③記憶喪失黙示録

焔ホムラ

プロット

【世界観】

 戦争によって世界のバランスが崩壊(後述)し、旧人類(人間)が滅亡し地上から消えた世界。

 全人類滅亡後、地上ではエルフ、ドワーフ、魔族などが生活圏を形成している。

 生活圏の外には魔素(後述)が充満している。

 世界の各地には世界崩壊前に旧人類(後述)が築いた超巨大都市の廃墟がある。


【特殊設定】

・世界の崩壊

 異世界の人間(以後異世界人)を各国がこぞって召喚し、戦争に利用していた。

 その中から英雄(後述)と呼ばれる異世界人が登場し始める。

 無理矢理異世界と空間をつなげた結果、世界のバランスが崩壊、大地震などの大災害がおこったり、や空間にゆがみ(後述)ができはじめる。

 そのゆがみから大量に放出された魔素の毒素に耐えられなかった人類は滅亡する。

 また、獣たちにも変化が起こり、魔素に耐えられなかったものは死に、魔素に耐えたものは魔獣(後述)へと姿を変貌させた。


・世界の崩壊後

 別世界と繋がったことで世界の崩壊が止まり始める。

 崩壊が止まった影響で各地にできた空間のゆがみは修整されることなく残ったままになっている。

 また、崩壊が完全に止まるまでは数々の異世界と空間が繋がったり(異世界との融合)、離れたりしていた。

 その結果、繋がった異世界の住人であったエルフ、ドワーフ、魔族などの亜人と呼ばれる魔素に適応できている人種がこの世界に生活圏を築き始める。

 この世界では滅亡した人間に極めて近い人種も現れるようになるが、そのどれもが魔素の毒素に対応しきる事ができずに滅びの道を辿っている。


“世界の崩壊のイメージ”

完成していたパズルが壊れていくようなイメージ。

 異世界と繋がるのは全く関係ないパズルのピースを無理矢理つなげた様な感じ。

 パズルのピースにはそれぞれエルフ、ドワーフといった種族が住んでおり、世界が繋がったことでこの世界(元となるパズル)に広がっていく。


【種族】

・旧人類(人間)

 世界の崩壊まで地上の王者として君臨していた種族。

 亜人と呼ばれる人種とは異なり、魔素の毒素への耐性が低い。

 そのため、世界の崩壊時に起こった魔素の大量放出により滅亡の道を辿っている。

 しかし、大量放出前の少量の魔素ならば有効活用していた。

戦闘だけでなく、日常生活などにも魔素を使用していた。


・エルフ

 耳が長く主に森に生活圏を置いている一族。

 弓や魔術の扱いに長けている。

 人間の美的感覚においては美男美女が多い。

 魔族の次に魔素の毒素への耐性が高い。


・ドワーフ

 世界的な鍛冶の名手が多数いる種族。

 ずんぐりむっくりな体型が特徴的で身長は高い者でも百五十センチにも満たない。

 戦闘能力は低いがそれを武器で補う戦闘スタイルで戦う。

 そのため武器選びに情熱を注いでいる者も多数。

 また、武器の手入れは毎日欠かさずに行っている。

 戦闘に置いての魔素の扱いは大の苦手としているが、鍛冶をするときに魔素を使うことに関しては他の種族の追随を許さない。

 体色は緑色の者が多い。


・異世界の人間

 異世界と無理矢理空間をつなげることで旧人類によってこの世界に召喚された人間達。

 旧人類と違うところは余りないが、魔素を魔術で変換する効率が異常に高いため、戦争などで利用されていた。

 五百年以上にわたり召喚され続けてきたが、滅亡までの百年は更に強力な力を持った者も多数おり、彼らは総じて英雄と呼ばれた。

 他の人類と違い魔素の毒素への耐性が高い。


・新人類(人間)

 旧人類滅亡後、異世界と繋がったことによって現れた人間の総称。(イメージ的にはアジア系とアメリカ系ぐらいの違い)

 そのどれもが魔素の毒素への耐性が低く、滅亡の道を辿っている。


・旧神

 この世界をたった一柱で作りあげた。

 旧人類に魔術という技術を与えたが、それがきっかけとなり新神に命を奪われている。


・神(新神)

 この世界の統括者達の総称。

 旧神を殺した事でその座についた。

 かつては英雄(後述)と呼ばれた人間達。

 世界を滅ぼし作り直す世界滅亡派。

 現状を維持したまま世界を元に戻そうとする世界再構築派。

 どちらにも維持しない中立派に分かれている。

 世界に直接干渉することができないためそれぞれ神の使徒と呼ばれる者達に指令を出したりしている。


【用語】

・魔素

 この世界の全ての基礎となっている空気中や体内に存在する物質。

 形はなく、普段は存在を感じることもできない。

 この物質に媒介を通して形を与えることで魔術が発動している。

 体内にある魔素の方が体外にある魔素よりも形を与えやすい(魔術変換効率が高い)という特徴がある。

 毒素があり、少量だと何の問題もないが、ある一定量に触れ続けると一気に体にダメージを与える。

 この一定量は種族や個体によって大きく異なる。


・魔術

 体内、または体外に存在する魔素を使用することで行われる超常現象の総称。

 使用には必ず媒体となる物が必要となる。

 その形は様々で、杖のようなものから剣、弓。

 戦闘に関係ないところではドワーフは金槌を媒介としていることも多い。

 また、媒介の素材によっても魔術効果に差が生じ、木でできた物は離れた場所、鉄でできた物は近距離の超常現象へ効果を発揮しやすい。

 剣などの様に柄と刀身で素材が違う物に関しては、その媒体においてその素材が何割を占めるかによって効果や威力などが変わる。

 主に杖などを使い炎や水で攻撃する攻撃魔術。

 同じく杖を使い傷などをいやす回復魔術。

 主に剣などを使い身体能力を飛躍的に向上させる身体強化魔術。

 鍛冶時に武器に魔素を付与する付与魔術。

 の四つに区分されることが多い。

 ただし旧人類時代にはここに異世界人召喚魔術(後述)と機械魔術(後述)が追加されることとなる。


・異世界人召喚魔術

 その名の通り異世界の人間を召喚するための魔術。

 空間と空間を無理矢理つなげる事で異世界の人間を召喚する。

 そのため発動には膨大な量の魔素と強力な魔術を発動する術者数人、更にそれを助ける術者が数十人、必要となる。

 一回の召喚で術者数人が死ぬのは当たり前である。

 異世界から人間を召喚することを繰り返すと空間にゆがみが溜まっていく。


・機械魔術

 すでに失われている古代の魔術。

 異世界人の持ち込んだ機械に自動で魔術を発動できるようにした物の総称である。

 そのため使用者に魔素を操ることができなくとも強力な魔術を発動させることが可能である。

 しかし、戦闘面では魔術の起動の遅さ、狙ったところにいかない正確性の欠落などの問題点がある。

 特に、魔素を操ることができない人間が使用した場合高確率で暴走、その後機械本体が爆発し、周囲に大きな被害をもたらすという事が判明したため、徐々に使われなくなっていく。

 その後、異世界の人間達が新たに開発した機械魔術兵器(後述)の核の部分に使用されるようになる。


・魔術兵器

 機械魔術によって動く兵器の総称。

 異世界の人間達の手によって作られた過去の遺物。

 様々な形をしているが、クトラフ達が本編で出会ったのは人型の者だった。

 一個体の戦力は強い物で一国の軍隊に匹敵することがある。

 サイズは多岐にわたり、ビル五階ほどの物から一般的なエルフ(身長百七十三センチ)の膝下ほどの小さな物もある。


・神の使徒

 神に選ばれ世界の均衡を守っている者達。

 基本的に人型になることのできる剣と神の使徒の二人一組で行動する。

 その目的は様々で、神の命令によって動くことが多い。


・空間のゆがみ

 通称狭間。

 大小様々であり、その先に何があるかは分かっていない。

 人がいなくなったりしたときはここに落ちたことが疑われる。


・英雄

 世界崩壊前召喚された異世界の人間達の一部をそう呼んでいた。


・迷宮街

 狭間を中心にして他の場所より魔素が濃い場所の総称。

 魔獣や魔術兵器などが多くいる。

 特に旧人類が生活の拠点にしていた廃墟などが迷宮街になっていることが多い。


【キャラクター】

・クトラフ


 男、人間、百七十五センチ、五十七キロ

 本作の主人公。

 記憶喪失であり、自分の記憶を取り戻すために旅をしている。

 黒髪黒目で髪はそこまで長くない。

 人とのなれ合いをあまり好まない正確であり、キアラ以外に心を許すことは少ない。

 キアラとは記憶があるころからの腐れ縁。

 かつて世界崩壊時に一度神にあった後死亡した過去があるがその記憶はなくなっており、物語の終盤で明らかになる。

 今ある最初の記憶は人型になることのできる剣キアラと一緒にいた。

 戦闘能力は非常に高いが、臆病な性格が災いし本領発揮するまでに時間が掛かる。

 かつてはアフィーリアの家に仕える執事だったが、世界崩壊時にアフィーリアを託され屋敷を逃げ出した。

 そしてそこで女神リアナと出会ったことで運命が狂い始める。

 本編では誰も気づかないがアフィーリアと神の使徒としての役割を分担している。

 キアラとはすでに数年以上の付き合いであり悪友。

 アフィーリアに関しては何故か憎めず、わがままに付き合ったりもしていた。

 これはアフィーリアとクトラフがかつて主従関係にあったことに起因しており、無意識のうちで行われている。

 最初はグレーに襲われたが、その後協力的なグレーの姿勢に違和感を覚えているが、本編終了間際にグレーの助けが入ったことで少しは信用してもいいかなと思い始めている。


・不思議な剣キアラ


 女、剣、(人間時)百五十センチ

 人型になることができる不思議な剣。

 その正体は神に作られた剣であり、使徒となるアフィーリアの元に送られるはずだったが、何故かクトラフが所有している。

 人型になり話したり動いたりすることができるため勘違いされやすいがれっきとした剣である。

 人型になった時は少し水色の髪が特徴的である。

 クトラフとは悪友といった関係であり、喧嘩することもしばしば。

 しかしすぐに仲直りをしており、アフィーリアからは痴話喧嘩と評される。

 最初は自分には一向に懐かないのにアフィーリアに懐かれるクトラフをうらやんでいたが正直にならなかった結果何故かアフィーリアとの仲が悪くなってしまっていた。

 本人は剣として扱われることに抵抗感を覚えており、特に魔獣を切り裂くときの感覚が最悪だと語っている。

 実感はないが記憶喪失であり、なぜ自分に意識があるのか、なぜ人型になることができないのか、など謎はつきない。

 クトラフを所有者として選んだのはキアラ自身であるが、そのことに関しても全くといっていいほど記憶がない。


・アフィーリア


 女、神の使徒、百三十九センチ

 魔術兵器の中から飛び出てきた謎の少女。

 その正体は神の使徒であり、クトラフがかつて使えていた家の令嬢。

 しかし、本人にその記憶はなく、クトラフに懐いているのも本能的な物である。

 人間的な見た目をしているが人間ではなく神の使徒である。

 クトラフと神の使徒としての役割を分担していたため、一人で動くことができなかった。

 そのため魔術兵器の中に封印されている。

 自分の意思で魔術兵器を操ることができるが、その力にはまだ気がついていない。

 明るくわがままな性格は令嬢時代から変わっておらずクトラフ達を振り回してばかりいる。

 クトラフ達がグレーに襲われた時には自身の中にある謎の力を暴走させた。

 その結果高熱を出し一週間ほど寝込んでしまう。

 同じ神の使徒のグレーから見ても不思議な部分は多い。

 最初はクトラフと仲のいいキアラに嫉妬に近いような感情を見せることもあり、クトラフを振り回したりもしていた。

 しかし、徐々にキアラとの距離も近くなっており、高熱を出した際には看病してくれた事から感謝もしている。


・グレー


 男、神の使徒、百八十センチ

 クトラフ達が出会った初めての神の使徒。

 アフィーリアを殺せ、という神の命令の下動いていたが、アフィーリアの力を解放させてしまったことで返り討ちにあう。

 その後、アフィーリアに関しての指令はなかったため、自分の意思で行動している。

 神の使徒と剣と人というクトラフ達の関係に興味を持っている。

特に人でありながら剣の所有者になっているクトラフには非常に好意的である。

その反対にアフィーリアに関しては静観したいと考えているが、クトラフに協力した結果アフィーリアの記憶を取り戻す事になったり、と少し空回り気味である。

剣の使用方法を間違えているクトラフには非常に歯がゆい思いを抱いている。

クトラフ達がアフィーリアが出てきた魔術兵器を見に行ったときはこっそり後ろから尾行していた。

本来は助ける気はなかったが、見捨ててしまうことに罪悪感を感じ助けに入る。

基本的には損得勘定や自身の興味に従って行動することが多い。

しかし神の命令に逆らったことはなく、自身の役割に付いても正しく理解している。


・女神リアナ


 女、神、百六十センチ

 アフィーリアを神の使徒にした張本人。

 金色の神が腰まで伸びている。

 世界滅亡直前にクトラフとアフィーリアに興味を持ち、二人を神の使徒として死にかけの命を救う決断をする。

 その正体や目的などは謎に包まれており、何故アフィーリアは魔術兵器の中にいたのか、クトラフはどうして記憶を失っているのかなどはリアナ以外知らない。


【あらすじ】

・プロローグ

 一人の少年が腕に少女を抱えて、世界の崩壊から逃げるように走っていた。

 あちこちに傷を負った少年の前に一人の女性が現れる。

 その女性の存在になぜか安心した少年は少女を女性に託して意識を手放した。



・第一章

 世界のバランスが崩壊し旧人類が滅亡してから千年。

 地上では異世界との融合によりエルフ、ドワーフといった亜人達が繁栄していた。

 記憶喪失の少年クトラフは、自身の失った記憶を取り戻すため各地に存在する迷宮街を巡る旅を続けていた。

 手がかりになるのは、自分がかつて崩壊した文明に存在した人間という人種だという事。

 旅の友は人型になることができる不思議な剣キアラ。

 そんなある日、いつものように自身の記憶の手がかりを求め迷宮街へと赴いたクトラフはそこで巨大な魔術兵器と遭遇する。

 戦闘になることを覚悟したクトラフだが、魔術兵器の中から小さな少女がクトラフの胸の中に飛び込んで来たきり魔術兵器は動きを止めてしまう。

 訳も分からないまま、少女を止まっている宿へと連れて帰ったクトラフ達。

 少女はアフィーリアと名乗り、クトラフに異常に懐いていた。

 どれだけ引き離そうともついてくる、アフィーリアに振り回されつつもクトラフは徐々に気を許していく。


・第二章

 徐々に打ち解けてきたクトラフとアフィーリア。

 しかし、それとは反対にキアラに懐くことはなかったため、アフィーリアとキアラはいつも反発し合っていた。

 そんな彼らの前に一人の少年が立ちはだかる。

 少年の名前はグレー。

 神の使徒を名乗ったグレーの手にはキアラと同じく人型になることのできる剣が握られていた。

 突如襲いかかってくるグレーに慌てて応戦するクトラフ。

 しかし、グレーの力は強力でありクトラフとキアラは徐々に押され始める。

 クトラフ達が負ける、その瞬間、突如としてアフィーリアがグレーとクトラフ達の間に割って入り、グレーへの攻撃を開始する。

 その圧倒的な力はグレーをも軽く凌駕し、攻勢だったグレーも防戦一方になる。

 しばらく防戦していたグレーだったが隙をみてアフィーリアから距離をとると、「神の使徒と人と剣か。これは楽しくなりそうだ」という謎の言葉だけを残して去って行ってしまう。


・第三章

 グレーとの戦闘以降、高い熱を出したアフィーリア。

 彼女の看病のためにクトラフが町へと出かけている時だった。

 クトラフの前にグレーが単身で現れる。

 警戒心をあらわにするクトラフ。

 そんなクトラフにグレーは今日は戦いに来たのではないと告げ、クトラフが置かれている状況について説明しだした。

 グレーの話によって、神の使徒とは世界の均衡を保つために神が使わした者ということ、使徒にはそれぞれ人型になる剣が与えられること、その剣が自分の神と通信をする媒介になることが判明する。

 そして、おそらくアフィーリアとクトラフの神は何らかの理由で動けない状態にあり、その神に関わったクトラフ達も記憶喪失となったのではないか。

 本人も覚えていないがアフィーリアも記憶喪失の状態なのではないかという仮説が浮かび上がってくる。

 そしてグレーは、クトラフにアフィーリアと初めて出会った魔術兵器の核、そこにクトラフの記憶に関するヒントがあるのではないかと、教えてくれる。

 その後、クトラフがアフィーリアの元へ戻れば、アフィーリアとキアラが異常に仲良くなっており、少し複雑な気分になったのだった。


・第四章

 グレーの言葉を頼りに再びアフィーリアと出会った迷宮街へと赴いたクトラフ達。

 しかし、アフィーリアが魔術兵器へと近づいた瞬間、動いていなかった魔術兵器が突如として再起動し、クトラフ達に襲いかかってくる。

 それと同時にアフィーリアも徐々に様子がおかしくなっていき、最後には魔術兵器の中へと取り込まれて行ってしまう。

 取り込まれる寸前のアフィーリアの「私を止めて」という言葉に応えるため魔術兵器に立ち向かうことを決意したクトラフ。

 立ち向かって行くものの魔術兵器の力は強大でクトラフとキアラは徐々に追い詰められていく。

 これ以上は命まで危ない、というタイミングでクトラフ達の前にグレーが現れる。

 神の命令によって動くグレーは、独断でクトラフ達を助けたのだ。

 そしてクトラフに喋る剣の真の力の使い方を教える。

 その力を使ったとき、クトラフの頭に失った記憶の一部が流れ込んでくる。

 それはかつて人間が存在していたときにアフィーリアを神に預けたという記憶だった。

 そしてそれはアフィーリアとキアラも同じようで一瞬魔術兵器の動きが止まる。

 そしてその記憶の最後にアフィーリアの幻覚を見たクトラフは彼女から「信じてる」という言葉を貰う。

 その言葉を胸に再び動き始めた魔術兵器と対峙したクトラフは、なんとかこれを撃破。

 アフィーリアを助け出すことに成功したのだった。


 2巻以降はクトラフの記憶を取り戻す旅が更に加速する予定です。

 更にクトラフが剣の所有者になった理由や、アフィーリアが魔術兵器の中にいた理由などを続けていく予定です。

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