19.花火

花火大会に


君は浴衣を着て来るというが


自分は何を着て行けばいいのか


大したジャージは沢山あるが


大した服は持っていない


結局大したTシャツに


大したことないジーンズになった


浴衣の君は


僕のTシャツの裾をつまんで


ひよこみたいにチョコチョコ歩く


ドーンと一発目の花火が響いた


どさくさに紛れて君の手を握る


反応はない


君を見ると花火を見上げている


髪をアップに結んだ君は


可愛いなと思う


見惚れていたら


ふいに君がこっちを向いて


『もぅ!ちゃんと花火見てる?』と笑った


そっか


花火はちゃんと見なきゃ


なんだな

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