1話 入学式1
「まだ見つからないのか?」
「……はい。それが手かがりになるものはなにも」
「本当に捜してるのか? 下の者に伝えろ。俺の命令に逆らう者がいればタダじゃおかないって」
「は、はいっ!!」
「これだけ捜してもいないってことは闇の子ってのはもうこの世にはいないんじゃ……」
「お、おいバカ!」
「え?」
「あ?」
「あ……。
「それと闇の子じゃねぇ」
「へ?」
「闇姫だ。一体どこに消えたんだ、クソっ! 俺はこんなにも最強に、総長になったつーのに」
最後の言葉はとても小さく、部下たちには聞こえない。
闇姫が消えて数年後。闇姫が助けた少年は最強の総長にまで上り詰めていた。
中学時代、隣町の総長に
「部下に八つ当たりしたところで闇姫は見つからないぞ」
「……
「
「
「おまっ……。
「すみません。最近入ったばかりのもんでして……」
「それなら説明してやるよ。
「天才研究者の話は耳にしたことがありましたけど、まさかあの
「オレの噂話をしてるのは君たちか?」
それからというもの、
「龍幻さん!」
「マジ半端ねえです! 俺、さっきの話を聞いて龍幻さんに憧れちゃいました!」
壱流の部下たちは目をキラキラさせながら龍幻を見ていた。しかし、その光景は壱流にとって気に食わなかった。
「俺を差し置いて龍幻ばっか見てんじゃねぇ!」
「す、すみませんでしたぁぁぁぁ!!」
その場にあったダンボールを蹴り上げる壱流。部下たちは怖がって壱流から離れてしまった。
「壱流やりすぎだ」
「だって……」
「そんなんだから、いつまでたっても部下と仲良くなれないんだぞ」
「言われなくてもわかってる。いいんだ、俺には龍幻がついてるから」
「オレは壱流より年上だから。オレが言いたいのは同世代と……」
「あー! うるさいうるさい」
壱流はその場にしゃがみ込んで耳を塞ぐ。どうやら龍幻の説教じみた話を聞きたくないようだ。
「いくら背が高くなったところで子供っぽいところはいつまでも変わらないな壱流」
「うるせぇ。俺には時間がねえんだ。早くアイツを、闇姫を見つけないと俺は……」
「そう、だな。(やはり闇姫はお前にとって……)」
壱流の黒い瞳にはなにが見えているのか。
彼が闇姫を捜す本当の理由とは?
そして、現在の闇姫は壱流と同じく高校生になっていた。
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