29.暖かい家

両親が共働きだったせいで


小学生の頃から鍵っ子だった


寒い冬は特に辛い


学校から帰って鍵を開けて


ストーブに火を入れて


コタツを点ける


部屋が暖まるまで


ストーブの前から離れられなかった


ずっと寂しかった


友達はみんな暖かい家に帰るのに…


誰かが待っている家に帰るのに…


今は学校の帰りが遅いせいで


家にはいつも母親がいる


帰り道


遠くに見える僕の家には


オレンジ色の明かりが灯っている


『ただいま』とドアを開ける


暖かい空気が身体を包む


『おかえり、先にお風呂入っちゃいなさい』


そうだね


暖かいっていいね

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る