敏之

第1話

この世界には2つの相反する事柄が存在する。


男と女


風と土


聖と魔


そして善と悪


ジェイドは一人、大切に育んだギルドへと向かっていた。約2ヶ月、別の街にある他所のギルドに教鞭を執る為に出向き、昨日ようやく契約が終了し、自身の拠点と言えるアイオール城の街に戻る。


「さて、あの子達は元気かな?」


あの子達とは、ジェイドが手塩にかけて育てた5人の子供達の事である。戦闘能力は一切無い...理由はジェイドが戦う事よりも、大切な事があると教えてきたからだ。そのお陰か、ギルドは他の追従を許さぬ程に大きく強くなった。そのギルドの建物の前に来て、ジェイドは戸を開ける。


「ただいま!」


そう言って入った拠点は...はっきり言うと汚かった。


「ジェ、ジェイド!?」


副ギルド長に任命していたカーネルがそう叫んだ。その周りにいた40人余りのギルドの団員...いや、半分はジェイドの見たことの無い人間だった。


「なんだ、サリーはどうした?」


ジェイドは周りを見渡しながら中へ入る。団員が道を空けて、ジェイドはカーネルの元へ到着する。


「もっ、戻って来たのか!?」


「あぁ、契約終わったからな。...で?」


再び周囲を見渡し、ジェイドがカーネルに質問する。


「なんだ、この烏合の奴らは?」


「うちの新しい団員だ。」


カーネルがそういうが早いか、ジェイドは前にあったテーブルを蹴飛ばした。蹴飛ばしたテーブルはカーネルの両膝にブチ当たる。


「ガッ!?」


「てめぇ...俺の許可なく団員を入れるなって、散々言ったよなぁ!で、サリー達はどこだ?」


「ぐっ...あいつらはもういねぇよ...」


「なんだと?」


「あんたが帰ってこねぇから追い出した!俺達はもっと高みに登れるのに、あんたはそうしねぇ!うんざりだったから、このギルドを俺達のものにするために、話し合った!そしたら出ていったよ!」


その話を聞いた瞬間、ジェイドの体が爆炎に包まれた。その炎は建物に燃え移って行く。


「ひぃ!?」


「もういい...てめえ等は死ね!」


そう叫んだ時、ジェイドを中心に大爆発が起こり、建物ごと40人余りの人間が消し飛んだ。後に残ったのは巨大なクレーターとジェイドだけだった。


「...あの子達を探そう。」


ジェイドは歩き出した。目指すはそう...愛する教え子達の元へだった。

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ジェイドの企み 〜奇跡を起こす教え子達を正しく導く為に〜 藤本敏之 @asagi1984

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