第119話 VSシフォンちゃん(仮)……ネルベイラ、制圧
「ん」
甘い吐息が漏れる。
「ちゅ…あむ…あ」
ゼイラのむっちりと豊満で肉付きの良い体が俺に密着する。
肌と肌の触れ合う感触に興奮が昂っていく。
「ちゅ……ちゅ…好きだぜ」
「俺もだ。ゼイラ、好きだよ」
「ふふ……お前、本当は良い男だな……ちゅ」
ゼイラの腕が俺の首にまわり、お互いに絡み合う。お互いの体温を感じ合うように抱き合い、濃密にキスの雨をふらし、ゼイラの柔らかな唇の感触を堪能する。
それはゼイラも同じか。彼女もまた、俺の唇を求めてくる。
「でもいいのか?」
俺にキスをしながら耳元でゼイラが囁く。
「なにが?」
「ちゅ……だって、他の連中は今も戦ってるぜ?」
……まあ、それはそうだな。
現在。
ミルアドの王宮の外では魔族と人類の世界の命運をかけた戦いが繰り広げられている。
そんな最中。ルワナの実家の王宮で俺はといえばゼイラを抱いているのだから、なるほど、なかなかに不謹慎なことしてるよな。
「それに……あん💓」
「余計な心配をするな」
ゼイラの顔に一瞬、理性が戻る。
熱っぽく。まるで伝説のサキュバスみたいなハートマークの目を浮かべて淫行に夢中になってるくせして、一体何を心配してるのやら。
俺はゼイラの不安を払拭するべく、彼女の尻たぶを掴む。なかなか肉付きの良い、揉み心地が最高な尻だった。揉んだ瞬間、ゼイラの口から艶やかな喘ぎ声が漏れた。
「もう💓……なんだよ?」
「今は俺だけを見ろ。俺がお前を――ゼイラという女を支配する男になる」
「お、おう……なんだよ、強気だな?本当に良いんだな?本当に――お前のこと絞り殺しちまうぞ?」
ゼイラの淫蕩な表情に少しだけ動揺が走った、気がした。
「――やめてもいいんだぜ?」
それは弱々しく、小さい声だった。
「うん?今さらどうして?こういうのが望みだったんだろ?」
「それはそうだけど……だって、怖いじゃん」
ゼイラはすっとこちらに顔を寄せると、俺の胸に耳をあてる。まるで俺の心音を聞くことで生きていることを確認してるみたいだ。
一体なにを恐れてるんだ?あ、俺がいなくなったら魔族に人類を滅ぼされてしまうってことを心配してるのかな?
「なんだ、本当は魔族が怖かったのか?」
「違う――お前が、リュークがいなくなることが怖い」
ゼイラは顔を上げてこちらを見る。その目には情欲が半分、理性が半分、といった感じだった。
ゼイラの触り心地の良い背中に触れれば、しっとりと汗ばんでいる。体温が高く、性欲が昂っていることがよくわかる。
ゼイラはやりたがっている――同時に彼女の理性は恐れを抱いているようだ。
はぁ、はぁ、とその唇からは熱っぽい吐息が漏れ、今すぐにでも肉食獣のように襲ってきそうな気配すらある。
――だが、ゼイラは耐えている。理性が本能を否定しているようだ。
「お前のせいだぞ」
ゼイラは感情的に言う。
「お前のこと、好きになっちまった。本気のアタシより強いお前が大好きだ。強い男が好き。リュークが好き。だからお前のこと、リュークを死なせたくない――」
――でもお前の精気を貪ってもみたい、と情欲に染まるゼイラが言う。
「なあ、ここで止めようぜ?そもそもなんの意味があるんだ?アタシとエッチしたいなら、いつでも言えよ?アタシ、お前に身請けされたんだぜ?お前に命令されたらいつでも拒否できないし、いつでもやらせてやるよ。なあ、それでいいじゃねえか?」
まるで懇願するような言い方だ。しかしゼイラの表情が……目をランランと輝かせ、口元に笑みを浮かべ、情欲に頬を赤く染めるゼイラの顔が、やりたいと叫んでいるように見えた。
……確かにここでゼイラを抱くことに対して、意味と呼べるような意味はない。
ゼイラは良い女だ。この女らしさを極めたようなメスの身体にはそそられるものがある。
頑健に鍛えられつつも、つくべきとこにはしっかり脂肪のついたメリハリのある女の体。
形の良い胸に、触り心地の良い尻。すべすべとした太ももの感触も素晴らしい。
綺麗な顔。柔らかな唇。鋭くも魅惑的な目。そしてこの燃えるような長く赤い髪。ふんわりと漂う甘いメスの香りもたまらない。
そんな抜群の顔と体に加えて、紅玉の館で鍛えたのか、男を気持ち良くさせる知識とテクニックまである。
まさに淫魔。サキュバスだ。男を喜ばせ、気持ち良くさせるすべてを持っている女。それがゼイラだ。
そんな女が俺に惚れているらしい。望めばいつでもエッチできるそうだ。
本当に最高の女だ。理想の女と呼んでも良いぐらいだ。
俺は――この女が欲しくなった。
「ゼイラ」
「なんだ…ん💓」
俺はゼイラの後頭部に手をやると、その柔らかな頭を撫でながら無理やりこちらに近づけてキスをする。
もう片方の手を腰にやり、抱きしめ、離さない。
そんな俺の行動をゼイラは受け入れる。自分から俺の口を舐め、さらには口を開いて俺の舌を自分の口内に招こうとする。
「ん💓…好き、リューク、好き💓」
どんどん体温が増すゼイラの体。その女体を抱きしめ、そのまま上下を入れ替えて俺がゼイラの上になる。彼女は今、ベッドの上で仰向けになって俺を見つめる。
真っ赤な髪がベッドの上に広がった。
「はぁ……はぁ…リューク?」
甘い吐息を漏らしつつ、甘えるような声をゼイラは出す。
俺はそんな彼女の頬に手をあて、じっとその瞳を見つめる。
「お前が欲しい」
「え?…ん💓…え、待って、なにか大きくなってる…」
「ゼイラ」
「な、なんだよ?」
「本気のお前を屈服させて、お前の心を支配したい。だから全力で俺を襲ってくれ」
「ごくッ…へへ…ひひッ……だ、ダメだぞ?……そんなことしても意味ないぜ?」
目を白黒させる。ゼイラは眉根を寄せ、葛藤し、そして俺を見る。
「あるよ。お前が俺のものになるじゃないか」
「アタシが欲しいのか?」
「ああ。心まで全部俺のモノにしたい」
「アタシ、もうリュークのこと好きだぜ?」
チラチラとこちらの反応を窺うように俺を見るゼイラ。なんだか不安そうだ。
「ああ。知ってるよ。でもまだ終わってないだろ」
「リューク…あん💓」
俺はゼイラの顎をくいっとあげてキスをする。そして言う。
「ゼイラ……お前の理想の男になりたいんだ。ゼイラの全力をすべてぶつけて欲しい。その上で、お前を負かして屈服させて、その上で俺の女にするから」
――ゼイラのすべてを支配したい、とその耳元に囁く。
「!……ん、もう…濡れちゃう💓」
ゼイラの目に残っていた理性が消えた。
「…ふ、ふふ、あははは!…ったく正気かよ?本当にアタシの性癖に付き合う気か?言っておくけど、マジで死ぬぜ?」
――人類が滅んでも知らねえぞ?とゼイラは欲情に満ちた顔をして言う。
もちろん、俺も死ぬつもりは毛頭ない。人類を滅ぼすつもりもないし、シルフィアとの約束も果たさないといけない。
フィリエルのことも抱きたいし、ローゼンシアの約束もある。聖女ルイもまだ口説き終わってない。
なんだか最近不穏な動きをするシエル王女も良い女だ。あの女も抱いてやりたい。
ルワナなんて嫌だとか言いながら寝取られやがった。帰ったらきっちりお仕置きして、俺の女だってことを体でわからせないといけない。
ニーナも良い女だ。なんとしても俺の女にしたい。
俺には――まだまだやることがある。だからこんなところで死ぬ気はない。
同時に、このゼイラという最高の女も手に入れたいのだ。
顔も、声も、体も、心も、全部が全部、俺の色に染めてやりたい。
「はぁ…はぁ……はぁああああ……もう無理。もうこれ以上は我慢できないぜ!」
「ああ、たっぷり可愛がってやるよ、ゼイラ」
――ふふ、と嗤うゼイラ。彼女は「しゃーねーな」と言って俺に軽くキスをする。
「冥途の土産だ。最高の思い出をやるぜ。ほら、脱げよ。アタシのテクでお前の息子を元気にしてやるよ」
「いや、必要ない」
「え?」
情欲に染まっていたゼイラの顔が一瞬、硬直する。
既に準備はできているのだ。あとはゼイラと俺の最後の勝負をするだけ。
俺はゼイラのドラゴンブレスから守り切ったパンツを脱いだ。
「……なあリューク」
「どうした?」
「アタシたちさ、昨夜エッチしたじゃん?」
「おお、そうだな」
「もしかしてあんまり気持ち良くなかった?」
「いや、そんなことないけど?めちゃくちゃ良かったよ」
「……えっと、あのさ、……じゃあなんで昨夜よりデカいの?」
ふむ。どうやらゼイラは昨夜と今日で戦力が違うということを気にしているようだ。
ははは。何を言っているのやら。昨夜と違って今の俺はほら、加護が発動してるし。強化されるんだよ。色々と。
……ああ、そうだよ。流石にもう気付いてるよ。
俺のあれ、うん、デカくなってる。それも尋常でないぐらいデカくなってる。
俺の加護の中ではどうやらサキュバスとの淫行も戦闘行為に含んでいるようだ。
そうだよね。世の中にはそういう戦い方をする人とか魔物もいるもんね。インキュバスとかいう男の淫魔もいるもんな!これも必要か。
「さあゼイラ。お前を俺のモノにする。覚悟しろ!」
「え、ちょ待って!このサイズは無理だって!だってこんなの初めて…………へへ。いいぜ!シフォンちゃんの力を見せてやるよ!」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…💓」
「………ッ💓ッ💓ッ💓ッ💓ッ💓」
「………!…💓…!…💓…!…💓」
「💓💓💓💓」
「…」
「…」
「…💓」
「…あん💓」
「………負けです…負けです」
「……もう負けをみとめまふゅ」
「……だからゆるひて…あん💓」
「……」
「……」
「好き💓」
「大好き💓」
「…ん💓…あん💓…アタシ恋に堕ちちゃった💓」
「……」
「…」
「…はぁ…はぁ…しゅごしゅぎる…くっ!クソ…さんざん攻めやがってよ!今度はこっちの番だ!今度こそお前を搾り殺してやる!」
「……」
「……」
「……💓」
「ごめんなひゃい!楯突いてごめんなひゃい!生意気言ってごめんなひゃい!勝てましぇん!リュークサマに勝てないでふ……あん💓」
「…」
「…ん💓」
「…謝ったのに💓」
「…負け、認めたのに💓」
「…ダメ!…💓」
「ダメダメダメ💓リュークの加護、強すぎる…搾っても搾っても力が溢れてきてパンクしちゃう!もうダメ!」
「……」
「…💓」
「…許してくれるのか?…えへ。やったぜ💓」
――それはとても長きにわたる戦いだった。
いや、体感としては長いというだけで、実際にはそれほど長い時間ではなかったのかもしれない。実際、窓の外を見ればまだ陽が高く、それほど時は経過していない。
しかし。ベッドの上は凄まじいことになっていた。
いろいろな意味でべとべとのぐちょぐちょになったゼイラは荒く呼吸をする。そのたびに胸が揺れ、彼女の豊満なおっぱいがたわわに動く。
「へ、へへ…燃え尽きたぜ💓」
だらしない格好で寝そべるゼイラを見れば、彼女の性癖が満たされたことは明白だった。
ふぅ。本当に辛い戦いだった。接戦だったと呼んでも良い。しかし勝った。
それにしてもゼイラ、いやシフォンちゃんの力は凄かった。特にあの搾精能力はヤバかった。あれ、加護の無限大な力があるからなんとか耐えられたけど、普通の男だったら死んでるよ?干からびて死んでるぜ?
あれが竜魔人を腹上死させた伝説のサキュバスの力か。……確かに死ぬほどの快楽だったな。今日、はじめて加護に感謝したかもしれない。
だが、やり遂げた。ゼイラに勝った。俺は勝ったのだ!
ゼイラを屈服させてやった。全力の彼女の堂々と正面から戦い、そして勝った。
やり切った。ついにやり切ったぞ!
それはとても辛く、しかし気持ち良く、体力と根性が求められる激戦であった。もう一度やれと言われたら……ふむ。やっても良いかもしれない。
って言ってる場合じゃない。俺はといえば、ゼイラのドラゴンブレスから守るためにパンツに仕舞っておいた通信石を手に取ると、魔力を流して光を止める。
光が消える、それは加護終了の合図だ。
やがて遠く離れたカルゴアの王宮にもその合図が伝わったのだろう。
『あん💓あん💓あれ?ちょ、待って、もう終わって…リューク、やったんだね…あん💓』
……いや、もういいよ。今回は俺も……僕もやってたし。
ゼイラとやっている最中もルワナの寝取られる姿は俺の脳裏に過っていた。しかし彼女は耐えた。とても気持ち良さそうで、切なそうで、なんだか口元が寂しそうだったが、それでもキスは耐えた。
……なんかそれ以外のことはやってそうな雰囲気があったが、それでもキスは防いだのだ。それが重要だ。
「……んん…リューク」
「ゼイラ……もう大丈夫か?」
「うん💓」
ゼイラはベッドの上から上半身だけ起こすと、僕に抱きついてくる。ちょっとべとべとしていたが、構わない。
ここは王宮の中でも王族のプライベートな場所だったらしい。部屋には備え付きの浴室があり、水の魔石を使用しているのか、魔力を流すと水が出た。
一つの部屋に税による贅を尽くした設備がある。せっかくなので使うことにした。
僕とゼイラは王宮の浴場でイチャイチャしながら体を洗う。お互いに水を浴び、ときどきキスし、愛撫をし、その重力に負けない大きなおっぱいを可愛がり、ゼイラのそのエロ可愛い姿に欲情して再びやりそうになる衝動を抑えると、体に水をかけて綺麗さっぱりにする。
「もう💓アタシは良いんだぞ?」
「僕もやりたい。だがさすがにそろそろ時間的にまずい」
僕はゼイラと一緒に浴場を出る。
適当に王族か使用人のものと思われる衣服を頂戴して着替えてから部屋を出た。ついでにミルアドの軍旗を見つけたのでそれも頂戴する。
部屋を出て、通路を速足で歩き、王宮の玄関ホールに近づくと、兵士たちが群がっているのが視界に入った。
どうやら既に外の魔族は撃滅されたらしい。あとはこの王宮を制圧すれば、ミルアドの首都ネルベイラの制圧が完了する。
「ゼイラ。人がいる。そろそろ離れてくれ」
「もう💓……しょうがねえな」
僕の腕に自分の腕を絡ませて、まるで恋人みたいな顔をしていたゼイラ。しかし離れると、すぐに凛とした表情を作り、まるで歴戦の戦士みたいな風格を出す。
「行くぞ」
「ああ」
今の彼女を見れば、誰もが激しい戦闘を行ったばかりの戦士だと見なすだろう。
……まあ戦闘といえば戦闘ではあったが。
僕とゼイラはそのまま玄関ホールを抜けて王宮の外に出る。そこにはジンライドだけでなく、他国の人類軍の兵士たちもいた。
「おい、きたぞ!」
「どっちだ?あのやばそうな魔族か?それとも…」
「ね、ネトラレイスキー卿だ!寝取られ好きが来たぞ!」
「か、勝ったのか?なんかすげー音してたけど、勝ったのか!?」
「王宮からとんでもない炎が出てたけど、大丈夫なのか?」
「俺さ、ネトラレイスキー卿が燃やされてたように見えたんだけど、あんなの受けても平気なのか?すっげえな」
「全員、ネトラレイスキー卿に敬礼しろ!」
最後の指揮官と思しき男の声を機に、ざわざわしてた兵士たちが一様に姿勢をただし、僕に敬礼をする。
僕はそんな兵士たちに手を振ると、王宮から持ってきたミルアドの軍旗が取り付けられた棒をその地面に突き刺す。
「敵は討った、もうここにはいない。人類の土地を取り戻したぞ!」
「…ってことは」
「…つまり」
「俺たちの勝ちってことか?!」
「「「うおおおおおお!」」」
僕の言葉に、周囲の兵士たちが盛大に叫ぶ。特にミルアドの所属っぽい兵士たちからの歓声が強い。
ジンライドの兵はなんだかいろいろと言いたげな顔だが、流石にこの空気に水を差すつもりはないようで、一緒に勝利の雄叫びをあげていた。
そんな兵士たちの集団の中より二人、前に出てくる。
ルーガンとジャンヌだ。
彼らは僕の前に跪く。ちらりと自国の軍旗を見ると、
「御助力、感謝いたします」
と礼を述べた。
ルーガンとジャンヌは神妙な顔をしている。一体どんな気分なのだろう?
祖国を奪還できて感激しているのか、それとも自分たちの不甲斐なさに憤っているのか……
少なくとも、今の彼らが俺に対して敵意を向けることはない。
複雑な思いはあるだろう。しかしそれでも感謝の念を捧げていることは間違いなさそうだった。
…うーん。しかし、アレだな。
なんて真面目な場面なのだろう。とても、君の国のお姫様が寝取られたおかげで取り戻せたよ、なんて言える雰囲気ではなかった。
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